心に残るエピソード|意図のない慰めとは患者さんの笑顔だった話
当時看護師2年目23歳の頃、内科病棟で勤務していました。
ある程度仕事にも慣れ、患者さんとのコミュニケーションも難なく取れていた・・と思っていたある日、ふとした事で50代後半男性患者さんの機嫌を損ねてしまいました。
機嫌を損ねた内容は業務としてのトラブルではなく、その方は片麻痺があり毎日リハビリ室へ通うことが日課でした。私が受け持ちの日は病室からリハビリ室まで杖歩行の患者さんの横を付き添っていました。受け持ちでも看護師が付き添うルールはなく、他スタッフは助手さんに頼むことが多かった様です。
その日はとても忙しく、リハビリ室への付き添いが出来ず、助手さんに付き添いをお願いしました。
その後、リハビリ室から帰った患者さんを訪室すると、とても不機嫌。見た目でイライラが分かり口調もきつく「どうして今日は付き添いこなかったんだよ!」とほぼ怒鳴り声。宥めつつ話を聴くと、病室からリハビリ室までの少しの時間の会話を楽しみにして下さっていたようです。
その場で時間が取れなかったことを謝り退室しましたが、事前に付き添いが出来ない事を伝えれば良かった・・など自分なりに反省しつつ凹みました。気持ちを切り替えて落ち込んでいることを顔に出さないように気をつけていても、頭の中は「はぁ、まだまだだなぁ💦」と軽いため息が・・
そんな気持ちを和らげたのが他の患者さんでした。
直接慰められたのではなく、全くの意図のない慰め。
その方は50代前半の女性、重度の貧血で入院中でした。入院後は食欲もなく、怠さから元気も見られませんでしたが、その日の昼食は初めて病院食を完食され、下膳の見回りに周っていたところ「看護師さん!見て全部食べられたの!!」満面の笑みで声をかけられました。(当時は看護師ではなく看護婦)
その笑顔、声の張り、空になったお膳、それだけで私自身が涙が込み上げるほど嬉しかった。実際には涙は出ていませんがそれほどの嬉しさがあり、先ほどの気落ちしていた気持ちが和らいだのです。
慰めとは、意図的な場合が殆どかもしれませんが、こんな風に意図せず日常の他愛ない場面こそ記憶に残るのかもしれません。
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こちらの記事は、今夏のチェーンナーさんのバトンリレー企画として書いたもう一つのエピソードでした。
そのお気持ちに感謝します😊