健康を願って~六瓢息災~
今日は待ちに待っていないよ、健康診断。
何が嫌かって、それは勿論、体重測定。
お茶くらいなら問題ないはずだけれど、長風呂して水分摂取を我慢すれば。
少し伸びてきた前髪を切れば。
僅かでも軽い洋服を。
何g影響するのだろうという程度の、最後の悪あがき。
朝ごはんを抜かなきゃいけないのも、精神的に結構きついし。
毎回失敗される注射も、どうせ引っかかる視力検査も。
悪いところを見つける為に、必要なのだろう。
というか必要でなければ困る。
こんな地味にしんどいアレコレに神経を削られるというのだから。
それでも「あーあ!健康診断なんか無くなってしまえ!!」
心の中でそんな願いを唱えるくらいは許してね。
テスト前日に「学校なんか全焼しろ」とひとりごちる子供と同じだ。
まあとはいえ。
いつまでも健康である保証なんて、どこにもない。
今の私の年齢の時、母の身体に悪性の腫瘍が見つかった。
癌、というやつ。
そのせいで、最初の子どもの流産を余儀なくされた。
いつまでも健康である保証なんて、どこにもないのだ。
だから今日はひとつ。
健康を願ったお菓子のお話。
*****
廣尾 瓢月堂
「六瓢息災」
「無病息災」を願うお菓子。
まさに。ザ・健康。ビバ・健康。
先日、職場で仲良くしてくれていた方が定年退職をした。
複数人合同でのプレゼントに選ばれたのは、このお菓子だった。ピッタリ。
買いに行ってくれた人が「全員分は無いんだけどね」と数個バラで購入してコッソリ渡してくれたお品。
あぁ。
こういうの、ちょっと嬉しい。
不平等。贔屓。
人の取捨選択。
そういうのは、嫌いだった。
それでも優先してもらえた側になると、嬉しいに心が動くのだ。
どこまでも自分は、人間で。
特別にはなれない凡庸な人間だなあと。
頭の片隅で小さな溜息をつきながら、笑顔でありがたく頂いた。
袋から、コロンと可愛らしいキューブが出てくる。
3センチ四方のそれには、なんと7種類もの酸味豊かなドライフルーツ。
広がる生姜のスンとした香り。
つぶつぶ、ギュ、ジュワッ...
様々な、食感や味わいが詰まっている。
そして、内側からポッと温かくなるような、力がみなぎるような。
名前に引っ張られているところもあると思うけれど、そんな気がする。
「健康」
1つの明確な願いが乗った、丁寧な味わいのお菓子。丁寧に味わいがいがあるというものだ。
どうかどうか、心も身体も健康に。
末永く美味しいお菓子を楽しめますように。
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