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声のプロフェッショナルが奏でる日本文学「吾輩は猫である-はじまりの漱石-」観劇(感激)レポート

吾輩はタコである。
…と思って足をよく見てみたらイカだった。

すみませんちょっとボケてみたくなる年頃なんです。

はい!ということでイベント紹介いってみましょー!この「声のプロフェッショナルが奏でる~」っていうのは、普段は主にアニメのお仕事をなさっている声優さんたちが対象となる作品だったりその作家の歴史的な背景だったりを掘り下げて演じる朗読劇のシリーズイベント。これまでにも同企画にて漱石の他作品(「三四郎」「それから」「門」「こころ」「草枕」)が演じられ、日本文学以外でも「ハムレット」や「ロミオとジュリエット」などがテーマに選ばれています。パンフレットを見る限りでは、タイトルが「声のプロフェッショナルが奏でる~」になったのは昨年講演の「草枕」からのようです。へぇ~、声優ってこんな仕事もしてるんだなぁ。

今回の「吾輩は猫である-はじまりの漱石-」は10/27(火)~11/1(日)にかけて行なわれ、日毎に演じる声優も異なります(2日間出演なさる方もいます)。

私は!もっちろんお気にの声優である茅原実里さんの出演する10/30(金)公演に行ってきました!えぇそりゃ会社だって休みましたよ!今年はライブも行けなかったからね!これが今年のみのりん見納めですよ!嗚呼みのりんみのりん💛今年はニコ生放送やファンクラブ向け音声番組も始まりファンとしては実里…もとい実り多き年となりました。

コホン…えー10/30(金)の出演は茅原実里さんの他には高塚智人、安済知佳、神尾晋一郎といった面々。安済さんは「響け! ユーフォニアム」でみのりんと共演しています。同作品の高坂麗奈(安済)と中世古香織(茅原)のトランペットソロ争いのシーンはテレビの前で本当に泣きましたよ。まさかこんな形でふたりの共演が見られるなんて…。

さてそれではそろそろイベント関連のお話へまいりたいところではありますが、とはいえ夏目漱石で朗読劇でしょ?「吾輩は猫である」は確か中学生の頃に読んだけど、そんなン十年前に読んだ本の内容なんて記憶にないよう…ということで、観劇前にちょっくら予習しときますかいなとNintendoDSの「DS文学全集」でパラパラ見してみたら…。

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んぎゃー!何よこのページ数しかも思いっきし明治の文体だし、こんなん1日で読めるわけないやん!!
うわームリムリのムリっ。絶対これ途中で寝てしまうわ私。
でもみのりんが目の前にいるから大丈夫と自分に言い聞かせて、新宿のサザンシアターとやらに向かう私でありました。

さぁ座席に座っていよいよ始まるよ朗読劇。席ガチ埋まりしてるんだけど、ソーシャルディスタンス大丈夫なのかな?まぁみんな観劇中はしゃべらないからいいのかも。

朗読劇は演者が並んだのち、唐突に始まりました。

「吾輩は、猫であるッ!名前は……まだにゃいッ!!」

!!!!?
え、いま何て言った?
まるで漫画の台詞のように「ッ!」がまじまじと見える張りのある声。
そして「にゃい」??
何よそれ朗読劇ってそれでいいの?
演者が夏目漱石の文をえんえん朗読するのだと思っていたのだけど。
いい意味で期待を裏切られたよこれ。ええやん朗読劇。
いやこれだったら私寝ないで最後まで見てられるわ!

この後も万事がこの調子で猫の言葉はにゃん口調に、夏目漱石が書いた意味分かんない文体は現代の口語体にほぼ直され(でも漱石っぽさは残ってる、このさじ加減が絶妙!)、私みたいに普段あまり小説を読まない人でも引き込まれる内容になっている。シナリオライターさんすごいっ!構成・演出 の深作健太さまリスペクトいたします!

そして演ずる声優さんたち。これ後で台本見てみたら登場人物が18人に猫が5匹、計23もの役が存在していて、これを4人の声優に割り振っているのね。次のように。

男1:夏目漱石、主人、三毛(猫)、琴の師匠
女1:吾輩(猫)、女、多々良三平
女2:夏目鏡子、奥さん、水島寒月、三毛子(猫)、シロ(猫)、おさん、子供、鼻子
男1:正岡子規、迷亭、クロ(猫)、兄、医師、下女、巡査、東郷平八郎

いくら声のプロフェッショナルだからって無茶言い過ぎだよこれ…。
みのりんと神尾さんひとりで8役とかやってるんだけど?

あるシーンから別のシーンに移るときには同じ声優が続けてしゃべることがないようにシナリオで配慮されているように感じましたが、それでもシーンごとに役柄が異なっていたら混乱するんじゃないの?衣装チェンジするわけじゃないんだし…と思って観ていたのですが、いやこれどの声優さんも相当それぞれの役を作り込んで演じてますよ。見てて全然違和感がない。むしろこの状況で違和感ないことに違和感があるんだけど。すごいなぁさすが声のプロフェッショナル。

すごいと言えば、私的にイチ推しのみのりんは劇中に凄まじい芸当を見せてくれました。小説を読んでいる方は分かると思うのですが、吾輩猫が隣の家の三毛子(猫)と会話するシーンです。三毛子が「(うちのお師匠さんは)元は大層、身分が良かったそうよ」と言うのに対し、吾輩猫が「元は一体、何だったのです?」と聞き返し、それに対する三毛子の返答、

(早口で)「あの天璋院様の御祐筆の妹の、御嫁に行った先の、おっかさんの甥の娘さんですって」
「…ニャンですって?」
「だから、(早口で)あの天璋院様の御祐筆の妹の御嫁に行った」
「ニャるほど。あの天璋院の妹の御祐筆様の、」
「そうじゃニャいの。(早口で)あの天璋院様の御祐筆の妹の、」

「あのてんしょういんのごゆうひつのいもうとの…」何なんだこれは復活の呪文か?
有名な声優修行に「外郎売」(ういろううり)というのがありますが、言うなればあれを言葉を変えて高速でやるバージョン。
シナリオには(早口で)とかしれっと書かれてるけど、これを一発勝負の舞台で、すごい高速で一度も途切れずにスラスラとやり通したみのりんに私は感動を通り越して鳥肌が立ちました。
いやお気にの声優だからひいき目で見てるかもですが、声のプロフェッショナルの底力をここに見た気がします。このワンシーンを見るだけのために観劇料を払った価値があったというものです。

お話しについてもネタバレにならない程度に少し触れておきましょう。この朗読劇は元の小説である「吾輩は猫である」をベースにしつつも、当時の時代情勢(日清・日露戦争時の明治)や漱石と交友のあった正岡子規の生涯についてしばしば回想シーンのような感じで触れており、最終的には夏目漱石の人生を垣間見るような仕上がりになっていると感じました。

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1000円札になったこともあるくらい我が国を代表する作家ではありますが、私みたいなツンデレ…もといツンドク家には学校の授業かこういうことでもないと作品に触れる機会もそうそうないので、そういう意味では良い勉強をさせていただいたと思っています。
…うぅむ何か私にしてみたら固いシメやな。

とゆーことで!
みのりん素敵なお芝居見せてくれてありがとうっ!
今度は11/22(日)、ファンクラブイベントのキャラソンライブ「JUKEBOX」でお姿見られることを楽しみにしています!

後日談。
結局「吾輩は猫である」はNintendoDSで3分の1くらい読みました。
続き読もうかどうしようか悩み中。
もうだいたい話分かっちゃったしなぁ。どうしようかなー。
ま、気が向いたらまたパラパラ見しようっと。

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