タスク管理(8) あるいは「流氓の小さな夢」
第7回までの内容のまとめ
サムの兄貴が帰って来るのに、一人も売人と話が付いてませんと
Dが泣きを入れてきたので、
二人で魏が用心棒をしている茘枝角の小魚兒川菜館に向かった。
そこで、魏と話が付いて
天使の粉、800gはまぁまぁ良い値段でさばけることになった。
Dがさばく予定は残りは1.2Kg、売人はあと3人で
タスクは完了する。
タスク管理(8)あるいは「流氓の小さな夢」
残りの売人、红鼻子と狂犬の明と卖家罗を探しに、
まずは、卖家罗が行きそうな賭場に向かう。
「D、卖家罗はどんな賭博が好きなのか?」
「はいっ、奴は麻雀よりもトランプが好きですっ。」
「そうか、それなら小さい賭場を片っ端からのぞいて歩く以外は無いな。」
「たぶん今頃は、葵涌の方にいる可能性が高いㇲ。」
「歩くと30分ぐらいか、茘枝角でトランプをやっている賭場はたしか、」
「AA大姐の賭場がありまㇲ、卖家罗じゃ、
懐が寂しくていけませんㇲょ、龍哥。」
「そうだな、でも一応、行ってみるか。」
「はいっ。」
5分ほどで、AA大姐の賭場、The Lion King が見えてきた。
入り口を入って、そのまま奥へ向かう。
AA大姐に挨拶なしで賭場内をうろつくと後が怖い。
「AA大姐はいるかい?」とカーテンをめくり奥に声をかける。
「あぁ、いるぜ。」
「そうか、王龍が人探しに来たと言っておいてくれ。」
「わかった、本部に貼ってある例の件だな。」
「そうだ、少しうろつくがよろしくな。」
そう言い、端からテーブルを回る。
「D、どうだいるか?」
「龍哥いません。」
「そうか。」奥のカーテンへ声をかけて、表に出る。
Dに
「次は、東沙島街にある賭場へ行くぞ。」
Dを連れて、東沙島街の東宝閣の2階の一室にある
南哥の賭場にに顔を出す。
狭い部屋うちに、五つのテーブルがありタバコの煙が充満している。
Dが耳打ちする。
「龍哥、窓際のテーブルに窓を背にしているのが
卖家罗ㇲ。」それにうなずいてわきに回り
場が終わるのを待ち声をかける。
「卖大哥、少し話がしたいがいいか?」
「俺は構わないが、なんだ?」
「仕事の話だ。」と言いながら目の前に座り、
客をどかすようにDが隣に座る。
「俺は『五娘会』の龍で、こいつはDだ。
Dは知っているよな?」
「あぁ、何度か商売をしたことがある。」
「今回は、ちょっと量が多いんだが、さばけるか?」
「は? いつも通りならさばけるが多くは無理だな。」
「D、前回はどれくらいだった?」
「へぃ、龍哥、300gでㇲ。」
「600gをさばいてくれないか?」
「そんなに量が多いと金が足らねぇ。 少しはまからねえか?」
「前回の一割引きで二回払いで頼む。」
「龍さんとやら、それで大丈夫なら受けるが。」
「大丈夫だ、ブツはDが持ってくるので
その時に半分を払って、一か月後に残り半分、忘れるなよ。」
「おおぅよ、わかった。」
「そうか、よろしく頼むぜ、大哥。」
そう言って握手して賭場をでる。
「龍哥、あと600gㇲ。 なんとかなりそうㇲ。」
「红鼻子は夕方には十二味で飲んでいるんだな。」
「はいㇲ。」
腕時計を見ると、飲み屋に行くにはまだ早い、
金爺をこの近くのサム兄貴の麻雀屋で見たと
南が言っていたのを思い出し、
「D、俺はサム兄貴の麻雀屋によるが、お前はどうする?」
「一緒にいかせてくださいっ。」
「そうか、じゃ行くか。」
福栄街の高高酒家の隣にある、サム兄貴の麻雀屋の扉を開け、中に入る。
ジャラジャラと麻雀杯を混ぜる音がうるさい中、
奥の方からサム兄貴の舎弟、亜買伊がすぐ出てきて、
「金爺なら、二階の201で打っているぜ。」と耳打ちする。
「亜買伊、悪いが白兰地を
一本分けてくれ。」
階段わきのカウンターから、ヘネシーXOを無造作に取り出し、
「ほい、もってけ。」
「助かる。」と言い、二階へ上がる。
二階の廊下で、薄絹のチャイナドレスのおねーちゃんとすれ違うと
「かわいいㇲ。」
「その女を追いかけて行ってもいいぞ、D。」
「あっ、すいませんㇲ。龍哥ついていきまㇲ。」
201号と書かれた扉をノックすると
「誰だ?」
「『五娘会』の龍です。 金 老大。」
「入れ。」
「すいやせん。商売の話があってまいりました。
とりあえず、こいつをどうぞ。」
「酒か、こっち来いや。」
「サム兄貴の仕事のことだろう? タイへ行っているんだって?」
「そうです。それで、1Kgばっかりさばいてくれませんか?」
「上物らしいじゃないか、2割引きなら2Kgをさばくぜ。」
「金 老大、サム兄貴の顔をたてて
1割引きで、二回払いでお願いします。」
少し考えて、
「わかった、二回目は1か月後でいいな?」
「それで、お願いします。 ブツが入ったら自分が持っていきます。」
「どうだ、龍、お前も打っていくか?」
「まだ、行くところがあるので、失礼します。」
そう言い、部屋を後にする。
「龍哥すごいㇲね。
おいらのさばく分が一発で決まるなんて。」
「サム兄貴からは2割引きまではいいぞと言われているからな、
1割引きで二回払いなら御の字さ。
これも普段から、付き合いがあるから決まるんだ。
D、お前も普段から売人には顔つなぎをしとくんだな。」
「はいっ! わかりやした!」
「それじゃ十二味に行くか。」
残り2人に話が付けば、Dのノルマはかたが付く。
( 第8回/第1672回 )
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