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子育て支援を一生の仕事のしたいから。そうだ、NPO法人をたちあげよう!⑤

マイストーリー最終回。(2122文字)


しかし、新型コロナウイルス感染の拡大とともに、親子遊び教室の事業は終わりました。歴史のある事業でした。政策が、児童発達支援事業所への移行という転換期だったのかもしれません。今でも、私はこの親子遊び教室が好きです。診断がつかない待機期間、誰に相談したらいいのかさえもわからない不安なときに、同じような親子に出会い、苦しさを解放し、共有することが、親のこころを支えました。ちょうど、それは、私が長女と一緒に療育センターにいって、似たような親子に出会って、「一人ではなかった」と安堵した気持ちと同じだろうと思うのです。
 
その後、私は発達相談員として、乳幼児を持つ親子に関わり続けました。
発達検査で、順調な発達か、心配なことがあるかを判定し、合わせて、親が子育てに行き詰らないかを注意深く観察しました。私の自治体は政令指定都市なので、大きな療育センターが受け皿となって支援をしてくれます。早期に、子どもの発達を促す関わりが必要と判断すれば、連携することが可能です。
受診しようとするまでに少なくても、1か月以上、長くて3か月以上待つことはザラです。その間未就園の幼児は、不安を抱えた母とともに家庭で過ごすことになります。多くの場合、言葉の遅れで来談し、多くの母が様子を見たいといって、半年後に再度面接に来ることが多いです。
最近は、保育園に早くから通園させたり、未就園クラスに通わせる方も多い傾向にあります。0歳から3歳の育児は、母親にずしりと責任がのしかかり、親は自分の生活のすべてを子どもに傾ける必要が少なからずあります。自分の時間はほとんど取れず、社会に置いて行かれたように気持ちにもなります。
それゆえ、育児がつらく、大変さゆえに、預ける選択をした母もいて不思議はありません。もちろん、母が社会に参加し、自分らしく働くために、とても大事な事だと思います。忙しい中でも、休みをとり、相談に来てくれる親子もいて、それぞれ、できる限りの子育てをしているのがわかります。しかし、中には、園や保健師から指摘を受けて自分は困っていないと迷惑そうに相談に訪れる方もいます。そういう方こそ、本当は大変で、困っている親なのではないかという認識が必要だと思います。
 
このたった一回きりの相談の場で助言やエンパワメントをしても、元の場所に帰った時に、どれだけサポートがあるのだろうか。
子どもの特性に困っていても、困っていると言えない親を見て、園や保健福祉センター、子育て支援課など行政を頼っていいんだと伝えても
「みんなで育てていけばいいんだから」といっても、
それはなぜか虚しさを感じさせるのです。
 
この目の前にいる親の気持ちを誰がわかってあげられるのか。
子どもとだけ向き合う生活の中で、自分や子供を責めたりしないか。
頼っていいといわれても、頼れない人もいる。じゃあどうしたら???
 
私にはこれ以上、なんの提案もできませんでした。
本当に、手が届かずもどかしい瞬間です。
 
子育てはチーム戦じゃないと戦っていけません。
母親一人で、どうにかならないときが必ずあるからです。
母親自身も一人の人間で、こころもからだも限界があります。
私も、一人では無理だと気が付いた時から、周囲に頼ることを意識しています。それは長女が成人した現在もです。
頼れるパートナーや実家、きょうだい、友人、ご近所さんがいればよいですが、いたとしてもだれにも言えない、頼れないという親はたくさんいます。
昔と違って、となり3軒両隣という時代でもなく、「孤育て」をしている親は、知らないだけで、きっと身近にいます。
それに、まだまだ、発達障害の診断がある、そのリスクがあるなんて、なかなか言い出せる社会でもありません。
周りに、SOSが出せない上に、子どもに発達の課題があって、この先どうなっていくのだろうかと心配な親もいれば、幼稚園や保育園に任せていればいいと距離を取る親もいます。
余裕がなくて、十分な関りができない親子が、突発的にトラブルや病気を抱えたときに、行き過ぎたしつけとなり、手が出てしまったり、親のペースで子どもをコントロールしてしまうことがおこりえるかもしれません。多くの要因が重なっての事で、必ずしも親のせいだけではありませんが、学童期に不登校が始まったり、思春期に精神疾患となって現れたりするのを見てきました。現在、医療の現場で心理士となってカウンセリングをするようになると、判を押したように似たケースをたくさん見るのですが、そのたびに、幼児期の適切な関りの大切さを感じます。
 
 
ですから、私は、幼児期の親子関係ができるだけ温かく優しいものであって欲しいなと願っています。
そのために、親子が周りを気にせず、思い切り遊び、親同士もいいところをほめ合えるような場所を作りたいです。
そして、親自身が子どもをよく理解し、前向きに育児を楽しめるように
何よりも、私自身が、「チーム子育て」だと、胸をはっていえるように、
発達障害の子どもを持つ母として、また専門家として親子のサポーターになるよう
 
「社会全体で、子どもを育てる」ための仕組みを作りたいとおもっています。
そして、
「今よりもっと楽で、生きやすい社会へ」
 
これが私の願いです。




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