見出し画像

桜の季節

花見とは名ばかりに、集まる理由を探している
桜並木の川沿いではお見合いのように並んで愉快が座っている

お酒は飲める理由が正当なほど美味くなるもんだ

一般や大衆への大きな括りに憧れをそれなりに持ちながらも、反対側の緑道に腰掛けて、読む気の進まない本を開いていた

人の目はいくら気にしたって気になるもの
人なんていない方が落ち着いていられる
二人組は三脚とカメラを背負いながら川沿いでフィクションを描く

フィクションの片隅に映り込んでしまいそうな、虚しいほどの現実は申し訳なさで小さくなる
桜の木が音も立てず、ピンクをドロップする
自然にやさしく、人には強めに残り風を浴びせてくれる

散ったら何を以て春になるのか
わからないからきいてみたい、音楽番組の春ソングランキングの特番は来週放送される

夏にフライングしてほしくて、Tシャツを箪笥の手前に寄せた
タイト知らずのXLがシワになりながら笑っているように見えた、勘違いの繊維の悪戯にくしゃみを飛ばした

隣人と、川沿いの宴会パーティーと、用意して地に降ってあとは掃かれるのを待つ桜であったものが、春を相手に膨らませる胸の大きさに一人心揺られながら、日々生きる理由を足元で探している

自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。