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アルマジロな午後

ついにシリーズ化。アルマジロなオトコが繰り広げる、くだらなくも不思議で不条理な世界を味わってください。


ボクは反省が苦手だ。
先日そう思わせる事件があった。

温泉旅行の件がバレたボクは、奥さんから煉獄の火炎をあびて全身にヤケドを負った。額と床が同化するまで謝った。家庭に嵐が押し寄せたのだが、嵐はいつしかやむものだ。ボクは許しを得たが、笑顔を絶やさない、心遣いを常にする、そしてLINEメッセージには細心の注意を払った。色々あったが、ボクに課せられた罰としてすべて甘んじて受け入れた。

さて、このボク、アルマジロ。鏡で見たが、意外にカワイイ。見た目が愛らしいのだ。被り物?な見た目を眺めながら、突然ボクはひらめいた。
「コレは、使える。」
いつしか妄想は計画となり、そして実行された。

会社が定休の午後、ボクは昼寝をしてアルマジロになると近所の公園にでかけた。近くに付属の女子高・大学があって、若い女子が多いのだ。穏やかな日差しの下、彼女たちはお昼時にランチを楽しんでいる。そこを目指した。

女子3人組を見つけた。近くの木陰でさりげなくカワイイ仕草でおどけてみる。案の定ウケた。声援が心地よい。近寄ってゴロゴロする。ボクは囲まれて、撫でてられて幸せだった。固い甲羅の向こうには柔らかな感触が広がった。
「生きてて良かった。最高だ…」
ボクは人生の絶頂を全身で感じた。

女子たちの顔色が変わった。すでに数歩引いている。目の前の女子は友達の腕につかまって、その目は怯えている。何か怖いモノでも見たかのようだ。
「あ、怖いモノ、あった…」
ボクはヒトに戻っていた。しかも裸だ…パンツはいてるのも変だって、家を出るときに全部脱いできたんだ。

ボクは我が身を見直し、すべてを理解した。
「コレはマズイ。きっと、かなりマズイ。」
いきなり現れた全裸男の出現に、辺りは騒然となった。

かつて望んだようにヒトの形に戻ったボクだが、もう戻りたくないと本気で思っていた。


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