沈思黙歩しよ、山で|うちしん

この20数年、山で暮らし働いています▲その前は―めまぐるしい日々に通勤電車を待つ余白が…

沈思黙歩しよ、山で|うちしん

この20数年、山で暮らし働いています▲その前は―めまぐるしい日々に通勤電車を待つ余白が、かつてかすかにありました▲今は梓川の瀬音に心をゆだねて穂高の空を行き交う雲を見たり、見なかったり、歩いたり、立ち止まったり▲「いま、余白はありますか?」▲ときどきはゆったりゆるめて過ごしましょ

最近の記事

梅雨明けの日にホタルが来た

目覚めて最初に「雲が高くなったなあ」と感じたその朝、どんどん気温が上がっていくのがわかった。朝食後、妻と草刈りを始めたもののじりじりと焼かれる音が聞こえてきそうで、早々に切り上げた。 昼前に電話した仕事先から「梅雨が明けたみたいですよ」と。外回りの仕事や買い物は、日が傾いてからでないと動き出せなかった。ひととおり済ませて帰ってきても、車から荷物を下ろすのは後回しにして室内に逃げ込む始末。 とはいうもののさすがは信州、日が落ちると涼しい風が入ってきた。そして夕食後、庭へ荷物

    • 虹、消えて、またかかる、柏原新道 (北アルプス爺ヶ岳)

      (2020年9月、17年ぶりに冷池山荘へ向かったときのこと) どんより小雨、つづら折りを登っていく。 いくつもの角を曲がって、また曲がって。 と、向きを変えた瞬間、視界の左端に光がっ。 「あっ、 虹だっ」 2020年9月17日、北アルプス柏原新道、 爺ケ岳を越え冷池山荘に向けて、午前6時前に登り始めてすぐに雨具を出さなきゃならなかった。どんより空の下、小雨に濡れながら、稜線までの半分くらいまで登った頃だった。 と、まもなく、虹は消えた。 冷池山荘の建て替えの年にバイト

      • 真っ白だったり、虹色だったり、それもこれも山やね(北ア上高地、霞沢岳)

        山にかかっていた雲が、えっ!あれれ、虹色に。 9月初めの上高地、山から太陽が顔を出す直前でした。 東の空が見渡せる、仕事場から20分ほどの場所。 忙しい朝の時間、日頃はなかなか来られないのですが、この日は訳あって双眼鏡を携えて来たのです。 (上高地温泉ホテル前の河畔は空が広い!) 見たかったのは霞沢岳の頂上稜線。 というのも、その数日前、台風がもたついているすきをぬって、頂上手前のK1(ケーワン)ピークまで登ったものの、真っ白な雲の中でなんにも見えなかったのです。 だ

        • 水辺のハンモック? 上高地、岳沢湿原

          朝の川霧をまとって、 白く滴るハンモックになりました。 暑い昼間に寝転んだなら、ひんやり涼しそう。 よく見ると、クモの巣があちらにもこちらにも。 飛んでる虫にはバレバレだけど。

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          繁盛してます!虫に人気の蜜の味?上高地のクガイソウ

          クガイソウがまとまって咲いている一角がありました。上高地梓川左岸、ウェストン碑の対岸あたり。 紫のグラデーションがなんとも言えない彩りで、この花を見つけると嬉しくなります。と同時に、気分が夏になります。 虫たちも集まっています。蝶やアブ、色々な種類。 なかでもひときわ沢山集まっている花がありました。 同じチェーンの中の繁盛店みたい。 4名様に、もう1名様ご来店!人気の秘密は、蜜の味?、花びらの看板?、立地?…… アブをじっと見てみると、ものすごい速さで蜜を吸っています。小

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          七夕に思う、顔を合わせることを大事に

          (6年前、2016年8月のブログの再掲載です。そのときのタイトルは「フェイスブック『顔・本』より、顔の『本物』を」) 昨年(2016年)7月7日の七夕にフェイスブックを始めて1年と1か月。 ブログから発信の場を移した知り合いの投稿を見るためと、仕事で必要になったためでした。 1回目の投稿で「七夕にちなんで1年に1度投稿しようかな」と宣言した以上の頻度で投稿していますが、今でもブログとメールに軸足を置いています。 始めた頃に思ったのですが、 フェイスブックって、そのまま訳し

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          梅雨入り直前の上高地、夕暮れの雲と外めし

          (投稿日には梅雨に入ってしまいましたが) 夕暮れのベンチに腰かけて、タッパに詰め込んだご飯を食べていました。 山を眺めて、口に運んで噛んで、空を見上げて、缶ビールをゴクリ。 そんな、ちょっとした間に、空と雲とが変わっていきます。 いつもの西風だと、目の前の稜線(西穂から焼岳へ続く稜線)から現れた雲は、ぼくの方に向かってきたかと思うと、頭上を越えて背後の稜線の向こうへ消えてしまいます。 でも、この日の風向きは南寄り。 だから、視界の左に現れた雲が、ずうっと目の前の稜線の上

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          上高地の5月、新雪がやわらかな曲線、2021年春夏秋を振り返って

          2022年の上高地はどんなシーズンになるでしょう。 じわりじわりと訪れる人が戻ってくるでしょうか、堰を切ったように賑わうでしょうか。 シーズン始めに、昨シーズン(2021年)の春から秋までを振り返ってみます。 毎年4月の27日が、開山祭。まもなくゴールデンウィークへ。 鯉のぼりが泳ごうとも、山はまだまだ銀世界です。 新雪がやわらかな曲線を描き、 朝の光が、風に研がれた角を浮き立たせています。 あ、生クリームのツノが立った感じ、かも。 実際はふんわりどころか、カリカリで

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          沈思黙歩しよ、noteを始めます

          流れ過ぎていく月日のなか、あのときあんなこと考えてたんや、と書き綴り、思い返す場を、再び作りたくてnoteを始めます。 「沈思黙考」をもじったタイトル、ちょっとたいそうな感じですが、自分にとってあらためて大事にしていきたくて掲げました。五十歳になって初めて、というかようやく気づいたり、大人になりつつある子どもの姿から教えられることが、このところ続いたりもして。 ぼくはこの20数年、山で暮らし、働いています。 その前は――めまぐるしい日々に通勤電車を待つ余白が、かつてかすか

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