見出し画像

バレー観戦に熱くなる

僕はスポーツが嫌いだ。
理由は簡単、出来ないからである。

何をやっても下手くそで、中学のスポーツテストでは真面目に取り組んでE評価を取る始末である。スポーツを好きになるわけがない。

だから、スポーツ観戦も興味がない。
テレビでサッカーのW杯がやっていようが野球のWBCがやっていようが興味がないから見ることはない。大谷翔平がいくらホームランを打っても「へー凄いね」くらいの感想しか思いつかないのである。

そんな僕が唯一見るのが好きなスポーツがある。

バレーボールだ。
バレーはやっていたらつい見てしまう。

バレーは試合の展開が分かりやすい。相手のコートにボールを落としたら得点、枠外に落ちたらアウト。このルールさえ分かっていれば素人の僕でも楽しめる。ボールの動向を追っていれば、自ずと試合展開を掴めるのだ。

今バレーはネーションズリーグという世界大会をやっており、予選からずっとテレビで見ていた。

日本は順調に勝ち進み、土曜日に女子バレーは準決勝が行われた。なぜか地上波では放送されなくてBSでの放送だったが僕はその日も母と一緒に夜の10時から見ていた。

対戦国は強豪ブラジル。
日本はいつも勝てない強敵である。

でも今回は日本も負けてなくて、1セット目は日本が取り、2セット目はブラジルが取り、また日本が取り返すという一進一退の攻防が繰り広げられていた。僕と母はこの試合展開に夢中になって見ていた。

しかし、この熱い試合に水をさす出来事が起こる。急にテレビ画面に文字が表示されたのだ。

「11時53分よりチャンネルが切り替わります。引き続き見たい方は赤ボタンを押して下さい。」

なぜか知らないけれど、チャンネルが変わるいう表示。僕は何だこれと疑問を抱きつつも、続きが気になるので赤ボタンを押す。

チャンネル2に切り替わったが、さっき見ていた映像よりも明らかに画質が落ちている。

僕と母は「なにこの画質!」と腹を立てて、元のチャンネル1に戻してみると、そこではどーでもいい通販番組が放送されている。

癪に障るくらい綺麗な映像で。

いや、通販番組流すならバレーを流せよ!こっちは決勝行けるかもしれない瀬戸際なんだぞ!

僕と母はプンスカ文句を言いつつ、チャンネル2に戻し、画質が悪くなった日本を応援する。

4セット目に入り、ブラジルの猛攻が止まらなかった。キャロルというブラジルの選手が曲者でクイックという速いスパイクをバシバシ打ってくる。これを日本は全然止められなくて、4セット目はまんまと取られてしまう。

試合はついにフルセットまで行く。フルセットになると25点先取ではなく、15点先取になる。短期決戦で勝負を決めないといけない。

僕と母は4セット目のブラジルの猛攻が凄かったから勝てるか不安になっていた。ブラジル選手は点を決めるたびに雄叫びを上げていて気迫も凄い。(顔も怖い)

だけど、日本も負けていない。あれだけ止められなかったキャロルのスパイクを宮部選手が止めるようになるのだ。

これが本当に凄くて、僕は感動した。キャロルがクイックを打つタイミングで宮部選手が先回りしてブロックしたのだ。漫画みたいでカッコ良かった。

相手選手も絶対心の中で呟いてたと思う。
「こいつ戦いの中で成長してやがる」って。

そしてキャプテン古賀選手、大事な場面でいつも点を決めてくれる。僕と母は古賀さんのスパイクが炸裂するたびに「古賀さんありがとう」と手を合わせ、崇めながら喜んでいた。

海外選手と比べると日本人選手は小さく見える。小さいと言っても、180cm以上はあるのだが、海外選手は190cm越えの選手がゴロゴロいる。
その体格差をカバーするために、日本はチームワークを駆使して戦っているから応援したくなる。

1点を取るためにコートにいる誰ひとり欠けてはいけなくて、ひとりひとりのプレイが得点に繋がっている。

日本は見事な連携プレイを見せ、5セット目で宿敵ブラジルを倒した。試合が始まってから2時間半、深夜1時まで見ていたかいがあった。

僕と母は「今日の試合は良かったね!」と感動を分かち合い、今日はなんだかいい夢が見れそうだなとその日は眠りについた。

次の日は決勝イタリア戦。結果は残念ながら負けてしまったが次に繋がるいい試合だったと思う。2位でも凄い快挙だ。パリ五輪がますます楽しみになる。

母はバレー観戦の興奮が冷めやらないのか、ママさんバレーを始めようかなと言い出している。(凄く単純な人)

僕はバレーは見るのは好きだがやっぱりやりたいとは思わない。僕はサーブがネットを超えたことがないくらい下手なのだ。
これからも見る専門でバレーを応援させて頂こう。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?