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無拍子

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全部で33話の物語です。
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無拍子(第三章(最終章))

無拍子(第三章(最終章))

第三章
それは自分で探すもなのさ、口説くなるようだけど
【24 凪=風がやんで波が無くなり海面が静まること】
部屋の真ん中にパスタの麺がこねられるような大きな机があり、そこに大きくてカラフルな布が敷いてある。
その布の上には、さっきボンゴレ大陸と話し込んでいた、大きな丸い蛸がイライラしている雰囲気で待っていた。
その身体の色合いが、薄白く変わっていたからね。
セバ教授改めアンクル(この呼び名は今の

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無拍子(第二章)

無拍子(第二章)

第二章
周りの人間も、君が好きで好きでたまりません
【12 かなり寒い日に、僕らはいきなり旅だった】
トマトの宣言を聞いた後、僕はドルトムント伯爵の顔をドキドキしながらちらと見る。
「ん、ん、ん」と、又咳ばらいを3つ
ドルトムント伯爵はゆっくりと、そして柔らかい声でこう切り出した。
「ペンギンの足は?」
その言葉にまたしても僕は驚いてしまう。
さぞかしトマトも驚いているだろうと、彼女の顔を覗き込む

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無拍子(第一章)

無拍子(第一章)

第一章
目的を持たずに生きるということの楽しさ
【1 魚屋のおばさんとそこに居合わせた客の会話】
夕暮れ時。
僕は最近、親といまいち折り合いが悪く
家に帰りたくないと思うことがしばしばあった。
いつもはそこらに落ちている空き缶なのだけど、その日に限って空き缶はひとつも手に入らなかった。
角の酒屋のごみ箱に何種類かの空き缶を見つけた。
缶詰の缶は論外だし、ビールの缶もいまいち気に入らない。
そこにマ

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無拍子を書き終えて

無拍子を書き終えて

12年前にガラケーで書いた物語です。

文章も内容もはちゃめちゃで破綻してたので、今回ノートに上げるのに修正箇所が多い多い(修正してあれですか?とかいうのは聞きません)

物語の概要も何も考えずに毎日ガラケーに打ち込んだものをPCに貯めてたんですが、何せ12年前なのでデータがどこにも無くなってて

紙の資料だけが残ってたので、それを打ち直しました。

こんな話の長編があと何本か、長編はやっぱり話が

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無拍子(23)

無拍子(23)

【23 さようなら さようなら】

風船の中で、はだしの花ペンギンのイースカーは、自分のポシェットをゴソゴソ探っている。

イースカーは、いつか雷で出来た大きな木にもらっていた木の実が入っているのにハッと気付く。

イースカーは雷で出来た大きな木の忠告をすっかり忘れていて、おなかがすいている事をいいことに、その木の実を自分の黄色いくちばしの中にポーンと放り込んだ。

イースカーはくちばしの中でバリ

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無拍子(10)

無拍子(10)

【10 ドルトムント伯爵 満お持して登場。そしてテレビの謎の解説】

アンズは毛ヅヤが良い事でもでもわかるよう、機嫌もすこぶる良かった

「こないだわ、ご馳走様ね。それとバラの花束をありがとう。とても鮮やかな赤い色になりましたね」

アンズはいつの間にかダイニングテーブルの上に置かれていた花瓶に刺さったバラの花をクンカクンカと鼻を鳴らして嗅いでいた。

何本もの1輪挿しの花瓶が並びだしたのは、その

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無拍子(9)

無拍子(9)

【9 夏ウサギのソテーに一同愕然そしてスィングするモンスター再び】

月と別れてしばらくたった頃だろう

僕らは夕空という階段を降り始めた。

降りていく中で2度休憩をして2回僕の[緑山猫]の意見をワンピラポに伝えた。

その説明にワンピラポはウンウンうなって

「そうなのか、であるならばもろみそば畑の前にいたやつかもしれないぽぬ」

トマトは僕らの話を聞きながらやっぱりコロコロ笑っていた。

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無拍子(4)

無拍子(4)

【4 スイングしているモンスターにバラの花束は似合わない】

マンホールのフタは凄く凄く重たくて、トマトと2人で必死になったけどピクリとも開かなかった。

どのくらいだろう、長いことそれと格闘していて、よっぽど諦めてしまおうかとトマトと言っていた時

僕の後ろにいたミニチュアダックスのアンズが僕を励ましてくれた。

それは、べろべろと僕の右足の空き缶に少し残ったジュースをなめているかのようにも見え

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