アイデアは、ひらめくんじゃない。「探しにいく」ものだっ。
私の仕事はコピーライター。お客様に広告のアイデアをご提案する仕事です。プレゼンでは、100や200のアイデアを出すことも珍しくはありません。そんな仕事を14年もやっていると、「どうやってアイデアをひらめいているの?」と聞いてくださる方がいます。
私もその昔、大先輩たちに「どうやってアイデアを思いつくんですか?」と聞いてまわったことがありました。
「電車の中だと浮かびやすい」と聞けば、電車に乗って。「シャワーを浴びているときに浮かぶことが多いんだよ」と教えてもらえば、家族に心配されるほどお風呂に入って。でもぜんぜん、いいアイデアって浮かんでこないんです(笑)私って才能ないなぁ、とずっと思っていました。
でもある時、気がついたんです。アイデアは「ひらめく」のではなく、「探しに行く」と見つかるものなのだと。
必要なのは才能じゃなくて、探しに行く力だったんです。
今日は私なりに、アイデアを探しに行く方法をご紹介してみたいと思います。私より若い方や、アイデアを出すことに困っている方の、参考になればいいなと思って書いてみます。
アイデアはインターネットに転がってない
アイデアを考えるとき、まっさきに「検索」する人は多いのではないでしょうか?
確かに検索結果の1ページ目をとりあえず網羅して見れば、ある程度の情報を得ることができます。商品や市場にまつわる、一般的な知識をそこで得る分には構わないと私は思っています。
しかしコピーライターの仕事は「人が心の奥深く悩んでいることや願望を、言葉でズバッと表現する」こと。アイデアの原石となる、商品を買う人の「深層心理」まではなかなかネットでは探し出せません。
SNSに自分の輝かしい一面を書く人は多いけれど、自分が本当に悩んでいること、真から願っていることを書き込む人は少ない。仮にいても、今私が欲しいドンピシャな他者の深層心理にたどり着くまでに、膨大な時間がかかります。
では、どうすればいいのでしょう?
人の話はアイデアの宝庫
私がアイデアを探す方法はいたってシンプル。
「人に話を聞きに行く」ことです。
実際にその商品を買ってくれそうな人を見つけ、朝何時に起きてどんな生活を送り、趣味、何で困っているのかなど、雑談からいろいろと話をお聞きします。するとアイデアの原石となる「深層心理」に出会いやすくなります。
先日もお年寄り向けの広告のことを考えていて、お年寄りがよく集まる朝のラジオ体操に出かけてみました。
毎朝6時から公園に集まり、私もなんとなく一緒にラジオ体操をしながら、少しずつ周りのおばあちゃん達に話しかけてみました。
すると私のような年齢の人は珍しかったのか、すぐに輪のなかに入れてくださり、世間話をするようになりました。私もみなさんと仲良くなるかたわら、日頃の健康のことや、悩んでいることなど、深い話までお聞きすることができました。ここで得られた生身の感触は、コピーを書く上でとても貴重でした。
お会いした方の中には、こんなハガキをくださった方も!
仕事を通り越し、私はしばらくそのラジオ体操に通わざるを得なくなってしまいました(笑)
もし同世代の人に向けた商品であれば、友達に電話したり。母親世代に向けた商品の場合は、商品を買って送って話を聞いたり。1対1で人と話をすると、その人が奥底に抱えている思いをぽろっと話してくれることがあります。その本音に、アイデアの原石が隠れています。
そうして商品がその人の生活に入ったら、どんな感じで使われるのか、商品があったらその人の毎日がどう変わるのか、イメージをふくらませます。
不思議なことに、そうしてきちんと人と会話した末で書いたコピーからの成果は良いことが多いのです。コピーにすると、うわっつらな言葉はすぐにバレてしまいます。でも会って話すと、生身の人の言葉や気持ちを自分の中にインストールすることができるから、よりリアルなコピーが書けるようになる気がしています。
お年寄りとお話しするなら、ラジオ体操だけでなく、お互い時間に余裕のある病院の待合室なども良さそうだということもわかりました。
そんな感じで「人から話を聞く」ことは、私がアイデアを探す上で、欠かせない方法となっています。
図書館をナメてはいけない
さらに私がアイデアを探す上で、頼りにしているのが「図書館」です。
ネットには掲載されていない、オリジナリティのあるアイデアに出会いたいのであれば「本」からの情報は密度が濃くて最適。でも買うのはちょっとハードルが高いって時に重宝するのが、図書館です。
図書館ってすごくて、最新の雑誌はそろっているし、ネットでリクエストをすれば他の図書館から本を取り寄せられたり、最近だと手持ちのiPadなどで読める"電子図書館"サービスもあったりします。
しかもそれが全部無料で読み放題なんです。すごくないですか?(笑)
私がいつも行く図書館には、お年寄りの人は多いけれど、あまり若い人は見かけないのでもったいない!と思います。図書館の本からのアイデアに、私はいつも助けられています。
今日は私なりのアイデアを探しに行く方法をご紹介してみました。みんながネットを使う今、他の人には辿り着けない情報にこそ希少価値があると私は思います。
よかったらぜひ参考にしてみていただけたら嬉しいです。
小森谷 友美
noteで書ききれない話をつぶやいています
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