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読書感想文

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読書感想文の記事をまとめています
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【感想】ザ・カルテルが凄いので、物書きならば読んで欲しい話

 前作「犬の力」を読み終えた僕は、一息で「それは、欲望という名の海」を書き上げた。  その作品はアルファポリスの眼に止まって受賞。そして刊行後はデビュー作ながら、日本歴史時代作家協会の文庫書下ろし新人賞を得た。  その「犬の力」を読み終えた時、僕はこう感想を記した。 ――衝撃である。 それほどの作品だった。海外文学が僕の創作領域に突然現れ、眠っていた脳味噌を叩き起こしてくれた。 まさに黒船来航。 この作品は、僕の物書きとしての人生を左右する一冊になるであろう。 万人にお勧

【選書】僕を作った15冊の本たち

 どーも、筑前助広です。  今回は、2023年1月13日に開催された馳月基也先生との特別対談&サイン会「時代小説のすゝめ」に際して展示された、僕が強く影響を受けた15冊の本を特別にnoteで公開いたします。  どれもおすすめなので、気になったものは是非お手に取ってください。 <関連> ※イベントの様子を載せています。 ◆ 宣伝 本題に入る前に宣伝です。  現在、僕はカクヨムコン8に2作品を出しています。どちらも面白い時代小説なので、読んでいただけますと嬉しいです。感想や拡

【読書記録】辛夷の花(葉室麟)

 どーも、筑前助広です。  拙作「谷中の用心棒萩尾大楽」も店頭に並び、やっとこさ本日肉眼で確認する事が出来ました。  現代小説のつもりで書いた、時代小説です。馴染みのない方でも読めると思うので是非、お手に取ってくださいまし! 👇作品紹介👇 👇Amazon👇  さて、このタイミングで、葉室麟(敬称略)「辛夷の花」を読み終えましたので、ご紹介します。 <あらすじ> 九州豊前の小藩、小竹藩の勘定奉行・澤井家の志桜里は近習の船曳栄之進に嫁いで三年、子供が出来ず、実家に戻され

【今年の10冊】筑前助広のBOOK OF THE YEAR 2021

さて、今年もこの季節がやってきました。 今年読んだ中で面白かった10冊を選出する、BOOK OF THE YEAR。今年もやるわけですが、4つの変更点があります。 ・これまではベスト10方式でしたが、今年からは順位は無し。 ・感想はツイートの添付に変更。 ・色々と角が立つ(笑)ので、Twitterで仲が良い作家さんは敢えて除外。 ・その年に話題になった作品も除外。 それでは「筑前助広のBOOK OF THE YEAR 2021」に選ばれた、今年の10冊をご紹介! 1:残

【読書記録】吉良忠臣蔵(森村誠一)

読了日:2015/10/06 <あらすじ> 「浅野内匠頭、吉良上野介に刃傷」の報は江戸中を駆け抜けた。将軍綱吉の裁決は、「内匠頭切腹。吉良お構いなし」。この偏裁に浅野家中の遺恨は集まり、大石内蔵助は復讐の刃を幕府の覇権に向けていく。しかし、刃傷沙汰のはるか前、事件を導く罠は静かに張り巡らされていた―。綱吉の側用人・柳沢吉保、上杉家の江戸家老・色部又四郎、赤穂藩浅野家の家老・内蔵助。卓越した3者による権謀術数が渦巻く、忠臣蔵の真実とは!? <感想> 吉良から見た、元禄赤穂事

【読書記録】凶刃―用心棒日月抄(藤沢周平)

読了日 2021/12/15 <あらすじ> 好漢青江又八郎も四十半ば、若かりし用心棒稼業の日々は今は遠い……。国許での平穏な日常を破ったのは、にわかの江戸出府下命だった。姿なき敵との凄絶な対決をむかえる用心棒シリーズ最終作。 <感想> 寂寥感しかなかった。 本作は藤沢の看板シリーズ「用心棒日月抄」の4作目にして、最終巻になる。 これを読んでしまえば、もう青江又八郎や細谷源太夫に会えないと思うと、中々手が伸びなかったし、読み終えたあとの寂寥感たるや。 しかし、寂しいのはそれ

【読書記録】刺客―用心棒日月抄(藤沢周平)

読了日 2018/02/25 <あらすじ> お家乗っ取りを策謀する黒幕のもとから、五人の刺客が江戸に放たれた。家中屋敷の奥まで忍びこんで、藩士の非違をさぐる陰の集団「嗅足組(かぎあしぐみ)」を抹殺するためにである。身を挺して危機を救ってくれた女頭領・佐知の命が危いと知った青江又八郎は三度び脱藩、用心棒稼業を続けながら、敵と対決するが……。 好漢・又八郎の凄絶な闘いと、佐知との交情を描く、代表作《用心棒シリーズ》第三編。 <感想> これは素晴らしい不倫小説!不倫であるが、刹

【読書記録】孤剣―用心棒日月抄(藤沢周平)

読了日 2016/03/11 <あらすじ> 藩主毒殺の陰謀の証拠書類を持って姿を消した者がいる。藩取り潰しを目論み、公儀隠密も暗躍する。お家の危機を救うべく密命を帯び、青江又八郎は再度脱藩した。所は江戸、用心棒稼業で糊口を凌ぐ日々、目指す書類は何処に――。 用心棒の行く先々で、次々起こる怪事件を、江戸に生きる人々の人情に織りあわせて描く、時代小説の魅力を鏤(ちりば)めた長編小説。シリーズ第二作。 <感想> シリーズ第二作。読み終えた時、孤剣とは何だろうか、と考えた。 孤独

【読書記録】用心棒日月抄(藤沢周平)

読了日 2015/07/22 <あらすじ> 家の事情にわが身の事情、用心棒の赴くところ、ドラマがある。青江又八郎は二十六歳、故あって人を斬り脱藩、国許からの刺客に追われながらの用心棒稼業。だが、巷間を騒がす赤穂浪人の隠れた動きが活発になるにつれて、請負う仕事はなぜか、浅野・吉良両家の争いの周辺に……。江戸の庶民の哀歓を映しながら、同時代人から見た「忠臣蔵」の実相を鮮やかに捉えた、連作時代小説。 <感想> 藩の政争に巻き込まれた主人公が、脱藩し用心棒稼業と藩の刺客を迎え撃ち