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「好き」と「葛藤の苦しみ」の共存レクイエム〜CACAO HUNTERS Plus〜

好きなことには、幸せと表裏一体に葛藤の苦しみが在るものだと思う。

私はカフェ巡りが好きでたくさんの幸せを貰っているけれど、その幸せを手に入れる為に拾わなかった幸せの可能性はそれ以上に多い。
有限な人生の中で、自分にとってより良い選択をしたい。
私は傲慢だから、いつも悩んでばかりだ。


「半休」を取った。
お昼に近づくと、さてどのカフェに行こうかなと、どうしても考え始めてしまう。いやいや、もっと前に決めておけよ。という話なのだけれど、人生、計画を立てることは難しいのだ。
目の前のことを決めるだけで精いっぱいだ。

表参道?蔵前?白金台?自由が丘?
そういえば最近行けてないな、という駅を思い浮かべる。

でもなんでだろう。
結局、東京駅に向かった。
最近丸の内線ユーザーになり、JRで東京駅に行くことが減った。
それはすなわち、あの改札内の巨大都市を巡っていないということ。
つい数日前に久しぶりにJRを利用したのだけれど、その時は改札外に用事があったので、ほとんど見て回ることができなかった。

そういう後悔があると、心が思わず引っ張られる。
そんなわけで、東京駅改札内巡りが始まった。

さて、どこに行こう。
頭の中で様々な選択肢を思い描き、ひとつの答えに辿り着いた。

CACAO HUNTERS Plus

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ちょうど1年くらい前だったか。
東京駅の大規模なリニューアルオープン。
その時にできた、チョコ好きにとって待望だったお店。
私自身、オープンの初日に駆け付けた。

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「チョコの概念が変わった」と言わせる力を持つアルアコとチョコ好きの心を揺らすカカオパルプ。
色の対比も美しいし、味の相性も最高だ。

当時から話題になっていたメニューがある。

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オムレット チョコバナナ。
うわ絶対美味しいやつ!

でも私はまだ、食べたことが無かった。
今日はチャンスだろうか。
でも、このチョコクリームのたっぷりな量...これを食べたら、今日のカフェ巡りはもう終了だろうか…。

悩む。

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おっ、食べ比べセット!?

食べ比べは大好きだ。
存分に楽しめる上に、量は控え目だ。

ううん、オムレットも捨てがたいけれど。
食べ比べにしよう。
ドリンクはどうしようかな。
チョコレートドリンクが良いのだけれど、カロリー結構高いからな。
ここはコーヒーにしておいて...。

自分の脳内で対話を始める。
店員さんの声にハッとした。

「ドリンクか、ジェラートを選んで下さい」

えっ、
なん...だと???
ドリンクでなく、ジェラートでも良いのか。

ジェラートはこのお店のウリのひとつ。
値段だって、コーヒーとそれほど大きく変わるわけでもない。
そのわりに、幸福度は違い過ぎないか???

「ジェ…ジェラートで、お願いします」

さてそうなると、どの味にするかという選択を迫られる。
店員さんの解説を聞きながら、
悩む。悩む...

結局、店員さんが1番力強く推していた組合せで注文した。
多分、彼女が個人的に好きだった感が見て取れるのだけれど、そういう愛ある接客って大好き。


ふぅ。
行先の駅を悩み、店を悩み、注文もあれこれ悩んだ。
実は私が店頭でウンウン悩んでいる間、あとから来たお客さん2,3組は先に注文を終えていた。
何を食べたって美味しいお店ではあるけれど、それでも悩むのだ。
悩みまくるのだ。

で、得た解はこれ。

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尊い。

まずはアイスから。

トゥマコ×バナナチョコ

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「美味しいチョコ」ってさ、1口含んだ瞬間に分かるんだよ。
「普通」とは一線を画した何かがある。
どうしようもなく「美味しい」としか書きようがない。
美味しい。

無理矢理に言葉を尽くすとただのノイズになってしまいそうで怖いのだけれど、そうだな…あえて書くのならば、フルーティー、かな。
まろやかなチョコらしい濃厚さに乗っかる、軽やかな酸味の光る果物の味わい。
そうか、このフルーティーさが、味の濃く個性的なバナナチョコと合う所以か。

ところでトゥマコを味わっている間中、私の脳裏をよぎるものがあった。
トシヨロイヅカ。

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ここのデセール、濃厚で軽やかで美味し過ぎるチョコムースをわりと使ってくるのだけれど。それに少し似ていたのだ。

美味しいで繋がる、記憶の連鎖。

さてバナナチョコは、これまた独創的な味わいで。
王道の「バナナ×チョコ」なんて美味しいに決まってるじゃん♪な味わいとは、少し違うかもしれない。

熟してねっとりと甘さが染み出したようなバナナの濃厚さがガツンと。
チョコはパリパリとたっぷり過ぎるくらい贅沢に入っていて、楽しかった。


さあ、次はいよいよ、食べ比べ。
こういうの、ちょっと久しぶりでドキドキする。
ちゃんと違い、分かるかな?

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トゥマコ レチェ 53%

ビスケットの味わいと言われるブロンドチョコレートにも少し近いような。
甘くて香ばしい、カラメルの味わい。
バニラのような明るさもあって。
タブレットなのに、なんだかまったりとした濃厚チョコレートクリームを食べている気分だった。

シエラネバダ64%

明るい果実の中でも、明るく若々しいチェリーとかではなく、大人の気品あふれる魅惑に落ち着いた深い色のラズベリーみたい。
柑橘果汁のような爽やかな酸味も含ませて。
ワインを感じる大人の香り。

アルアコ72%

凄い!1番高いカカオ分でありながら、1番爽やか。
マスカット、青りんご、緑の柑橘、ハーブ...うんうん、書いてあること、凄く分かる。
なんて力強く、爽やかな味わいなのでしょう!


カカオ分が高くなるにつれ、柔らかな割れ心地から、かたくパキンと強くなっていた。
対して、味はまったりりと甘い重さから、キレのある軽く爽やかな味わいに。
イメージが、逆だ。
その意外性が、楽しい。

チョコって、奥が深い深い!


食べる前も食べてる最中も、そしてその後も。
たくさんのことを考えた。
そうして考えた分だけ、いつかの自分の中に、鮮明に残るのだ。

好きなこと、「なんとなく」だけでやっていないだろうか?
別にそういうことがあってもいい。
私だって、人生の半分以上に「なんとなく」のモヤをかけながら誤魔化し誤魔化し、生きている。

でも時々は、思考を1段、2段と深く深く掘り下げて潜っていきたい。そこは多分、綺麗なものだけ溢れているわけではなくて、目を背けたい辛いことも沢山あるけれど。

自分とたくさん対話をして、悩んで、多くの可能性を切り捨てながら手にしたひと握りの幸せ。
そういうものがあればこそ、私は自信をもって、それを好きであり続けられる。

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