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フランスパティスリーウィーク~トシ・ヨロイヅカ~

ライバルで、仲間。
皆が1つの志を持って、それぞれの地で頑張る。

そういうことは、人生の醍醐味のひとつだ。
意志を持って、他者との繋がりを求め、夢を追う。
そんな人間ならではの、”充実”のひとつの形なんだ。

さて。
”フランスパティスリーウィーク”が始まった。

SNSでスイーツ情報にアンテナを張り巡らせている東京在住の人ならば、最近チラホラ見かけているのではないだろうか。
パリ・ブレストという、フランス伝統のお菓子を。

「フランス パティスリーウィーク」は、参加全52店のパティスリー(洋菓子店)、レストラン、ホテルのパティシエが同じテーマのお菓子を一斉に提供するパティスリーの祭典です。

今年のテーマはフランス伝統のお菓子「パリ・ブレスト」にちなんだ”パリ・トーキョー”。
各店ならではの”パリ・トーキョー”を通じて、パティシエの技と創造力溢れる美味しさをご堪能ください!

百貨店催事のように、物理的に”集結”するわけではない。
あくまでも舞台は自分たちのお店。

こういう企画、楽しい!!!

わざわざ企画にしなくたって、例えば「モンブラン」なんか多くの店で提供してるから共通じゃん、とか。
「クリスマスケーキ」も自動的に似たような現象になるじゃん、とか。
「お腹に入れば同じだから見た目は関係ないよ」的論者からすれば、もしかすると意味の分からない企画なのかもしれない。

でも、楽しいなと思う。

「パリ・ブレスト」はご存知だろうか。
界隈では有名になりつつあるけれど、別にスイーツに興味がない人からすればナニソレと思う微妙なポジションのケーキ。
そんなチョイスも、良いと思う。

そして、参加する52店がまた凄い。
あまりに名だたる人気のお店ばかり。
まだ行けていないお店も多いけれど、全て、私の中では既に注目の的となっているお店だった。凄い。
この52店を調べるだけでも、かなり勉強になるよ。

短い期間の中、私が体験できるのは2,3店かなと思っている。
他に食べたいスイーツもあるからね。
苦渋の取捨選択。

さあ早速、1店目。
私の大好きなお店のひとつ、トシ・ヨロイヅカ。

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このハガキ、参加店以外でも1日で色んな所で目にした。
本当に、お祭りみたいだ。

ミッドタウン店の方にしたのだけれど、ここでは最初にチョコが出てくるんだ。「金ゴマキャラメル」。
ふふふ、これ食べるの、もう4度目くらいだ。

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細やかなシャリッという舌触りと滑らかな舌触り。
そして広がる金ゴマの香り高さよ。チョコレートでこんな表現ができるなんて...何度食べても感嘆の美味しい溜息が漏れてしまう。

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さあさ!
ボンボンチョコレートにうっとり癒されていると、ほどなくメインが登場だ!!!

パリ・トーキョー

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それはエッフェル塔?東京タワー??

シルエットで、どちらとも受け取れるように出来ている。
こういうテーマへの沿い方。凄い凄い、なんて素敵な発想なのでしょう!!!

そしてこの、軽やかな薄さよ。
あまりにも薄いのに、心地良い「パリッ」という音が耳に響く。
甘さが、スッと溶け込む。
見た目もだけの添え物とは違う。
ちゃんと美味しい。
こういうきめ細やかさ、流石だなと思う。だから好きなんだ。

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このお皿の形も。
好き。
安定と歪みが調和したような、絶妙な形。
黒でシックなテーブルからも映える。
カッコいい。
ていうかソース、え、これあえて月の形にしてる???
月に対して、エッフェル塔がまるで弓矢のように...
本当になにそれ、カッコよい。

そしてチラリと見える黄緑とピンクが、期待をそそる。

はやる気持ちで、シュー生地にナイフを入れる。
サクッ。

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あ...良い。
軽く。サクッ。
とても良い。

エアリーなムースリーヌピスタチオや中央のフランボワーズエスプーマ、それにエクアドルチョコクリームが、ムニッと、フワリと、シュー生地から溢れ出る。

上のサクッとしたシュー生地とは違い、下のほうはクリームやソースが染みて、少ししっとりになっている。

そういう色々の食感が一同に口の中に入ったときの感動。
”美味しいな”と思う。
凄く素直に、そう思う。

おっとイケない、アイスが溶けちゃう。
ヒンヤリとしたバニラアイスとシュー生地の相性は、もう約束された勝利である。

クリームは、凄くたっぷりだった。
たっぷり楽しめた。
それでいて、軽やかだ。
フローラルで、華やかで、おしとやか。
甘い酸味と、ナッティーなコク。
1つのクリームでは表現できない美味しさが、そこにはあった。


トシヨロイヅカでは、なんとなく紅茶を注文することが多いのだけれど。
”フランス”パティスリーウィークだからね。
ワインにしようと思った。

赤はチリ、白はフランス。

白の方が少しお値段が高かったのだけれど、でも今回は...白一択でしょう!!!

アルザス・グラン・クリュ

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葡萄そのもののフレッシュな果実味を感じる。
デザートワインを思わせるほどに、甘い!
凝縮されて密度が濃いのに透明感がある。
そんな涼し気な味わい。
とっても美味しい。

あぁ...健康診断を機にしばらく禁酒してたのに。
こんなに美味しいワインをお昼から飲んでしまったら、夜にも飲みたくなっちゃうじゃないか。


**

私はただ、食べただけ。
それでもなんだか、誰かと誰かと色んな誰かの、想いの渦に少しだけ繋がれた気がした。

1人でカフェ巡りとか、寂しくない?
遠まわしな表現で、そんなことを聞かれることがある。

寂しくはない。
気楽だし、自分のペースでじっくり楽しめるし。
好きな時間。

でもそれは、きっと作り手とか、販売する人とか、それを食べた、あるいは今後食べる誰かとか。
たとえそれが会ったことの無い人であっても、どこかで誰かとの繋がりがあるからこそ、こんなにも楽しいのかなあ、なんて思う。

さて次は、どのお店のパリ・ブレストを買おうかな。

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