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息抜きと再出発。

束の間の

メンタル回復を図り、ちょっっっとだけ電車に乗った。

半年もおとなしくしていたせいで、家にある最大限のブッ飛んだ服を合わせてしまった。ソーシャルディスタンスを取るためだと納得しつつ、煙たがられそうな服を着る。

目的地、そこは休日に遊びに行くような、人の集まる場。しばらく顔をみないうちに、工事はとっくに終わっていて、新しい人寄せパンダがそこにいる。
入り口には消毒液が用意されている。ワンプッシュの勢いが強くて溢した。しっかりと対策している人よりも、お金を落としてくれる客に優しくしているのだろう。それが商業施設という残酷な置き物だ。

ノープラン

目的を決めずに玄関を飛び出していた。ただ体内の空気を入れ替え、またあの人混みの汚い空気を一度取り込みたかった。
人に対して冷たいと言われる都会の雰囲気が、今では温かいとすら感じる。

ただ、いつもとは違う景色に、半年の混沌を投げ捨てたかった。

明日への希望を抱けないのなら、昨日までの絶望を捨てさせてほしい。

それが今日を生きるために必要だ。

とかい

意図しない出会いと興味の対象の移り変わりがあった。時刻表と乗車待機列すらも興味深い。
平日って、たしかにこんなもんだったなと思い出した。

金曜の夜は街が騒々しい。酒のつまみに語り合うのは、想像しようもない未来かそれとも現状の愚痴なのか、私には知りようもない。

本屋の入り口近くに置いてある、社会情勢の不安定さを嘆き、煽る雑誌は、いつになったら笑顔のタレントが採用された表紙になるのか、そもそもそんな日がやってくるのか。私が知る頃にはもう廃刊しているだろう。

ナンパを狙う、細身の破けたジーパンから膝小僧を出す快楽主義者を横目に、自宅方向の電車に向かう。

ひかり

もちろん、負の感情ばかりを持ち帰ったのではない。
アート分野への理解が深まりはじめたおかげで、商業施設も空いたスペースにはアートを組み込み、デザインにもユニークさを強調するようになった。

賑やかな空間の雰囲気を一変させる作品がそこに展示されていた。
まるで殴り書きされたかのような、煩雑な気がしていても、視点を変えるとまとまりが見え、むしろ綺麗だとすら思える。
何故このタイミングでこの作品に虜にされたのか、考えただけで鼓動が速くなった。

この出会いが、きっと明日からのステイホームを変えていくのだろう。


(あと普通に買い物もしました、AKIRAの作者大友克洋さんのポスターコレクションをvillage vanguardで偶然見つけた。即買いしました。)


かわらないひ

また代わり映えのない日々を受け入れることになる。

しばらくはストレスを許容できるスペースが空いた。

このスペースを、次の自分の作品に転化させるまで、死んでも死に切れない。いや、死際そのものを作品にするだろう。

気持ちが晴れた日に、今日のような晴れた日を迎えたい。そう思わせられた快晴だった。

ここまでお読みいただき有り難うございました。

自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。