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ふたご座流星群が降る夜に

ふたご座流星群が見頃だと知って、冷え切った空気をかき分けて高台を目指した。3:04の影が落ちる。

光を打ち消しあいながらひとつの空が出来上がっていく。フジファブリックの「星降る夜になったら」に身を任せて、明度に対して敏感になっていく。

思いやられずに追いやられた騒音を置いてけぼりにして、赤く染まっていく肌を見る。点と点が結ばれていくように、この世の辻褄が合っていく。

探すまでもない、小さくて震えていたタイムトラベルが背中を持ち上げた。

今年も願えなかった。振り向かずとも雲に覆われて見えなくなった。

昨年と同じ場所で、同じ空に変化を重ねるのは不可能である。確実な時の経過に肩を落としながら、買ったばかりのOM10を天に向けた。

応答のない、一方通行の独り言が側溝に引っかかっている。

限られたメモリーに暗闇が上書きされた。同時に、2つ星が流れた。

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