【ネタバレ注意】劇団四季「オペラ座の怪人」が素晴らしかった
劇団四季の「オペラ座の怪人」、みなさんはもうご覧になりましたか?
私は8月に観てきましたが、想像以上に見ごたえがあり、今でもなお、ミュージカルナンバーの音楽が時々脳裏に浮かぶ状態です。
そこで、記憶が薄れないうちにレビュー&感想を書いておこうと思います。(大作です(笑)長い文章を読むのが苦手な方やネタバレが苦手な方はスルーでお願いします)
もくじ
・「オペラ座の怪人」とは?
・「オペラ座の怪人」のストーリー
・筆者の感想
・おまけ
「オペラ座の怪人」とは?
「オペラ座の怪人」は、フランスの作家、ガストン・ルルーの原作をもとにしたミュージカル。1986年にアンドリュー・ロイド版がロンドンで上演されたのを皮切りに世界中で上演されるようになり、今や史上もっとも多くの人が観たミュージカルに。初演から四半世紀経った今も多くの人に愛され続けています。
日本での初演は「オペラ座の怪人」がブロードウェイに進出したのと同じ1988年。劇団四季により初めて公演が行われ、今日まで続いています。
ストーリー
ミュージカルは、オークションのシーンから始まります。ともに年老いた男性と女性があるオルゴールをめぐって激しく競り合いを繰り広げ、その結果オルゴールは男性の手に渡りました。
その直後競売に掛けられたのが、かつて凄惨な事件が起こったオペラ座のシャンデリアでした。そこから一気に時代はさかのぼり、事件当時のオペラ座のシーンに変わります。
コーラスガールとしてオペラ座の舞台に立つクリスティーヌ・ダーエ。途中で舞台を降板したプリマドンナの代わりに主役を務め、大成功をおさめます。クリスティーヌは亡き父の贈り物と信じている”音楽のエンジェル”によるレッスンの結果、優れた才能を開花させたのです。
そんなクリスティーヌとの再会を喜んだのは、オペラ座の後援者でありクリスティーヌの幼馴染でもあるラウル・シャニュイ子爵。しかしラウルがクリスティーヌの楽屋に行くと、彼女は忽然と姿を消していました。
彼女の姿を消したのは、オペラ座の地下深くに住む「エンジェル」ことオペラ座の怪人。まさにオペラ座の「主」として裏でオペラ座を牛耳っており、関係者からは謎の人物として恐れられていました。
怪人は大変才能にあふれる賢い人物で、今でいうなら「声だけ超絶イケメン」な男性でした。しかし生まれつきの醜い容姿から母親にも疎まれて育ち、恵まれない人生を歩くうちに性格がゆがみ、DV&ストーカー気質な人物になってしまったのです。
そんな怪人にとっての唯一の癒しがクリスティーヌの存在でした。愛されることを知らない彼は、ゆがんだ愛情でクリスティーヌを半ば洗脳。まだ精神的に幼さが残るクリスティーヌは、彼の洗脳にはまっていくのです。
そんななか、クリスティーヌはそれまで見たことがなかった怪人の醜い素顔を見てしまいます。驚愕した彼女は初めて目が覚め、ラウルとともにオペラ座から逃げることを考えます。
その後ストーリーはクリスティーヌ、ラウル、怪人の3人の愛憎劇を中心に繰り広げられ、その周囲で彼らに関わる人々が複雑に絡み合いながら進行していきます。そして普通なら起こりえない怪奇現象や、凄惨な殺人事件が起こります。
そのような経緯を経て怪人はクリスティーヌを拉致します。助けに来たラウルを拷問にかけるも、クリスティーヌの愛情あふれるキスにより改心。自ら身を引くのです。
筆者の感想
ミュージカルが進んでいく中で特に強く感銘を受けたのが、クリスティーヌの心の成長です。最初は夢見心地でどこか幼かった彼女が、オペラ座に起こる様々な怪事件や、彼女に降りかかる試練を経て、短い間に心が目覚ましい成長をとげます。ミュージカル終盤には、母性すら感じさせる大人の女性に変貌します。
また、悲しい過去を持つ怪人の歪んだ愛情と心のゆらぎを、主演の佐野正幸さんが見事に表現。圧倒的な歌唱力と演技力で観る人の心をわしづかみにしていくのです。
怪人役の佐野正幸さんは静岡県藤枝市出身。東京芸大声楽科出身のベテラン歌手らしく、情感あふれる美しいテノール(?)で、ミュージカルナンバーを朗々と歌い上げます。その声は文字通り五臓六腑に染み渡るようなすばらしい歌声で、聴く人の心を虜にすること間違いありません。
さらにすばらしいのが舞台美術!決して広いとは言えないステージに驚くほどの奥行き感が生まれ、壮大なスケールの舞台となっていました。美術担当のみなさん、素晴らしかったです。
あと、私は2階席(B席)だったのですが、その最前列は手すりで観にくいんですよね。でも、劇団側がそれを考慮して座席に座布団を用意。そのきめ細かな心遣いに感動しました。
今後も各地で公演は続きます。もしお住まいの近くで公演があれば、ぜひ劇場に足を運んでみて下さい。
おまけ
怪人の素顔を見たクリスティーヌが、それまで「エンジェル」に夢中だったにもかかわらずその顔にドン引きしてラウルに傾くシーンを見て「女性って残酷……」と思いました。
しかし、よく考えてみればですよ。どんなに才能あふれていても、醜い容姿でDV&ストーカー気質の男じゃそりゃ引くだろうなぁ……と納得。それに、目の前にちょっと頼りないけど見た目も中身もイケメンな若い男性が現れれば、やっぱりそっちを選ぶだろうな~~~とも思い……まあ、そんなことも印象に残った次第です。
あと、冒頭の高齢男性と女性は当時の関係者です。特に男性は…いやいや、それ以上のネタバレはやめておきましょう。(今さら)
大変な長文で失礼致しました。ここまで我慢して読んでくださった奇特な方、まことにありがとうございました。