キツネなシッポと遊びましょ、の話エピソード3その②赤ちゃん〇舗で遊びましょ
とりあえず話④を読んで頂ければココの世界観が伝わります。
うっすーい世界観でスイマセン。日々に疲れたそんな時、ぜひどうぞ。
シリーズ自体は結構長いのです。中身はショーもないのですが。
ココロを浄化し無垢となった魂で女子と戯れ、辱めを受ける悦び。そんなステキな遊びを吉田課長ひとりに味わわせておくのも勿体ないというものだ。ボクは妄想の翼を広げ、今にも空へと飛び立たんとしていた。後部座席の奥さんは一緒についてきた近所の先輩ママの柳田さんの話を聞き込んでいた。しばらくできなくなるからね。ダンナの浮気は要注意だよ。特に大変な時期にダンナをついつい放置しちゃうから、危険なのよねぇ。と、まるでダンナがよそで頑張ってきたことがあるかのような経験者談を語っていた。ちなみにそのダンナは今、家で2歳になる娘の相手をしてお留守番だ。奥さんはそうね、でもウチは大丈夫よ、ね?そう言ってボクの方に視線を向けた。ボクは聞こえなかったように、そっと視線を窓の方へと移した。考えてみりゃ、今まででも十分凶暴だったのに、母親になんてなったらゴジラ第5形態*に変貌するのか、完成形じゃん…きっとボクのカラダも命も持たないだろうな。ボクは我が身の行く末を案じると、寂しく笑うしかなかった。
目的のお店に着いた。思ったよりも店内は広く、スペースにも余裕があった。奥さんは柳田さんに手を引かれ、商品棚の向こうに行ってしまった。チャンス、ボクは辺りを見回すと、こっそりと趣味の世界を堪能しようと歩き出した。未知なる世界は希望の世界。こういう若い発想こそがボクの生きる糧なんだろう、最近そう思うようになった。
ふとオムツ売り場に、見慣れた人影をボクは見つけた。吉田課長だ。プレイグッズを物色してるのか?ボクは戦場で孤独に戦っていた男が仲間を見つけたような、そんな仲間意識や安堵感を感じていた。
「あれ、広瀬クン?」
「あ、吉田課長。奇遇ですね、こんなトコで。」
「そういや、おめでとう。気が早いね。生まれるの、まだ随分と先だろう。」
エエ、そうですとも。でもね、課長。もう、ボクらにはそんな他人行儀な挨拶はいらない。早く無垢なココロになってお互いを語り合いましょう。ねえ、課長。アンタはその先で一体何を見たっていうんだ?
「課長こそ、こんなトコで。何をお探しですか?」
ボクらは付き合いたての恋人同士のようだ。熱い想いがこみ上げてるのに、でもなかなか言い出せずにいる。何か自分の都合の良い、キッカケが欲しいんだろ、そうだろ、課長。ボクの妄想は今まさに天翔ける翼を羽ばたかせた天馬のようだ。鼻息荒く、ボクは課長の目を見据えていた。さあ、課長。恥ずかしがらずに、ボクに正直にそのココロを晒してくれ!!晒すんだ!!*
課長は少し恥ずかしそうに、そっとうつむくと商品棚に目をやった。
「うん、実はね。この年でもう初孫ってヤツさ。」
「まだまだ現役だと思ってたのに…ウチの息子もやるもんだ。これもDNAってヤツかな。」
え、課長。アンタまさか…
「まさかキミの子どもと孫が同学年とはね。仲良くさせてもらうよ。よろしくね。」
そう言って課長は僕に握手を求めてきた。
ちょ、待ってくれ、課長。アンタ、無垢なココロはどこに行ったんだ?恍惚なプレイはどうした?そのオムツ、実用品なんか!?
ボクの妄想はこうして終わりを告げた。天翔るペガサスは大きくひとつ咆哮すると、静かにその翼をたたみ静かに目を伏せたのだった。落ち込むボクの横で、吉田課長は通りがかった奥さん達に笑顔で話しかけていた…
(イラスト ふうちゃんさん)
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