働かない蟻はなんのためにいるんだろう【推し本紹介】


どうも~千夏です。
今回はふたつのしるし/宮下奈都
を紹介します。
タイトルはこの本の一番印象的なセリフから取ったものです。
この問いかけがどのような意味なのか、そしてどんな答えなのか、それはこの本の大事な部分ですし、本にある答えも仮だと思うのであえて触れません。

長い前置き

このnoteを書いてから自分は「よろこびの歌」の原千夏への愛を深め、「宮下奈都沼」なるものにハマっていきました。

宮下さんの作品を読んで最近気づいたこととしては
ほのぼのしていてさらっと読める内容でありながら、何度も読まなければ得られない気づきが多くあるということです。
彼女の小説に難しい言葉はあまり出てきません。
抽象的な表現でメッセージを伝えてくれる本が多いです。
彼女が好きなスピッツに影響しているのか、
抽象的な表現で何かを伝えるというところはスピッツの歌詞と似ていると思います。
好きな曲として「愛のしるし」をあげてらっしゃったのでこの本のタイトルとも関係があるのかもしれません。
彼女がスピッツについて書いている短編エッセイはこちら



この本の解説によりますと彼女はこの本と「よろこびの歌」と「羊と鋼の森」を並行して書いていたそうです。

作風が大きく変わっているということはないのですがメッセージは別々です。
作風は共通していながら似たような話ではなくどれも違う物語です。
主人公の性別も特に共通してはいませんが、どの作品もやさしくて、おだやかでありながら展開があって、名言があるそんな物語です。
(やさしいをあえてひらがなにしたのは宮下さんがひらがなの表現をよく使っていて優しいにすると伝えられないものがある気がしたからです。)

本紹介

ふたつのしるし
このタイトルの意味はなかなか明かされることがありません。
物語の構成からなんとなく想像することはできるのですが、読者が腑に落ちる場面はかなりあとです。
他の作品同様人生のヒントをくれる物語です。

ここからは勝手な考察も混じりますが生きづらさを抱えている人へそのままでいいよとか、自分を守るために取り繕っている人へありのままをだせばいいじゃないとかそういう単純な問題の片付け方はしていません。物語のタイトルの意味も、
ふたつのしるしとはなんのことなのかも
仮の答えはあるものの本質的には読者に委ねられています。

日本に起こった10年前の「あの日」の話も登場しますが、そちらも単純に大変だったよね、辛かったねと言うような片付け方はされていません。

分かりそうで分からない、分からないようで分かるメッセージが込められています。
登場人物がすごく変わっていたりおもしろかったりはしません。突飛な展開やいわゆる感動モノ(「泣ける話」のこと。ここでは感動することをウリにした物語をこう呼んでいます。)でもありません。それなのに、登場人物に強く惹かれるものがあります。

ネタバレを防ぐために抽象的な形になりましたが魅力はこんな感じです。


どうしても昔のようにのびのびと気づきを書けないので予告しておきながら未だに書けていない、「よろこびの歌」の感想はじめ色々な記事は
あと二週間後に出します。


宮下奈都さんの作品は「よろこびの歌」「終わらない歌」「羊と鋼の森」「はじめからその話をすればよかった」「メロディ・フェア」「太陽のパスタ豆のスープ」「静かな雨」「ふたつのしるし」「スコーレNo.4」「つぼみ」しか読んだことがありません。まだまだ読み足りない😅

読んでくださりありがとうございました!
ではまた~