見出し画像

世界一信じられない「ちょっとだけ」を自分に許すか~銀座風月堂~

「ちょっとだけ、覗いてから帰ろう。どうせ並んでるだろうからな、今日は無理だろうけどね。でも、ほら......」
1日のカフェ巡りを終えて、もうそろそろ帰ろうかなという、空に暗い藍色が混ざりかけてきた頃。
自分に色々な言い訳をしながら、頭の中にポッと浮かんでいるアノお店に足は向かっている。

そんな時、本当に行列だったら「ほぉら、混んでる。今度、今度ね」と諦めるのだけれど。夕方頃は案外空いていたりして。
「覗くだけ...」なんて思いつつ、「行ける」という現実が目の前に突き付けられた時、そのままお店に入らなかった事なんて無い。

吸い込まれるようにお店の敷居をまたぐ。
「1人、今大丈夫ですか?」
大丈夫なのが見た目で分かっていて、聞く。

「覗くだけ」と言って足が向いている時点で、もう心はそのお店に染まりかけているのだ。


銀座に素晴らしいパフェを提供する和菓子屋さんがある。
.........うん、わりとあるね。
いくつか思い浮かんだ人は......凄い。立派に沼の住人だ、仲よくしよう。

今回行きたいなと向かったのは、「銀座風月堂」。
この店の正体を、私は正直よく分かっていない。

ゴーフルで有名な「東京風月堂」や「神戸風月堂」とは全然違うのだろうか。「風」は旧字体?の「凮」と記載しなければ怒られるのかな。

「ピエール・エルメ・パリ」と「ピエール・マルコリーニ」はもう明確に違うと分かるけれど、「風月堂」と「千疋屋」はかなり曖昧だ。
完全に勉強不足。

それでも、好きなのだから遠慮せずにお店に行く。
この前「東京風月堂」にも行ったのだけれど、その違いを披露してマウントをとることなどしない。ただ、そのお店を楽しめれば良いんだ。

以前お店に来たのは、1年半くらい前かな。

画像1

ふきのとうのチュイールを刺したり、パチパチキャンディーを入れたり。
なんかもう、異常だった。
「えっ、これパフェに使う???」という材料を大胆に使い、味わいの構成がしっかりと練り込まれているのが素人目にも分かる。

本当は、もっとお店に通いたい。
けれど通った時にお休みだったり行列だったりして、なんとな~く行けなかったのだ。
あぁでも、改めて訪れてみると、やっぱり素晴らし過ぎて、頑張ってでも行けば良かった!!

今回のパフェはこれ。

季節の木の実を、和紅茶の香りと共に

画像2

これまた、美しや~~~。

構成表も、良き良き。

画像3

なんかさ、愛が込められてるのが分かるよね。

画像7

作っているところを間近で見られるのも魅力的。
このお店はカウンターがほんの数席だから、かなり空いていないと複数人なら奥の席に案内されると思う。1人巡りの特権かも。

画像8

凄い手際で仕上がっていく...尊い。


画像4

可愛らしい無花果に目がいく。
柔らかで、イチジクそのものの美味しさがダイレクトによく分かる。

画像5

そして着目したいのが、このクリーム!!
生砂糖&西京味噌クリーム!!!

突っ込みどころが多すぎて、言葉が出ない。
味噌...クリームに味噌使ってるのか。
ゴールデンカムイで「おそま」って言ってたあれか……分からない人は検索しなくていいからな。食事中に言う言葉じゃない。ヒンナヒンナ...。
それを、スイーツに使うのか。

そして砂糖。目に見える程のジャリジャリとした大きさ。

凄い、合う、合ってしまう。
誤魔化しの味噌ではない。マジで味噌の味がする。
魚とかに合う、アレだ。
あの仄かに甘くて、柔らかなしょっぱさ。それに砂糖の香ばしい甘さが絡んで、何故かスイーツになる。

みたらし団子の甘じょっぱさがスイーツとして当たり前に受け入れられている感覚に近いかもしれない。

画像6

アイスは、なんだか凄く懐かしい味がした。
マスカルポーネアイス。

MOWだったかハーゲンダッツだったか…小さい頃家族と半分こしたアイスの味を思い出した。爽やかな甘さは、これもしょっぱさと凄く相性が良い。

中層で少し、世界観が変わる。
栗甘露煮がゴロリと、それにモンブランクリーム。
合わないはずがない。
そしてビックリ、カステラ!
あぁ、そうだそうだ。カステラが美味しいお店なんだよ。
ふわり、しっとり、卵の甘さが、ちゃんと分かる。

食感素材は、栗とカステラに留まらない。
音の楽しい系選手、和胡桃キャラメリゼ。
甘い、めっちゃ甘い。
芳ばしい胡桃を甘くお洒落にキャラリゼなんかしちゃって...甘いのだけれど、それを先行して「美味しい」という感想しか抱けない。
美味しい。

下層に入って再びアイス、というかソルベか。

このヒンヤリしたやつらは、結構同じ層にまとまっていることが多いから、こう分けられると二度美味しい感がある。
ロゼシャンパンソルベ。
上の、マスカルポーネアイスよりも透明感ある爽やか系。
終わりにある少し濃いめの和紅茶ゼリーやザクロシロップを、さっぱりとした余韻に整える。

ここで登場するいちじくのコンポートも、パフェに「いちじく」という筋の通った印象を残していて、とても良い。


パフェ以外にも素敵過ぎるメニューが沢山ある。

モンブランは美しいし、

画像9

あんみつ...ラムレーズンが気になるなあ

画像10

カフェ巡り後に、上生菓子だけなら罪悪感も少な目に来られるじゃない。

画像11

けれど、このお店のその時期のパフェをまだ食べていないのなら、やはりパフェにしてしまう。魅力的過ぎるんだ。

今回はパフェをもう食べたのだから、近いうちに行ったのなら他のメニューも食べられるかも。


「ちょっとだけ」
危険な言葉だ。
本格的に節約やダイエットをしているのなら、絶対にやめた方がいい。
けれど、今その瞬間の幸せとそれらを天秤に乗せて、「てへ☆」を自分に許せるのなら、その「ちょっと」を楽しんでみるのも一興。

きっと、素敵な時間が待ってる。


この記事が参加している募集

コンテンツ会議

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?