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無拍子(9)

【9 夏ウサギのソテーに一同愕然そしてスィングするモンスター再び】

月と別れてしばらくたった頃だろう

僕らは夕空という階段を降り始めた。

降りていく中で2度休憩をして2回僕の[緑山猫]の意見をワンピラポに伝えた。

その説明にワンピラポはウンウンうなって

「そうなのか、であるならばもろみそば畑の前にいたやつかもしれないぽぬ」

トマトは僕らの話を聞きながらやっぱりコロコロ笑っていた。

2回目の長い休憩を終えて、再び階段を降り始めた時それはそこにあった。

僕の表現があっているかどうかは何ともわからないが、それは間違いなくそこにあったのだ。

近くによらないと多分それは見えないものなのかもしれない。

その空中に浮いているプールの横には6台のピラミッドのように積み上げられたテレビとダイニングテーブルが、8脚の椅子とともに置かれている。

ワンピラポはその椅子の一つを後ろに引き、そこにトマトを座らせた後

「カジノフォーリーもここで座って待っていてくれ」というようなことを言って今度は2回「~ぽぬぽぬ」をつけている

なんとなく受け入れてはいたのだけど、どうやら僕の呼び名は[カジノフォーリー]として定着してしまったようだ。

僕の中の[カジノフォーリー]はあの騒がしい[カンサイジン]意外にいないのだけれども

ふと見るとワンピラポはいつの間にやら兵隊の服装から、コックさんのものになっている

頭には長いコック帽

ワンピラポはプールの奥にある扉から出て行ってしまう。

ワンピラポの早着替えの謎がわからないまま呆然と僕が立ち尽くしていると「座らないと何も始まることはないかもね」

トマトが僕にうながした。

そこでトマトの向かい座った。

それでなんでかはわからないのだけど、プールから連想させられるものの話をトマトに喋りだしていた。

ザパーッ

プールから勢いよく何かが水しぶきを上げ飛び出した。

ミニチュアダックスのアンズ…

そのもち前の竜のスタイルをクネリクネリと震わせながら僕らの方に向かってくる

(ここで初めて打ち明けるけど、アンズはミニチュアダックスっていう名の竜なんだ)

しかしながら僕らの前に来る頃には、すっかり犬の格好になっていたんだけどね

そうしてアンズが席に着くころにはプールの横にある扉からワンピラポが何人も並んで大きなお皿を運んできた。

フタのされている料理の皿は僕らの前に一つずつ置かれてね

揃ったところで、中から声がしたんだ

「今が食べごろです」

何人ものワンピラポは一斉にフタを外す

すると皿の上にはちょこんと、夏ウサギが座っていて僕らをじーっと眺めている。

それが急に何かの合図を待っていたかのように自分の丸々太った尻尾をむしると、手に持っているフライパンで見る見る間にソテーにしてくれた。

その尻尾をさらに残すとポンと皿から飛び降りた、夏ウサギたちはハイタッチをしながら入ってきた扉から出ていこうとする

出ていく間際には彼らの尻尾はもう丸々と元通りになっていたよ

トマトもそんな料理は初めてだったのか(調理法かな?)

当然のことながら僕と同じように愕然とした顔をしていたよ

トマトの笑った顔以外が見られてうれしかったのは、言わなかったけどね。



 

ひとまずストックがなくなりましたので これにて少しお休みいたします。 また書き貯まったら帰ってきます。 ぜひ他の物語も読んでもらえると嬉しいです。 よろしくお願いいたします。 わんわん