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【今年の10冊】筑前助広のBOOK OF THE YEAR 2021
さて、今年もこの季節がやってきました。
今年読んだ中で面白かった10冊を選出する、BOOK OF THE YEAR。今年もやるわけですが、4つの変更点があります。
・これまではベスト10方式でしたが、今年からは順位は無し。
・感想はツイートの添付に変更。
・色々と角が立つ(笑)ので、Twitterで仲が良い作家さんは敢えて除外。
・その年に話題になった作品も除外。
それでは「筑前助広のBOOK OF THE YEAR 2021」に選ばれた、今年の10冊をご紹介!
1:残光/東直己
<あらすじ>
凄腕の始末屋として恐れられた榊原健三は、今までは人目を避けて山奥で暮らしていた。ある日、山を下りた彼の目に飛び込んできたのは、テレビに映ったかつての恋人・多恵子の姿だった―――。事件に巻き込まれた多恵子の息子を救うべく、健三は単身札幌へと向かう。だが、彼女の息子が巻き込まれたのは、単なる人質事件ではなかった・・・・・。 第54回日本推理作家協会賞を受賞した傑作長編ハードボイルド。
東直己「残光」読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) February 2, 2021
クロスオーバーの成功例。主人公・榊原健三の窮地に、突如現れた「探偵はバーにいる」の主人公である〔俺〕が登場する。無口な榊原とお喋りな〔俺〕の組み合わせがバッチリと組み合わさって、最高のバディとなっている。ラストも胸熱なものがあって、マイベストな1冊になりました pic.twitter.com/3exkJK2t3A
2:ダラスの赤い髪/キャスリーン ケント
<あらすじ>
テキサス州ダラス市警麻薬捜査課のタフな赤毛の刑事ベティ。彼女が追うメキシコ系麻薬カルテルの重要参考人が殺された。口封じなのか、カルテル同士の抗争なのか。捜査線上に浮かぶのは、元警察官のゴロツキやアジア系ギャング。さらには南軍に心酔する武装集団まで現れた。増える犠牲者、混乱する捜査…やがて彼女が直面する国境地帯の犯罪の真相とは?過去と現在の傷を乗り越えてゆくベティの闘いを描いた犯罪小説。
ダラスの赤い髪/キャスリーン・ケント 読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) March 18, 2021
マッチョな南部で、大柄のレズビアンが麻薬カルテル相手にドンパチする……と、思いきやそうではなかった作品。求めていたものとは違ったが、元刑事のベニーや、元憲兵のジェイムズなど、面白いキャラもいたので、それはそれで参考になった。 pic.twitter.com/7mznZgklFc
3:おもかげ橋/葉室麟
<あらすじ>
剣は一流だが道場には閑古鳥の鳴く弥市。武士の身分を捨て商家に婿入りした喜平次。十六年前に故郷を追われ江戸で暮らす二人の元に初恋の女が逃れてくる。だが、変わらぬ美しさの裏には危うい事情があった。一方、国許では化け物と恐れられた男が返り咲き、藩を二分する政争が起きていた。再会は宿命か策略か? 儘ならぬ人生を描く傑作時代小説。
葉室麟「おもかげ橋」読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) October 5, 2021
政争で脱藩した二人の男が、かつて憧れた女の窮地にあれこれ奮闘する物語。
物語自体は定番であるが、人物造形や関係性、描写の深みが、ありきたりな物語を崇高な物語に変えている。
読後感も最高で、「惚れるなら強い女に限る!」と思った次第。やっぱ強い女はええなぁ。 pic.twitter.com/a1TPxXdtrH
4:神と罌粟/ティム・ベイカー
<あらすじ>
十年で八百人を超す謎の連続強姦殺人事件。真相を追う刑事が見た、メキシコの深い闇とは。五人の視点で描かれる本格派スリラー!
神と罌粟/ティム・ベイカー 読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) July 1, 2021
「犬の力」でも「ボーダーライン」でも描かれなかった、もう一つのメキシコ。
麻薬カルテルとの対決を軸にしたクライムアクションと思いきや、メキシコで生きる女性の苦境とフェミサイドにフォーカスした作品になっている(続く) pic.twitter.com/QXIlBUgz73
5:剣難女難/吉川英治
<あらすじ>
大正14年に創刊された国民雑誌「キング」に発表されたこの作品で、従来の幾つかの筆名に別れを告げ、新たに吉川英治が誕生した。――美男で剣を見るのさえ身体がふるえる春日新九郎が、兄の仇、富田三家随一の名人、鐘巻自斎を相手に戦うまでの数々の辛苦と、剣難女難。――この1作が呼んだ反響、つづいて生れた幾多の名作。本書は、吉川文学の輝かしい原点といえよう。
「剣難女難」読了。
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) September 25, 2021
吉川英治の出世作。臆病な主人公が、寄り道をしながらも成長して本懐を遂げるまでを描く。
古い作品であるが、抜群に面白く、時代小説の基本がここにある。
また読後感がいいのは、鐘巻自斎の存在感と人物像だろう。時に恐ろしい敵であり、時に頼もしい仲間でもあるのが素晴らしい pic.twitter.com/1ViogRrxnB
6:集結 (P分署捜査班)/マウリツィオ・デ・ジョバンニ
<あらすじ>
ナポリでも治安最悪の地区にあるピッツォファルコーネ分署で、汚職により捜査課に大量欠員が発生。そこで各地から腕ききだが問題のある警官たちが送りこまれ、急造で捜査チームが結成される。ロヤコーノ警部を筆頭とする彼ら彼女らは、息つく暇なく起こる事件――スノードーム収集が趣味の女性資産家殺し、少女の監禁騒動など――へ果敢に挑んでいく……!イタリア発の大人気警察小説、21世紀の〈87分署〉シリーズがここに開幕!
