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鳥見散歩<U湖編>1/3話 2023年8月 声だけでした

 先日、鳥見仲間で茶飲み友達のモカさんとU湖へ鳥見に行きました。

 U湖はダム湖です。
 ここの東岸には毎年サンコウチョウという夏鳥が来るのでよく足を運んでいるのですが、未だに会えていません。

 まだ諦めていないとメールしたところ、モカさんが同行してくれることになりました。

 モカさんは「もっと近くで探せばいいのに」と言います。
 確かにそうなのですが、何度も足を運んだ結果、いちばん情報を持っているのがU湖なのです。

 どこで鳴き声を聞いたとか、目撃されたとか。
 一番近いコンビニ、日陰に車を停められる場所、西岸にある公園のトイレがきれいとか。

 やはり「よく知っていて行きやすいのはU湖」なのです。

 日陰に車を停めて、準備を整えました。

 もう子育ての時期は終わっています。
 さえずりをしないので、探しにくくなっていると思いますが、警戒心は薄くなっているはずです。

 最初にミズキの木をチェックしました。
 実がいくつか黒く熟しはじめているのが見えました。

 モカさんが頭上を見上げて
 「メジロ」
 と、言いました。

 上すぎて、写真に撮ってもメジロのおなかだけになりそうでした。

 さらに進みました。
 杉林と広葉樹が隣り合わせの場所でお目当ての鳥が鳴きました。

 ジジッ ギッ ホイホイホイホイ

 思わずモカさんと顔を見合わせました。

 「……まさか」
 「いたねぇ」

 周囲を見回しましたが、鳴き声の主は見つかりませんでした。

 少し落胆しているときに、遠足っぽい団体さんに会いました。

 子どもたちが10人くらい、付き添いの大人が少々。

 付き添いらしい女性が声をかけてくれました。
 「こんにちは~、何か鳥が撮れますか」

 鳥目当てだと分かるみたいです。

 これにモカさんが答えました。
 「撮れていないけど、サンコウチョウが鳴きました」

 女性は歩きながら
 「サンコウチョウですか、調べてみます」
 パッとスマートホンを取り出して検索しました。

 その団体さんは歩いて先に進んでしまったので、表情などは見えなかったのですけど
 「超かわいい!」
 なんて聞こえてきました。

 スマホの女性を取り囲むようにして、みんなで画面を見ていました。

 その様子に、思わずにんまりする私たちでした。

2につづく。


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