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発達年齢域*𓈒火星期♂

占星術では、人間の発達を公転周期順に天体と結びつけています。
それは、発達心理学の発達段階や発達課題にも繋がる興味深いものです。

発達段階・発達課題

発達心理学の発達段階は、
どのように年齢を重ねて、
どのように発達して、
どんな心の問題が出てくるのかがわかり、
「今」すべき課題が見えてくるので知っておくと生きやすくなると思います。

発達課題とは、人間が発達していく段階で獲得すべき課題です。
それに成功すれば社会的にも承認され次の段階も達成しやすくなりますが、失敗した場合、社会からも承認されず次の段階の課題を成し遂げることが困難になるともされるもの。

エリクソンの「心理社会的発達理論」が
人間の生涯発達を大変よく示しています。
「心理社会的発達理論」は、人生を8つの段階に分け、それぞれの段階での発達によって表われてくる自我の特性を対になる2つの概念(社会的危機)であらわしています。
社会的危機とは個体と環境との関係から要求される発達課題を獲得できるかどうかの緊張状態で、必ずしも成功(肯定的側面)のみが良いものではなく、不成功も経験する必要性があるとしされています。

人間とは葛藤しながら成長していくものです。
エリクソンはその葛藤の中から基本的な強さが生まれるとしています。
占星術の発達年齢域もその時に獲得すべき発達課題を示し、そこでつまずいてしまうと後の達成が困難となり社会への適応も難しくなることを示しています。

心理占星術では、つまずいてしまった部分があったとしたら、その段階に戻り学び直すことで克服できるとしています。
これは心理学でも同じ考えです。
発達させるべき年齢域に発達させるのが環境的にもベストであり、その時期でないと獲得できないものがあるのは事実だと思いますが、人は死ぬまで変化し成長し続けることができます。
学び直しに遅すぎるということはないです。

「中年ほど心の危機をはらんだ季節はない」
とされ、人生の折り返し地点であり、この時期をどう過ごしたかで、その後の人生が大きく変わる中年期と火星期♂について。

占星術:火星♂期 発達年齢域35~45歳


人生でとても重要な時期です。
この時期は、発達心理学では成人期後期の入口くらいにあたります。
一般的に40歳ごろから50歳中盤までが「中年期」と呼ばれているので、中年期に入っていく頃にあたります。
心理学者のユングは、人生を太陽の運行になぞって考え、40~50歳の頃を「人生の正午」としました。これまでのやり方が通用しなくなり、身体的な衰退を感じ、自らの限界や死というものを受容していかなければならなくなります。自分自身と向き合い、これからの生き方について真剣に考えなくてはならない時期です。

「中年の危機」は、その名の通り、中年期特有の心理的葛藤の危機で、
中年期の入口である火星期♂をどう過ごしたかが重要になってきます。

占星術的に、この火星♂期は、自身のネイタルチャートにトランジットの大惑星達が次々に緊張や葛藤のアスペクトを形成してくる時期です。
厄年にもあたる年齢で重要なことがわかります。

★火星期の具体的アスペクト
37歳頃  ネイタル冥王星⬜︎トランジット冥王星
40-42歳 ネイタル海王星⬜︎トランジット海王星
41-42歳 ネイタル天王星 ☍ トランジット天王星
42-44歳 ネイタル土星 ☍ トランジット土星


火星期♂は火星の天体としての象徴
「意欲、情熱、行動力、主張、欲望、自律」
が獲得すべき大きなテーマです。
自分の人生を主体性を持って生きれているか。
人生の中心が「誰か」になっていないか。
社会の価値観にとらわれず「自分」を生きているか。

火星の象徴するものは、
自ら行動し獲得していく=「生きていく力」
を示しているともとれます。
自分の力を信じられれば自己信頼に繋がります。
そして、自己信頼ができれば他者を信頼することにも繋がります。

太陽系でみると、火星は岩石惑星で個人天体の最後です。
次の木星、土星は巨大ガス惑星で社会天体になり、個人から離れていきます。
発達心理学的にも成人期後期以降は、個人から離れて社会に寄与していく年代になっていきます。

エリクソンの「心理社会的発達理論」では
成人期後期の心理的主題を
次世代育成能力(generativity) VS停滞性(stagnation)
としています。
次の世代へ与えていくことができなければ、人生が停滞してしまいます。

この火星♂期で、自分の力を信じて、他者を信じることができれば、時代の変化や社会の変化に負けないで前向きに生きていくことができます。
そして、他者にも与えることができます。

しかし、それができなかった場合、無力感に繋がり不安しか生まれなくなるでしょう。
無力感からは守ることばかり、停滞するばかりで与えることができません。

自分の人生を創り出す力を手に入れるのか、それとも停滞し無力感になっていくのかで、これ以降の中年期、老年期(占星術では木星♃期、土星♄期)の過ごし方が変わってきます。

𓅫 𓂃*𓈒
私自身が火星期♂にいるので、身体の面や能力的にも限界が見えてきて、今までのやり方では通用しなくなってきたことが多くあります。

社会的役割も変化し、自分の在り方が問われている中で、自分に何ができるのか試行錯誤の日々。
年齢を重ねるごとに、失敗が怖くなりチャレンジもできなくなってきますが…
それでも自分の可能性を見出したい。
このまま人生を終わらせたくない。
自分の人生を私らしく生きたと思えるようになりたい。
そう思うようになったのは火星期♂に入ってからです。

トランジットは「今」実際に運行している星の配置です。
トランジットの天体が大惑星とアスペクトを形成するときは重要な心の変化の時期です。
火星♂期にトランジットの大惑星達がネイタルチャートに次々とアスペクトを形成してくるのは、やはりとても意味のあることだと思うのです∗︎*゚


人生がこのあと無限に続くわけではないということをいやがおうでも意識させられる時になります。
ですが、いろいろなことを「諦める」のではなく、時間と年齢を受入れつつ、これまでよりさらに実際的、建設的に人生を設計し直して前に進んでいけるときになるでしょう。
また、これまで何かを我慢し続けてきた人は、これから今まで抑圧してきたことや本当にやりたかったことを形にしていく努力を開始すべきときになったことを星が告げています。

引用:「鏡リュウジの占星術の教科書Ⅱ 鏡リュウジ」

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