キツネなシッポと遊びましょ、の話⑤番外編です〜第二幕〜つちのこクン登場
とりあえず話④を読んで頂ければ世界観が伝わります。うっすーい世界観。でもマジメな作品を続けたら、ついついおフザケ作品も欲しくなりません? 箸休め、ですね。よければアルマジロ編もどうぞ。
康太の手にはつちのこ焼き*のような物体が握られていた。手のひらサイズで、茶色がかった肌色調のボディに、ずんぐりした頭のような突起がついていた。開いてはいない目のような線が二個あって、ハナと口らしき模様もあってそれは生きた動物のようにも見えた。
「康太、それどうしたの?」
「そこの草のトコにいたの。」
「ソレ、動くの?」
「うん、なんかモゾモゾしてる。」
つちのこ?のようなその物体は、やる気なさそうにときおりモジモジした動きを見せた。
「なんか、生きてるみたい」
「そうだね。なんかモジモジしてるね。」
「なんておなまえ?」
「え、つちのこみたい、だけど…知らないよ、こんなの。」
「ねえ、おじしゃーん。つれてこうよ。」
「え?」
「つれてって、とおさんとかあさんにみせるの」
「康太?マジで?気持ち悪くないの?」
そいつはかわいらしくもグロっぽくも見えた。つぶれたコケシ、見た目はそんなカタチだ。新種の生物だったら大発見だが、毒を持ってたりしないのだろうか。まあ康太が握ってても反撃してこないんだから、きっと大丈夫なんだろう。
「そうだ、おじしゃん、おまわりさんだ。」
「おまわりさん?」
「お金をひろったら、おまわりさんトコに行くの。」
ソイツはお金じゃないぞ。そう思ったが、そういえば康太は先月お財布を拾って交番に届けたって話を聞いた。後でお婆さんがお礼に来て、お小遣いをもらったんだ。おまわりさんと聞いてボクは一瞬先日のイヤな記憶を思い起こしたが、まあいい。世の中そんなに狭くもあるまい。ボクは康太の言うとおり交番に行ってみようと思った。こんな得体の知れないモノを持って帰るのも何だし、警察に保護?してもらうのが妥当な線だろう。
ボクと康太は近くの交番に向かうことにした。康太は右手でボクと手をつなぎ、もう片方の手ではしっかりとつちのこクンを握っていた。道すがら、康太はコイツは怪獣の子どもなんだとか、宇宙人のペットだとか、康太なりの仮説を色々と話してくれた。
歩くこと5分、ボクらは交番に着いた。女子警官は康太の顔を見て笑顔だったが、ボクを見た瞬間に表情が固まった。
「あ、」〈何しに来たのよ、アンタ〉
「え、」〈何だ、またお前かよ…〉
ボクらは相変わらずのテレパシーでやりとりができた。表情と一文字もあれば、お互いの言いたいことが手に取るようにわかるのだ。これもきっとフォース*のなせる技なのだろう。
(イラスト ふうちゃんさん)
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