こどもの脱水:どんなときヤバイの?

熱中症や胃腸炎など、こどもの脱水症状で受診されることが増えています。こどもの下痢や嘔吐、食欲不振など脱水が気になるとき、どんな症状があったら受診してほしいかをまとめていきます。


こどもの脱水の症状は?

・くちびるのかさつき、くちのなかが乾燥する

・尿が減る

・涙が出なくなる

・意識がもうろうとする

などがあります。唇の乾燥は比較的軽い症状ですが、尿や涙がでなくなったり、口の中が乾燥していたり、意識がもうろうとしている状態は重症の脱水の可能性を疑います。

原因としては水分摂取が不十分であることや胃腸炎による嘔吐・下痢などが一般的ですが非常に重症度が高い脱水の場合は感染症やホルモン分泌の異常などの可能性も場合によっては考えて診察をしています。


どんな時受診するべき?

尿の回数がいつも通りで、涙も出ている状態であればぐったりしていても少し様子をみてもよいと思います。少しずつでも自力で水分をとることができるなら食事はとられなくても基本的には大丈夫です。

水分はOS-1やアクアライトなどがおすすめですが、麦茶やジュース、牛乳などでも特に問題ありません。

特に2歳未満のお子さんでは1回あたりスプーン1杯を数分に1回くらいでこまめに飲むようにしてください。それでも吐いてしまうようなら10分くらい休憩したあと、もう少し時間をあけて飲んでみてください。

それでも水分をとることができず、徐々に尿の回数が減り、唇の乾燥や肌の乾燥などの症状が出てきてしまったら、医療機関への受診をお勧めします。電話で受診できる医療機関へ相談して指示をあおいでください。

夜間や休日に対応している東京都内の小児初期救急医療機関一覧https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kyuukyuu/shoni/shoki.files/kyoki0207.pdf

医科休日急患診療所一覧(神奈川県)http://www.pref.kanagawa.jp/docs/t3u/faq/p34097.html

以下は医療関係者やもっと詳しく知りたい方向けになります。


小児の脱水症

図1 重症度評価(週刊医学界新聞第2821号(医学書院2009年3月)より改変)

画像1

上記を参考に重症度を評価する。

軽度であれば家庭での治療でOK、

中等度であれば4時間かけてORT、

重度であれば経静脈輸液、経口摂取が可能であればORTを併用

★ORTでは緩徐な補正と比較して早期に補充療法を終えることで経口摂取の回復や酸塩基平衡の正常化がはやく病院滞在時間も短縮化できるとされる

★ORTは2-4時間かけて経口補水液(ORS)を50-100ml/kg飲ませる(↓参考投与量)

図2 ORS投与量(日児腎誌 Vol.32 No.2 2019)

画像2

★経静脈投与を選択する際は図3を参考に維持量±予想喪失量の輸液を24時間で投与する

予想喪失量は嘔吐で5ml/㎏/回、下痢で10ml/㎏/回といわれている

図3 輸液維持量

画像3

血圧が低下していたり、ショックの状態と考えられる場合は10ml/kg/hで細胞外液を投与する(20ml/㎏/hまで増量できる 注:心臓疾患がある場合は急速な輸液はできない)

経静脈投与で急速に脱水補正が必要な場合は、血液分布異常による末梢循環障害(敗血症やアナフィラキシーなど)や血液減少性ショック(出血なども含め)などほかの疾患を見逃していないか確認するべき。血糖値の変化や電解質異常も場合によっては経時的に評価が必要となる。

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