「集結: P分署捜査班」読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) October 13, 2021
面白かった!いやー、面白かった。
各署から爪弾きにされた警官たちが集結し、殺人犯を追うというもの。それぞれが個人的な問題を抱えていて、その描写が濃厚でキャラを立てている。お気に入りはレズのアレックス。最初は嫌な奴と思ってたアラゴーナも○。
↓ pic.twitter.com/m1sU5lcfhH
7:凶刃―用心棒日月抄―/藤沢周平
<あらすじ>
好漢青江又八郎も四十半ば、若かりし用心棒稼業の日々は今は遠い……。国許での平穏な日常を破ったのは、にわかの江戸出府下命だった。姿なき敵との凄絶な対決をむかえる用心棒シリーズ最終作。
藤沢周平/凶刃 用心棒日月抄 読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) December 15, 2021
寂寥感しかなかった。
本作は藤沢の看板シリーズ「用心棒日月抄」の4作目にして、最終巻になる。
これを読んでしまえば、もう青江又八郎や細谷源太夫に会えないと思うと、中々手が伸びなかったし、読み終えたあとの寂寥感たるや。
(続き) pic.twitter.com/DUfNzwYVXK
8:信長嫌い/天野純希
<あらすじ>
あいつさえいなければ――怪物によってすべてを狂わされた七人の男の、壮絶な人生絵巻! 天下を取れたはずの男、今川義元。三好家最後の当主、三好義継、名うての伊賀流上忍、百地丹波。魔王の孫、織田秀信――。信長のせいで、歴史の主役にはなれなかった男たちの人生は、こんなにも、熱く激しいものだった! これからの歴史小説界を担う著者が放つ、愛すべき敗者たちの戦国列伝。もう、負け犬なんてよばせない!
天野純希「信長嫌い」読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) September 21, 2021
題名こそ信長なれど、その信長が殆ど登場しない連作短編集。主人公に信長に翻弄された凡人を据え、第三者の眼を通して信長という人物を描き出す手法で描いている。「敵の名は宮本武蔵」でも感じたが、この手法が大好き。
ではツリーにて、各話のまとめを。 pic.twitter.com/jT3SW2WbE0
9:隣の家の少女/ジャック・ケッチャム
<あらすじ>
1958年の夏。当時、12歳のわたし(デイヴィッド)は、隣の家に引っ越して来た美しい少女メグと出会い、一瞬にして、心を奪われる。メグと妹のスーザンは両親を交通事故で亡くし、隣のルース・チャンドラーに引き取られて来たのだった。隣家の少女に心躍らせるわたしはある日、ルースが姉妹を折檻している場面に出会いショックを受けるが、ただ傍観しているだけだった。ルースの虐待は日に日にひどくなり、やがてメグは地下室に監禁されさらに残酷な暴行を―。キングが絶賛する伝説の名作。
ジャック・ケッチャム「隣の家の少女」読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) November 19, 2021
クソみたいな作品だった。
それは作品の出来栄えではなく、そこで描かれたおぞましい内容がだ。しかし、そクソみたいな内容は、事実をほぼ忠実に再現しているから、この世はクソだと言わざるを得ない。
作品自体は素晴らしいものだよくぞ書けた、と思う↓ pic.twitter.com/Mo72qjxCNu
10:IQ/ジョー・イデ
<あらすじ>
ロサンゼルスに住む黒人青年アイゼイアは‶IQ〟と呼ばれる探偵だ。ある事情から大金が必要になった彼は腐れ縁の元ギャング、ドッドソンからの口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ」という異様なものだった! 奇妙な事件の謎を全力で追うIQ。そんな彼が探偵として生きる契機となった凄絶な過去とは――。新たなる‶シャーロック・ホームズ〟の誕生と活躍を描く、新人賞三冠受賞作!
ジョー・イデ「IQ」読了
— 筑前助広@チルくてエモい (@chikuzen_1982) November 15, 2021
――日系アメリカ人が生み出した、黒人ホームズ!――
それだけで楽しみな本書。黒人探偵IQ。その名の通り、明晰な頭脳とそれに見合う誇りと勇気を有する探偵である。
本書はそのIQに依頼されたラッパー殺人事件と、IQがどうして探偵として誕生したのか?(続く) pic.twitter.com/22NM99Y0hX
まとめ
以上が、2021年に読んだ小説の中で、心に残った10冊でございました。
どうしても好みが出ておりますが、それでも楽しめる10冊だったと思います。
来年2022年はどんな作品が入るでしょうか!間違いなく、僕の作品はランクインすると思いますが!
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