[アニメ感想] BANANA FISH:ニューヨークの裏社会に生きるキッズとギャングの物語
原作は80年代後半に絶大な人気を誇った漫画である。
少女漫画系の雑誌に連載されていたので、女の子がよく読んでいたと思う。
私も、リアルタイムで友達の家の本棚に並んでいるのを目撃していたが、何故が読まなかった。
なぜか。
それはSFかファンタジー要素がないものに興味ない…という極端な嗜好だったからだ。
今でもそれはあまり変わってないが、当時の方がかなり極端だった。
ただ、あまり特定の俳優を推したりしない私が唯一下敷きに写真を入れていたリヴァー・フェニックスが主人公のモデルのひとりと聞き、だいぶ興味はあったのだ。
それでもなぜかこの物語に触れることなく私は大人になり、そして今に至った。
で、2018年に「BANANA FISH」はアニメ化された。
あれほど人気があったのに、これまでアニメ化されてなかったのか? とちょっと意外だった。
そして見始めたらまんまとハマったわけですよ。
ファンアートが炸裂していて、BL系のストーリーかと思われがちかもしれないが、実はかなり硬派なギャングの物語なのである。
無論、そういうの(BL系)を求めている人のツボも突いてくるけど。
その理由としては、主人公のアッシュ・リンクスが元男娼という設定が影響しているかなと思う。
ニューヨークのダウンタウンでストリート・キッズのボスをしていたアッシュ・リンクスが、路地裏で瀕死の男と遭遇する。
彼は銃で撃たれており、「バナナ・フィッシュ」という謎の言葉とロケットペンダントを残して死亡。
その言葉は、アッシュの兄(廃人と化した退役軍人)がよく口走っているものだった。
同じころにカメラマンの助手としてニューヨークを訪れていた日本人の大学生 英二は、取材を通じてアッシュと出会う。
こうして、全く異なる世界に住む二人の青年が「バナナ・フィッシュ」を巡る事件に巻き込まれて行く。
この主人公は頭脳明晰、喧嘩も強く情に熱い。おまけに美しいときている。
かなりのスーパーヒーロー気質のある主人公で、仲間もたくさんいるけど、孤独だ。
そんな孤独な主人公が心を許す数少ない親友となるのが、平和ボケ大国日本からやって来た天然ピュアボーイの英二なのである。
野生の山猫のように過酷な現実を生きてきたアッシュ・リンクスが英二に出会うことによって変化していき、牙と爪が徐々に抜け落ちて…しまうのか否か。
そんな状況で、アッシュは命がけで「バナナ・フィッシュ」の謎を解こうとしていく。
アッシュと英二の友情も気になるところだが、息つく暇もないジェットコースターのような物語がやたらと面白いのである。
アニメ化に際して、物語の時代設定が80年代から2018年ころに変更されている。
これにより、退役軍人であるアッシュの兄が戦っていたのがベトナム戦争からイラク戦争へと変更され、スマホなどのアイテムを使うシーンなど付け加えられている。
ただ、登場人物のファッションや街並みは80年代の雰囲気を残しており、原作へのリスペクトを感じられる。
この時代設定変更は、かなりの話し合いを重ねて決定されたとこではないかと憶測している。
だって、これ、80年代だから成立するお話じゃなかろうか!?
それをあえてやってるのだ。
いや、この決断はそうとうなもんだったと思うのよ。
しかし…、実際の80年代を生で体験した私は思う(当時子供だったけど)。
80年代のままやっても、それはそれで素晴らしい作品になったのではないだろうか。
80年代(特に後半)って、どの時代にもないほどにイカれていたと思うんだ。もうホントにクレイジーだった。
最近80年代をエモいって言うらしいけど、確かに。エモいほどクレイジーなんだわよ。
この「BANANA FISH」という作品全体から、そのイカれ具合、エモさがビシバシ伝わってくる。
これを現代に…となると、だいぶ違和感が残る箇所が生まれてしまう。
アニメでは相当その違和感がないように工夫されてる。
しかも、原作は80年代なんだよってことも消しすぎないように絶妙な感じで作っててすごいと思った。
すごいと思ったのだ……だが、でも、やっぱり、ジェンダーの偏りとか性的マイノリティに対する意識の感じとか、ドラッグに関することとか、「現代だ」と言われると、むむむ??となる箇所がちょいちょいあった。
原作ファンの人たちはこの変更をどう思っているのかなー。
できれば80年代のままやってほしかったけど、現代に変更されてても素晴らしい作品には変わりなかった。
そんな感想です。
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