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芸は一流、人気は二流、ギャラは三流
6月3日、テレビで報じられた上岡龍太郎さんの訃報に呆然となり、これでまた上方の偉大な芸人がいなくなったと、気持ちが沈んでしまいました。
もしかしたら関西圏の人しか知らないのかもしれませんが、私にとってはとても身近な方でした。
軽快で流暢な切れ味鋭い話芸は、お見事でした。
本当に全く噛まないのです。
頭で浮かんだことを最も効果的なカタチで言葉にする能力はタダ者ではありませんでした。
無駄のない文章を瞬時に作り、それをまた無駄のない言葉にする事は、誰にも真似のできない一流芸でした。
パンパカパーン!
今週のハイライト!
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私の記憶は、このセリフで始まる「漫画トリオ」からです。
横山ノック、青芝フックとの3人の軽快な漫才は、子供の頃に楽しんで見ていたのが思い出されます。
その後、私の記憶では横山ノックの政界進出をキッカケに解散したのですが、それ以前だか以後だったか定かではないですが、どちらかというと横山ノックさんと二人での番組が多かったように思います。
二人の掛け合いが見られる番組も数多く、一時は関西の番組で本当によく見かけていたのです。
いつも上岡さんのツッコミは冴えわたり、笑いのツボとなっていました。
「探偵ナイトスクープ」初代局長
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上岡さんと言えば、何といっても「探偵ナイトスクープ」の局長ですが、これももしかしたら全国ネットではなく、関西ローカルなのかな?
現在はダウンタウンの松本人志さんで、その前が俳優の西田敏行さんでした。
私はやはり、上岡さんの時が一番面白かった!
現に、西田さんに交代した時を境に、観る頻度は確実に下がりました。
決して、西田さんも松本さんも悪くはない。
しかし、上岡さんのような空気にはなれない。
相変わらず毒舌で、ツッコミは鋭いのですが、それが絶妙で私には愛あるツッコミに聞こえていました。
人によっては上岡さんの毒舌を嫌う人もいますが、私にはどうしてこのセンスがわからないのかと理解に苦しみます。
ギリギリの線の毒舌は、関西でしか受け入れられない地域性のものかもしれません。
基本的に深い見識を持つ人の毒舌と、知識の浅い人の毒舌とは全く違うと私は思います。
上岡さんは完全に前者で、確実に得た知識があるからこそ冴えるツッコミができるのです。
だから笑えるのです。
アホな人間の不用意な毒舌は笑えない。
公言通りの完全引退
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これがまた、カッコいい!!
2000年の3月に引退したのですが、それ以後23年間、まったく表舞台には登場していません。
引退する数年前から、芸能生活40周年の2000年で引退することは言っておられましたが、まさかこんなに潔く辞めるとは思っていませんでした。
人気絶頂のMCに登りつめていたのに、全ての芸歴を捨て、一切のメディアから完全に姿を消した上岡さんは、やっぱりカッコいいと思います。
上岡を師と仰ぐ島田紳助
2011年に芸能界を引退した島田紳助さんは、師弟関係こそないですが、上岡龍太郎を心の師として慕っていました。
紳助も上岡とタイプは同じ傾向かもしれませんが、私の中では全く違います。
彼もまた不祥事をキッカケに引退することになるのですが、自分で引退を決断した以上、このまま返り咲かないで欲しいと思います。
同じように人気絶頂の中での引退なので、惜しいと思われる存在ではありますが、ここは自分の意志で決めたことは貫くべきだと思うのです。
芸能界には引退したくせに、満を持して復活する人も多く、いつも心の底ではガッカリしていたのです。
現役中がどんなに輝いていたとしても、すべてが色褪せてしまい、これほどカッコ悪いことはないと思うのです。
上方お笑い界の一時代として
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おそらく若い世代には認知度は低いでしょう。
お笑い芸人、人気MCとしてご活躍されていた時代を知っているのは、若く見積もっても30代中盤以降だと思われるので、とっくに忘れ去られていた芸人さんでもあったと思います。
しかし、彼の足跡を知る私のような人間はたくさんいるはずで、今回の訃報は、上方お笑い界の一つの終わりを告げられたような、そんな一抹の淋しさを感じずにはいられません。
上岡さんは、私の人生を彩ってくれた一時代のスターであることには違いなく、小さい時から第一線で活躍する憧れの存在でした。
彼の訃報は、単にひと昔前のタレントの死を告げるものだけには留まらず、自分の人生の中の一つの「華」が散ったという感覚にとらわれたのは否めません。
このままいつか風化するのか
私もいつかは人生を終える時が来ます。
そうなると、上岡さんの一時代を知る人間が1人いなくなった事になります。
単に名もない人間がこの世を去るという単純な事ではなく、彼を知る人間が一人減る事になり、それが繰り返されることで、やがては忘れ去られるのでしょうか。
どんなに輝かしい人生であっても、いつかは伝説となり、やがては風化して、歴史に埋もれてゆくのかもしれません。
自虐と自愛
この記事のタイトル文は、上岡さんのラジオ番組の冒頭での決まり文句でした。
さらに続きがあります。
芸は一流、人気は二流、ギャラは三流、
恵まれない天才、私が、上岡龍太郎です!
