ライブ明けと夜明け
有観客ライブに足を運び、たった一度きりの空間に参加してしまったことで、体のキャパシティーを大幅に超えた感情が流れ込んできて、体重が増えてしまったのではないかと体重計に乗ったら、1㎏増えていた。音楽の力とは偉大なものだ。
ライブで披露したセットリストを再現したプレイリストを作成して、曲順通りに再生して会場を後にして、電車を乗り継いで家に帰ってきて、帰ってきてからも聴いていたら、ライブ3回分も聴いていた。
浸り、日常の会話する余裕もなかった。閉ざしてひたすら曲を聴いている。眠る寸前まで音楽は鳴り止まなかった。
朝。夢の中にいた。起きたのは昼頃だった。夢の内容は覚えていないけれど、規則正しい朝を迎えられるほど、日常を嚥下することはできなかった。
目を覚まして、寝返りして、充電100%のスマホのコードを引っこ抜く。眠る前の続きを始める。ライブの余韻は自分の中に溜め込みたいと思いつつも、ツイートはしたくなるものだ。
PEDRO 武道館 を検索窓に入力し、一日経ったところで言葉を見にいく。
「そうだよね、わたしもあそこの演出感動したんだよね。」
「あの曲聴きたかったっていう気持ち、めちゃくちゃわかるよ。」
共感の嵐、見ず知らずでフォローもしていないのに、同じ感動を分け合ったというだけで、ちょっとした同族意識のような、仲間意識のようなものが芽生えてくる。
感想を見て回りながら、まだ眠いと微睡み、伏せて体を起こしてを繰り返した。
体が鉛のように重くて、活動的にはとてもなれそうにない日は、極端に浸ってしまえばいい。嫌悪感で虚無が現れる前に、虚無なりのその場での活動記録を書き換えてしまえばいい。
どうしようもない現状維持で燻る日も、最悪な感情でさえも、わたしは愛していくから。
自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。