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宝塚の独特な用語「SとAとB」を勝手に解説するだけなのに二千字も費やしました。

当たり前のように23年も宝塚を観続けていると全く違和感がなくなるのだが、宝塚用語って独特がすぎる。

ポピュラーなところなら、

トップスター(各組の男役の頂点)
トップ娘役(各組の娘役の頂点)
ロケット(ラインダンス)
銀橋(ぎんきょう。本舞台から迫り出す細い舞台。本舞台との間にはオーケストラが入っていらっしゃる)

などなど。

初めて観たころはもちろん何も知らなくて、パンフレットを見ては首をかしげ、宝塚の公式雑誌を読んでもほとんどわからず(スター全員に愛称があって、普段はそれで呼ばれてるから。もうわけがわからん)。

しかし、ファンの吸収力たるやものすごいもの。あれよあれよと謎の用語もスターの愛称もマスターし、3年も経つ頃には歌声だけで誰か歌っているかほぼわかるようになった。

(今は残念ながら主要キャストしかわからない…あの頃はNHKでほぼ毎公演放送があり、それをテレビからカセットに録音して毎日毎日聴いていたのだ。朝、何を流して起きるかを決めるのが毎晩のルーティンだった。朝っぱらから「螺旋のオルフェ」とか「ヘミングウェイレビュー」とか流してた)

さてそんな独特宝塚用語だが、今日は「S、A、B」について勝手に解説させていただきたい。

S、A、B。パッと見ると座席の種類ね!て感じだし、実際に「S席、A席、B席」はあるのだが、今回はそれじゃない。

じゃあ一体なんなのよ?!

主にレビューにおける、スターにつく肩書及び序列を表すアルファベット

これが、S、A、Bなんである。

例えばパンフレットにはこんな風に載っている(星組で想像しました)。

第一幕 プロローグA

プロローグの紳士S 礼真琴
プロローグの淑女S 舞空瞳

プロローグの紳士A 愛月ひかる
プロローグの紳士A 瀬央ゆりあ

舞台上でこの4名の配置を見ると、だいたいこんな感じ。

画像1

実際の立ち位置でみるとこんな風↓

画像2

↑最前列センターはトップスター紅ゆずるさん。ピンクの衣装がトップ娘役あいりーん。対になっているのが、孫悟空の扮装をしてるこっちゃんと、紫の衣装のせおっち。

(宝塚の殿堂で撮影オッケーだった写真です)

つまり、Sが付く人はそのシーンでセンターに立つスター。そのシーンの主役である。大体がトップスターとトップ娘役につく。

けれども、トップスターが出ない、かつ、2番手3番手スターが主役になるシーンだと、トップスター以外の人につく場合もある。

レビューは歌と踊りだけの短い場面が繋がっている作品。プロローグが終わったら、2番手が主役のダンスシーン→3番手が幕の前で娘役を従えて歌うシーン…と、フィナーレまで異なるダンスと歌が続いていく。

Sの次がA。主に2番手、3番手の男役スターと、娘役のベテランや2番手娘役につくことが多い肩書き。

Bはあったりなかったりだけど、さらにその次の序列スター。男役で言うと、まだ番手ははっきりしていないけどいずれはスター路線に上がりそうな若手スター達など。

昔は4番手5番手くらいまでハッキリと序列がついていた印象だけど、今は割とぼやかされている気がする。

もちろん、各組で「次に上げてくるのはこの人だろうな」というのはわかるのだけど、そのままあっさり上がらなかったり組み替えしてしまったり。

昔ほど早々とスター候補を決めないような空気が今はある気がしてる。まあこれも、組によりけりだからなんとも言えないが。

Sのトップスターに上がるためには、まずは小人数口と言われる群舞よりも少ない人数のシーンに抜擢され(10人口とか8人口とか)→新人公演という入団7年目までの生徒で行う公演で主演を射止め→番手が付く路線スターになり→フィナーレで羽根を背負い→最低10年以上はかけて組の頂点にたつ。

ただこれも異例はあって、芸能界で大活躍している天海祐希さんは7年目でトップになった。現在の月組トップスター珠城りょうさんは、9年目だった。

娘役はこれよりもさらに勝負期間が短く、だいたい4〜5年目に就任する。

入団して早々に新人公演で役が付き→本公演でも役が付き→3年目までに新人公演でヒロイン、バウホールなど小劇場でもヒロインを射止め→早々とトップ娘役になる。

これは1番スムーズかつ速いパターンで、もちろん当てはまらない人もいる。

最近は入団9年目や10年目の娘役さんもトップになることがあり、娘役もある程度の年数を経験してからトップに立って欲しいと願い続ける私にはありがたい流れだと感じている。

と、かなりディープに語ってしまったけれど(たった3つのアルファベット解説に何文字使うんだ)、宝塚において、S、A、Bはとっても重要だとおわかりいただけただろうか。

特にBとAが自分についた時の喜びは、とてもとても大きいだろうなと思う。

この肩書がついたということは、必ず目立つ立ち位置になるし、見せ場もある。振り付けが違ったり、衣装も他の人よりスパンコールが多かったりする。

ただ…それがついたからと言って、あっさりとトップに登り詰めていけるかどうかは…未知数なのが芸能の世界の厳しいところで。

羽根を背負ってもトップスターにはならず退団されるパターンもあり…

しかし、そんな裏を読んでばかりだと楽しくないのでね。ご贔屓のスターに肩書きが付いたら素直に喜び、明るい未来を思い描いてファン時代を過ごそう。

宝塚独特用語の解説、その1でした。ありがとうございました!

これまでの宝塚記事はこちら
https://note.com/chipica/m/m8edd8f00fbe6



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