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【国連で働く人々】出産と子育てとキャリア

アンケート回答シリーズ(質問が10以上あるのでまだまだ続くと思います)

「国際機関で働いている女性はどれほどいるのか、またそういった女性は育児や家庭を持ちながらキャリアを両立できているのか知りたいです。個人的に国際機関で働きたい思いもありますが、そういった面で躊躇してしまう自分がおり非常に気になる点なのでお聞きしたいです。」

前回のエントリーで日本人スタッフの特徴を書くといったけど、一くくりにするのも誤解を招くのでやめて、その代わりこの質問に対して僕の友人の例などを挙げて書く。ただ僕自身女性でないので、必ずしも正しくないかもしれないし、女性の同僚に勝手なことを言うなと言われるかもしれない。もし同業者の方がいたらコメントお願いします。

まず、大前提として国連全体における日本人スタッフでは男性より女性のが多い。これは統計的に出てた。理由は色々あると思うけど、国連が女性にとって日本の組織よりも働きやすい環境にあるからというのもあると思う。もちろん前に書いた通り女性差別やセクハラ(特に途上国のカウンターパート等)、文化による行動制限など、男性が経験しない嫌な事はたくさんある。アフリカで働いていた時、部下の若いヨーロッパ人女性から現地カウンターパートからのセクハラの相談を受けて、同じ職場にいながら自分には見えないところで辛い思いをしているのかと思い知らされたことがある。


ただ、組織としてそれなりにジェンダーバランスに配慮し、休暇も日本に比べたらきちんととれ、教育費などの補助も多いので子どもを持つには悪くないのかもしれない。後は産休育休を取るときに後ろめたい思いをしなくて済むというのもあると思う。アフリカだと特に子どもができると全力でお祝いされるので笑、「休み?とれとれー」と同僚は言ってくれる。ちなみに我々日本人よりもアフリカの人たちの方が子沢山なので、休みを取る確率は彼らの方が多い笑。男女かかわらずスタッフに子どもが産まれると組合から一斉メールでお祝いメールが送られ、その後同僚が全員返信でお祝いするのでメールボックスにお祝いメールがたまり、マネジメントから「こういうメールは本人にだけ返信しなさい」というお達しが来るのは良くあること。


僕も同僚の出産は全力で祝うことにしていて、ユニクロのセールでベビー服を買い込んで現地に持っていき、ことあるごとに配っている。同僚が子どもも職場に連れてきて一緒にランチ食べたりもする。クリスマスには組合が子供を職場に招待してサンタに扮したスタッフがプレゼントあげた年もあった。なぜか辞めたはずのスタッフが子どもと一緒にそのパーティーに来てて笑った記憶があるが、そういったおおらかさもある。

途上国で生活する場合、家事や育児もお手伝いさんやベビーシッターさんを雇って負担を軽くしている人も多い(というか逆に雇わないと難しいかも)。学校も現地の学校やインターナショナルスクール、日本人学校(限られた国しかないが、ない場合は補習校といって現地邦人による国語や算数等の塾もある)とライフスタイルに合わせた選択肢もある。インターナショナルスクールも国によっては高いところから安いところまで選べるらしい。こういう状況から人によっては日本よりも子育てしやすいという人もいる。僕の知り合いでも何人かシングルマザーで子どもと一緒に世界中を飛び回っている人がいる。知る限りだと、そういったお母さんと子どもの仲はすごく良くて、シングルマザーの子どもは不幸だなんて、勝手に決めちゃいけないというのが良くわかる。

質問をくれた人は「女性は育児や家庭を持ちながら」とあるが、それが必ずしも女性である必要はないかもしれない。日本人女性が働いて、男性パートナーがその任地について行き、主夫をしたり、テレワークしながら、子育てをしている場合もある。後は両方が国連機関で働いていて同じ国で仕事を見つけて働いたり、交代でついて行ったりするパターンもある。


運やタイミングもあるが一度育児で休んで復帰する人もたくさんいるし、そこでやめて子育てに専念する人もいる。ぎりぎりまで働いて無痛分娩で産んで粉ミルクで子育てしてる人もいる。国連ではないけど、日本ベースで仕事をして海外長期出張の度に子どもを連れて行く人もいる。(*全部日本人です)やっぱり人それぞれのライフスタイルがあって、それぞれ悩みもあるが、解決法も必ずあるはず。

ちなみに僕の妻も機関は違うが元同業者で今は日本で働いている。子どもはいないけどもしできてもお互いのやりたいことを尊重してどうするか決めようということになっている。一応僕は10年近く国連で働いて仕事は好きだが、いつ辞めても良いと思ってるし、一度離れてもどうにかなる(国連に戻ることは難しくなるかもしれないが)ので、僕が子育て中心になっても良いなと割と気楽に考えている。この世界結局ポストの空きとか、タイミングで決まったりもするので数年先が読めなかったりするのだ。

男性の僕が言うのもおこがましいし男性より女性の方が負担が多いのは確かだけど、出産や育児を理由に最初からキャリアをあきらめるのはもったいないので、こういう事例もたくさんあるのだよと知ってもらえたらうれしい。


ただ、一番難しくて、僕も良く相談を受けるのが、むしろ結婚や出産の前の段階でのキャリア形成と、良きパートナーを見つけられるかについてだけど、長くなるので今日はこの辺で

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