大奥(PTA) 第三十五話 【第七章 試練】
【第七章 試練】
赤鬼先生は険しい御表情で、診察道具棚から「とらうべ」(聴診器)を手に取られ安子様の腹部にそれを当て、胎児の心音をお確かめになられると、
「ああ、赤ん坊の心音が弱くなっている。ちくしょう、この子は九つ月だからまだ出て来てもらう訳にはいかねえ。頼む、持ち堪えてくれ」
辛そうなお声でこう呟かれ、常磐井様にこのように御指示を出されたので御座います。
「お慶、万が一と言う事も有る。この方のご主人を呼びに行ってくれないか」
常磐井様は、御心の痛みを堪える様な目で赤