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カフェが好きな理由を考える為に、カフェに行く〜くろぎ茶々〜

何を求めて、カフェ巡りをするのだろう。

趣味だから。

うん、確かにそれは理由のひとつ。
趣味だから、私は休日になるとカフェに向かう。

しかし、時折ふと考える。
いや、考えなければならない。

自分が何故、カフェ巡りをしたいのか。

確かに趣味ではあるけれど、決して義務ではない。
面倒くさいこともある。
「カフェに行かなきゃ」
そうやって眠い目を擦って、自分を叱咤して、適当な服を着て、外に出る。
謎の使命感。
それは、自分を「私はこういうキャラだから」と縛る呪いだ。

そんな惰性、自分にもカフェにも失礼ではないだろうか。

カフェ巡りを続ける目的を考えよう。
カフェに行って、考えよう。

なんだか、本末転倒な気がする。
でも、きっと答えはカフェでしか見つからないから。

やっぱり私は今日もカフェに行く。

*****

くろぎ茶々

その店は、ハイブランドが立ち並ぶGINZA SIXでスイーツやパンを買える地下2階にある。

「くろぎ茶々」は京都の老舗茶舗「福寿園」と、現在は芝大門にある割烹「くろぎ」がコラボレーションしたお店です。
京都「福寿園」の宇治茶をもとに、本家「くろぎ」の主人「黒木 純」が手仕事を加えて、「和」を追求した料理や菓子を生み出しました。

「福寿園」「くろぎ」どっちも、実際の店舗には行けたことがないけれど、超有名なお店であることは知っている。
さすがは、GINZA SIXだ。

店頭はまるで、室町時代か江戸時代か、旅人が途中で立ち入る甘味処。
あるいは茶室。

背もたれの無い木のベンチ。
小石や少し大きめの石と、深い緑色の草木。
カコーンと風流な音を奏でるししおどし。
淡い抹茶色と、それに似合う薄い色の木の壁。それと障子の窓。

そこだけ、空間を切り取ってきたかのよう。

確かドラえもんでそんなひみつ道具があった。
ぐるりと囲んだ部分だけ、空間を交換出来るロープ。

気付いていない人も多いかもしれないけれど、くろぎ茶々ではイートインができる。

えっ、どこにそんなスペースが???
隣のお店の奥域から考えても、そんなスペースがあるとは…
しかし、あるものは、ある。

暖簾をくぐると、そこには本当に小さな、茶室が広がっているのだ。

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ここはもう、銀座ではない。
令和でも無い。

ここは、いつ、どこだ…?

座席は4,5席くらいの畳素材のカウンター。

狭いながらも、とびきり本物の茶室らしい空間を作り出している。

なんだかソワソワと緊張してしまうけれど、悪い緊張感では無い。

背筋がシャンと伸びる。
なんだか高揚感がある。

鯛茶漬け、なんて贅沢な食事も人気なようだが、今回はとりあえずスイーツ。

常葉白練

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宇治抹茶と吉野の本葛を使用した葛羹に国産のクリームチーズを合わせた「くろぎ茶々」を代表する和菓子。

見た目にも味わいにも、美しい2層のコラボレーション。
こんなに和に満ちた空間に溶け込んでいるのに、和洋折衷スイーツなのだ。

こうやって日本人は外国のスイーツを徐々に浸透させていったのか、なんて想像を膨らませてみる。

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洗練された綺麗な味わいと、対峙する。
一口ずつ、丁寧に味わう。

黒蜜や抹茶粉をどのタイミングで、どのくらいかけるのが美味しいのだろう?
自分のお気に入りを探す。
こんな些細なことでも、それは紛れもなく、私だけのスイーツだ。

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大きな器に少ない量の抹茶。
お茶素人からすると、それだけでもう、本格感で震える。
勿体無いけど、美味しいうちに。

**

少ない席だから、他のお客さんも楽しめるように長居はしない。
しかし短くも、凝縮された時間。

時も空間も超えての小旅行。
非日常の体験が私に積み重なるのを感じた。

あぁ、これか。

最初の話。
私は何故、カフェが好きなのか。

カフェ巡り以外の好きなことを考えてみる。
例えば、私は物語が好きだ。
アニメや映画、漫画、小説etc.....。
こっちの趣味も中々変人扱いされるレベルで好き。
1日でアニメ12話以上見るのが日常的なくらい、好き。その理由も色々あるけれど、大きな要因は、これだ。

人生の疑似体験。

私は元々ネガティブ思考な方だと思う。
紆余曲折を経て、ポジティブ思考も意識的にできるようになったけれど。

良い悪い、ではない。
どちらの思考もコントロールして使えることは、案外強みとなる。

それはともかく、心の根っこの部分では、こんな思いが常にある。

自分の力だけでは、きっと人生はとても薄っぺらいものになってしまうだろう、と。
それでは自分の人生を嫌いになってしまう。

だから私は、誰かが生み出した物語を享受することで、私の人生を豊かにしている。

おかげで今は、自分の人生がそんなに嫌いじゃない。

カフェ巡りにも、似たところがある。
誰かの人生観をたっぷりと詰め込んだカフェ空間。
そこに浸ることで、私だけの力では決して得られない経験が積み重なることを感じるのだ。

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私がカフェ巡りを好きな理由はコレだ!
なんて強く断言するつもりは無い。

理由は1つじゃないからね。
それに結局のところ、「好きだから好き」。
ここにたどり着く。

とても純粋で理不尽で、簡単な理由。

えっ、じゃあ色々考えたの、無駄じゃん!!

無駄ではない、と思う。
時折、好きである気持ちを疑ってしまうことがある。
そんな時に、多少無理矢理でも理屈があれば、多少救われたりするものだ。

それに、カフェで「私はカフェ巡りが好きだな〜、こんなところも、あんなところも、大好きだな〜」なんてぼんやり考える時間が好きなのだ。

好きな気持ちを、大切にしよう。
私は、カフェ巡りが好きだ。

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