ここまでがワンフレーズでした。
この短い挨拶の中には、自虐と自愛が程よいバランスが込められています。
復帰を多方面から期待されながらも、ついに自分を貫きとおした姿勢には感服します。
自分の役割を知って引き際も綺麗に。
上岡さんらしい人生だったなとあらためて噛みしめ、心からご冥福をお祈り申し上げます。
◇◇◇
以下は上岡龍太郎、その他の名言です。
(心を響かせる名言集より)
夏の暑い日は道の真ん中を歩け。冬の寒い日は道の端っこを歩け。そうすれば、世の中は受け入れてくれる。
苦しい時は登っている時。自分が凄いと慢心した時は、下っている時だから気を付けろ。
エスカレーターに乗っても歩きなさい。自分を機械に任せたら終わりです。
若い時の苦労は買ってでもしろと言いますが、それは違います。苦労なんか買わんでもどんどん向こうからうやってきます。
結婚して10年経って結婚前より妻が不細工になったとしたら、その8割は男の責任である。
テレビで何が面白いか言うたら、素人が芸をするか、玄人が私生活を見せる、この、二つに一つ
客はやっぱり客でね、それだけの客としての存在価値があるんやから
悪い事をした連中を責めるのは、バカでも出来る。しかし、悪い事を仕出かす仕組みを解析するのは、バカではまず出来ない。
ボクの芸は20世紀で終わり。21世紀には新しい人生を歩みたい
大人たちがどれだけボロクソに言おうが気にする必要は全くないということをプレスリーは教えてくれました
芸人ってのは落ちこぼれです。社会のはみ出し者。アウトロー、いわば暴力団と一緒です。やから、我々芸人とヤクザは一緒。芸人とヤクザが癒着したらアカン言うけどウソ。根が一緒だから癒着も何もない、元々同じタイプの人間やからね
人間は死ぬ。必ず死ぬのだけれども、今すぐに死ぬわけではないということだ。死ぬには、間がある。この間があるということを、決しておろそかにしてはいけない。
フツーの人のレベルの定価の原因の一つは、「内と外」の区分けがなくなったことにある。とりわけ「外」の意識が若い層にない。みんな、どこでも家の中のように振る舞っている。それが美しくない。
ノックさん、あなたは僕の太陽でした。あなたの熱と光のおかげで、僕は育ちました。あなたの温かさと明るさに包まれて、生きてきました。ノックさん、あなたはみんなの太陽でした。
お金がいるから働くというけれど、逆だ。働くからお金がいるのであって、働かなかったらお金はいらない。見事にいらない。
金がいるのは、子育てと見栄のため。それ以外に金はいらない。
生きることは、どこかで世の中に貢献することです。お笑い芸人にでも、人々に、ものの見方を変え、価値観を点灯させてみせると、世の中が違って見えることを示唆する、極めて形而上学な役割があります。
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