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大奥(PTA)

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【カクヨムにて★554獲得 カクヨムコン中間選考通過 全話にコメントが付いた話題作】 【主人公 安子に今、運命の吹き矢(くじ引き)が突き刺さる…!?】  妊婦でありながら、二人…
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2024年7月の記事一覧

大奥(PTA) 第四十一話 【第九章 訪問】

【第九章 訪問】  安子様はしばし呆然としてその場に立ち尽くしていらっしゃいましたが、宗…

知良うらら
2時間前
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大奥(PTA) 第四十話 【第九章 訪問】

【第九章 訪問】 <産後鬱>  年も明け、桃の花も咲き初める弥生(3月)となりました。  安…

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大奥(PTA) 第三十九話 【第八章 名前】

【第八章 名前】 <宗家> 「なに! 産まれた? 男の子とな?」  奥方様は大声を出され…

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大奥(PTA) 第三十八話 【第八章 名前】

【第八章 名前】 <はやめ薬> 「お前さん、このお方が破水したのはいつの時分だったかえ?…

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大奥(PTA) 第三十七話 【第八章 名前】

【第八章 名前】 <産み月>  それから五日後の事に御座います。安子様の義母の奥方様の所…

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大奥(PTA) 第三十六話 【第八章 名前】

【第八章 名前】 <名前>  あれから時は一月ほど経ち、安子様の御出産が近づいて参りまし…

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大奥(PTA) 第三十五話 【第七章 試練】

【第七章 試練】  赤鬼先生は険しい御表情で、診察道具棚から「とらうべ」(聴診器)を手に取られ安子様の腹部にそれを当て、胎児の心音をお確かめになられると、 「ああ、赤ん坊の心音が弱くなっている。ちくしょう、この子は九つ月だからまだ出て来てもらう訳にはいかねえ。頼む、持ち堪えてくれ」  辛そうなお声でこう呟かれ、常磐井様にこのように御指示を出されたので御座います。 「お慶、万が一と言う事も有る。この方のご主人を呼びに行ってくれないか」  常磐井様は、御心の痛みを堪える様な目で赤

大奥(PTA) 第三十四話 【第七章 試練】

【第七章 試練】「倒れた時分、見ていた者は居るかい?」  赤鬼先生がお尋ねになると、 「…

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大奥(PTA) 第三十三話 【第七章 試練】

【第七章 試練】 火を出してしまってから消えたこの瞬間まで、自責の念と不安感で押しつぶ…

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大奥(PTA) 第三十二話 【第六章 提灯】

【第六章 提灯】 運の悪いことに、太郎君の肘にぶつかった手燭は、石段の脇に積んで有った…

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大奥(PTA) 第三十一話 【第六章 提灯】

【第六章 提灯】 <窺書(アンケート)>  その頃、安子様と常磐井様とおりんさんは、津軽…

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大奥(PTA) 第三十話 【第六章 提灯】

【第六章 提灯】<火の用心>  その時、かちん、かちんと拍子木の硬い音がして、自身番屋…

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大奥(PTA) 第二十九話 【第六章 提灯】

【第六章 提灯】<影>  日が沈んだばかりの夕闇の中、提灯を片手に持った安子様は、川沿…

知良うらら
10日前
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大奥(PTA) 第十八話 【第四章 青梅】

【第四章 青梅】 <決意>  時は、鷹狩御手伝いの日の四ツ半(午前11時)まで遡ることに致しましょう。安子様と常磐井様が寺子屋の仮の馬場(駐輪場)で小石拾いをしていらっしゃった頃合いに御座いましょうか。  どんよりと曇った空から冷たい雨がぽつりぽつりと落ちて参りまして、安子様の御夫君の御母君の所に長年仕え、今は暇を出されてしまっている女中の初島様は、唐傘を差しましょうと手元に目を落されますと、道端に植えられている額紫陽花の四角い白い額に雨粒が輝いて、真珠のようで趣きが有る