書きとりの目的を知らないと効果は0
私の育った愛媛県では昔から「もじのけいこ」なる「書きとり」本がありました。その「もじのけいこ」は、国語の宿題のド定番として、毎日のように書かされたものです。
もじのけいことは
もじのけいこは、ただの短い文章
もじのけいこは、テストのように、漢字を問うような空欄はありません。ひたすら、短い文章が10文ずつセットでならんでいる本です(例:太陽が昇る、国外へ追放する 等)。それらを専用のノートに書きます。
愛媛県の子どもたちは、年度初めに購入させられた?もじのけいこの本を見ながら、近所のどこででも買える専用ノートにひたすら書き込む宿題が出されます。いわゆる写経のようなものです。(大げさな)
ちなみに専用ノートは写真のノートです。一文字ずつ区切られていない縦罫線の中に書き込みます。そして右側の細い枠には漢字の読み仮名を書きます。
発行者は愛媛県教育会(公益財団法人)
発行者は、愛媛県教育会です(教育委員会ではありません)。
今回は、別にこの団体を悪く言うつもりはありません、意外に良い効果があるというお話です。
もじのけいこ(書き取り)の効果
書き取りの効果って考えたことがありますか?
おそらく誰もが思いつくのは
・漢字を覚える
・きれいな字を書く
ということではないでしょうか。
私も実際そう思っていました。でも、最近この作業の真の効果を発見しました!
もじのけいこ(書き取り)の真の効果
それは...…
「日本人として知っておくべき単語の自然な使い方を目と耳で知ること」
でした。
例えば、私の子どもは、カナダ育ちですが、ネイティブ並みに日本語はベラベラ話します。しかし、難しそうな言葉になると、意味が違う場面で使ったりします。
これは、彼らが状況から判断して、「きっとこういう場面で使う言葉なんだろう」と思い使ったのでしょうが、意味を正しく聞いたことがなかったので、間違ったのです。
だから、日本で買った「もじのけいこ(に似た本)」を書かせて、読ませてみました。
すると、あることがわかりました。それがこの2つのポイントです。
ポイント1:熟語とその前後の文章の自然な発音
私の子どもはふりがながあれば文章は読めますが、ものすごくたどたどしい読み方になっていました。
馴染みの無い言葉は、子どもにとってこういう感じに見えています。または、これを読むような感じで読みます(伝わります?)。
コクガイヘツイホウスル(こくがいへついほうする)
これは、どこが単語のかたまりか、どういうイントネーションで読むのかが分かっていない証です。
もしも、きちんとこの文章を理解できているなら、せめてこのようによむのではないでしょうか?
コクガイヘ ツイホウスル(こくがいへ ついほうする)
分かります?文章を二つに分けるのです。読点を意識しているわけではありませんが、自然とここで分かれるはずです。
更に、このような読み方をしているということは、「コクガイ」が「国外」だと分かっていない可能性もありますので、それが他の国・その国以外だという認識はないかもしれません。
これは本読みの目的でもありますが、流れるように読めなければ、その単語の前後の表現が身につきませんし、実際の会話で使われることはありません。子どもさんが実際に書いた文章を音読してもらってみて下さい。スムーズに読めているかどうかで、定着率がわかります。
だから、この「もじのけいこ」の文章もなめらかに読めなければいけないということです。
ポイント2:文章の内容に応じた漢字の選択
「太陽が登る」「太陽が登る」
この差に気づくのが大切です。
一瞬でも「あ!これ間違いやすいポイントだよな。どっちの字だっけ?」と気になるきっかけとなれば良いのです。
まとめ
一般的なワークブックや参考書を読んで学習していると、「空欄を埋める作業」の脳ばかり発達してしまいます。そして、時々誰かに確認してもらわないと無意味な時間ばかり過ごしてしまう可能性があります。だから、書きとりを無駄な時間だと勘違いしてしまうのです。
改めて、
もじのけいこ(書き取り)は、日本人が日本語を流暢に使いこなす上で、文字を音として読むのでは無く、読むだけで相手に意味が伝わるように読めるようになる勉強です。
書き取りの効果や指導のポイントが分かれば、少しは子どもの宿題も見てあげやすくなりますね。
・・・という最近の気づきでした。