インプットは頑張らず
インプットとアウトプットの繰り返しが大事だ、
的なことを職場の偉い人が言っていた。
いや、もっと以前から。多くの人がそんなことを語っていたし、本に書いてもあった。
つまりまあ、言わずもがな当たり前の教えなのである。その当たり前を実行するのが難しいんだけどさ。
自分にはインプットが足りない、といって嘆く。
私もそんな凡人のひとりだ。
でも、そうだろうか。ちょっと分からなくなる。
例えばどうしようもない貧困の中で腐ったパンの味を知っていて、そりゃあ知らないに越したことは無いけれど、そういう他人には無い経験をしたのだから、自分の血肉にして物語に組込むのだ、という小説家の小説を読んだ。
毎日同じことの繰り返し。起きて仕事して寝て起きて仕事して…永遠とそんな日々の繰り返し……と嘆いた人が、「退屈な仕事を少しの工夫で楽しくする方法」なんて発信してバズったりもする。
1日誰もが24時間生きている。ぼんやり生きているつもりでも、様々な情報の受容を強要される。インプットしているのだと気が付くかどうかじゃないのか。
そう、人生無駄なことなんて何一つないさ!全部そのオンリーの貴重な体験なんだ!!!
な~んてキレイゴトだけで前を向けたらいいけれど。でも実際にはどうだろう。海外で暮らした経験のある人。有名人との関わりが頻繁で唯一その人だけの話を尽きることなく聞ける人。数十万人の人に賞賛されるようなところまで何かを高めた人。
彼らの住んでいる世界では、毎日ハラハラドキドキ刺激的なインプットに溢れてるんじゃない?埋められない差があるんじゃない?とか思うし。けれど、そういう羨ましい異次元から一瞬で転落してしまう人だって、あるいはそこから更に逆転劇を繰り広げる人もいて…
なんなんだ。
インプットをしよう。
言いたいことは分かる。目的を持って意識的に、質の良いインプットを積極的にしていこうと。
でもさ、なんだか…日常のぼんやりとした無意識を否定されているみたいで、それは少し、息苦しい。
多分、私は少ないと嘆きながらもインプットは多いのだと思う。スイーツを食べる。お酒を飲む。その数は、平均よりはずっと多い。よくインプットの代表例として言われる美術館とかにもよく行くし、本も読む方だ。
何もできない動けないと泣いている時にだって、私はアニメを観ている。時間の無駄?けれど数千作品と観てきて、これまでの人生でそれは結構活きている。
アウトプットが追いついていないくらいなのだから、インプットが少なすぎるということではない。
つまり…え、あれ、…私の日々の鬱々とした悩みは、あるようで無いのでは?ふむ…。
アウトプットの方について見直すべきかもしれない。
というわけで、最近の良い体験の話をしよう。
ペイサージュのアフタヌーンティーに行ってきた。
どうだろうな…ペイサージュの知名度。職場で出しても半分以上は知らないかもしれない。でもサロショ通いの人は、イートイン筆頭のひとつだしね、知ってるでしょ。美味しさは抜群に美味しいので、もっと知られて良い。
そんなお店が、2月22日に代官山店を新たにオープンさせた。
代官山にあるというだけで、もうお洒落だ。新宿伊勢丹でも買えるし、これからプレゼント用としてとか、もっと人に推していこうと思う。
はい、おめでとう~~~。
オープンの花いっぱいの時に行くと、客として「これからも応援するからな!」というファン心理が高まるよね。
こちらの店舗だと、アフタヌーンティーを楽しむことができる。
行った。
出てくる前から素敵だ。
シンプルなのだけれど、ちょこっと花のデザインが入っていたりして、上品な感じが凄くする。
非常~~~にシンプル!
ホテルアフタヌーンティーなんかだと、この台で世界観とか個性を出していたりするからコレだと少し味気ないかもしれないけれど。カフェ系アフタヌーンティーなので、こういうのが良い。
あと乗っているスイーツやセイボリーが全て見た目から非常以上に素敵なので、より引き立っていて良いなと思う。
食べ方…食べる順番…迷うよねえ。
私は完全に「セイボリー→スイーツ」でいきたいけれど、「甘い→しょっぱい→甘い は無限」という宇宙の法則を採用して、セイボリーとスイーツを交互くらいに食べる人も多いよね。
モッツァレラアランチーニ
「温かいので最初に食べるのがお勧めです」と言われる。有難い助言だ。
ふむ…う…ま。凄いなめらかで、こっちがジャガイモを潰した「ポムエクラゼ」なのか迷った。間違ってたらゴメン…そのくらい甘くて…旨みがギュッと詰まっていてさ。衣とチーズで塩味もあるんだろうね…旨みと塩味が口の中で合わさって、とんでもなく美味しい。家庭料理として家で食べるなら、5個とか全然食べたい。
そのままが美味しいけれど、もしも沢山あるのなら邪道にケチャップとかも付けてみたい。
心の中で「うっっま!?!?ひゃ~~~美味しい!!!」とか、感情が暴れた。
苺と生ハムのカプレーゼ
苺が絶対違和感なのに、全然違和感無いのが凄過ぎる。
甘さと甘酸っぱさとしょっぱさのバランス…自分で作っても絶対こうはならない、何が起こってるのか全く分からないけど凄くナチュラルに美味しい。もう魔法でしかない。モッツアレラチーズ、プニッとして甘くてシンプルに美味しい。
ベーコンとキノコのブルスケッタ
なんでこんなに全部が美味しいのか、心が忙しい。キノコが旨みたっぷり、ベーコンがそれを更に引き上げる。バケットも、その他色々も、全部が引き上げ合っていて、なんかもう旨みに口の中がびっくりしている。
ポムエクラゼ
「ポム=じゃがいも」「エクラゼ=潰す」ということらしい。フランス料理。レンコンのパリパリが美味しくて、ほんのりの塩味がまた食感にもレンコンの味わいにも合って、それが凄く美味しい。
スコーンもどのタイミングで食べるか迷う筆頭だよね~。温かいうちの方が美味しいけれど、最初かと言われると、そうではない気がする。
温かさがあるうちに数口は食べて、主には中間くらいで楽しむようにしている。
美味し過ぎて、信じられないくらい美味しかった。
ペイサージュは焼菓子が美味しいからね、そういう技術が存分に発揮された品。外はカリッ!カリッカリッ!!で、中はフンワリ。それ単体でも甘さが愛おしい。上品に凄く甘い。美味しい。
合わせるのは、なんと珍しい、鬼灯。それと王道に、苺。鬼灯の酸味。苺の粒々感。いわゆるスーパーとかで買う「食べ慣れた」ジャムとは違う、全然違う。
そのままでも美味しいスコーン、そのままで食べたいのに。塗ると、それはそれでとんでもなく美味しい。めちゃくちゃ困った。美味しい。
スコーンはアフタヌーンティーの必需品。これまで、様々な高級ホテルのアフタヌーンティーだって経験してきて、色々なスコーンを食べた。もちろんそれぞれの美味しさがあって比較するものではないのだけれど、それでも順位をつけるなら、私はこのスコーンが一番好きだったかもしれない。
苺のシューアラクレーム
溢れ出るクリームのバニラの香りが華やかで。流石、生ケーキも滅茶苦茶美味しいお店だもの。こういうシンプルなのが凄く美味しいんだ。クリーム美味しい~と思ってるうちに食べ終わってる。苺の甘酸っぱさがクリームに対するアクセント。味わいに奥行きがある。シンプルだけど、単純じゃない。
苺とベリーのタルト
ベリーもりもり!!
甘酸っぱくて瑞々しいベリーと、サクッと香ばしいタルト生地と。これも量感とか、食感、味わいも、絶妙なバランスでレシピを組んでいないと違和感に繋がるやつだろう、多分、きっと。
本当にひとくちごと全部が美味しいものだから、このあたり、大分無心になっていた気がする。紅茶との相性が抜群に良かった。
プティガーデン
最初に提供いただいた紅茶「ガーデン」を使用したケーキ。クリームがモチッとしてる!それでいて、とろり…。生地も、ふんわり?ほろっ?しっとり…不思議な食感。外観のナチュラルな色味が凄く素敵だし、味わいの淑やかな華やかさが憧れる、癒される。
フィナンシェショコラノワゼット
ケーキというか、これがフィナンシェというのが面白い。でも食べてみて、確かにフィナンシェで。あぁ、こういうフィナンシェを作るお店なら、スコーンも美味しいわなあと思う。
お菓子作りをする人からは、「その二つ別に関係ないから!」と怒られてしまうかもしれないけれど、素人意見からすると、焼き菓子って意味で少し似ている。
チョコがホロ苦いビター系で、これがナッティーな甘さとフィナンシェの芳ばしさと、凄く相性が良いんだ。
アフタヌーンティーって、全体の雰囲気として素敵ってことが多い気がしている。美味しいよ、凄く美味しい。けれど、1,2品さらりと流しちゃう「普通」があったりするものだ。
これは、1品1品が、単品販売していて良い。私は買う。そういう、プレミアム品質だ。ということをXで言いたかった。
私の基準では、めちゃくちゃ反応をいただいた。
皆様ブックマークするなら是非お店にも足を運んでみてほしい、きっと好きになる。
この体験は、インプットなのだろうか。
これをnoteに書き出したというアウトプットの経験も、広義ではインプットではなかろうか。
「インプットは大切だ」と皆が言うから、社会の常識だから、そういうことばかりを考えて、追われて落ち込んで疲弊してしまう。
世の中の全てに意味があるなんて思わない。多分、それぞれ単体で意味のあることなんて多くない。だからこそ、「これは意味が無いから」と人生の選択肢から自分勝手な基準で省いていくのは勿体ない。
そんな未来の自分の為に頑張らなくても。今、やりたいからやる。食べたいから食べる。そういうことの繰り返しで、いつかなんとなく、繋がって、意味になっていたら。なっていなくても、なんとなく自分で在るための糧になっていたら。それでいいよ、それがいい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?