小宮知久 Chiku KOMIYA

作曲家/b.1993/現代音楽 コンピューターを用いた作曲をメインに制作している。「身…

小宮知久 Chiku KOMIYA

作曲家/b.1993/現代音楽 コンピューターを用いた作曲をメインに制作している。「身体」「楽譜」「機械」などの関係に興味があります。ここでは音楽やその周辺について考えたことやドキュメントなんかを残そうと思ってます。https://chikukomiya.com

マガジン

  • 小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」レビュー

    2024年3月15〜17日に開催された小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」(Retramp Gallery, ベルリン)の展覧会レビューを青柿将大さん(作曲家)、小島広之さん(音楽評論)に執筆していただきました。 また本展覧会で企画制作を担当した西村聡美さん(アートマネジメント)の制作ノート公開しました。

  • 「楽譜の新機軸」 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談

最近の記事

歌がうまれるとき 西村聡美(アートマネジメント)(小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」制作ノート)

2024年3月15〜17日に開催された小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」(Retramp Gallery, ベルリン)の企画制作を担当した西村聡美さん(アートマネジメント)の制作ノートを公開しました。 歌がうまれるとき 西村聡美(アートマネジメント)  “声(こえ)”とは本来、人間などの動物の咽頭から発せられる音とそのひびきを指す。しかしながら実際は、その現象だけでなく、人間による語の発話や、意見表明およびその手段、あるいは個人の社会的態度にまで語義が侵

    • 聴衆という第四人称―小宮知久個展に接して―青柿 将大(作曲家)(小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」展覧会レビュー)

      2024年3月15〜17日に開催された小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」(Retramp Gallery, ベルリン)の展覧会レビューを作曲家の青柿 将大さんに執筆していただきました。 聴衆という第四人称――小宮知久個展に接して―― 青柿 将大(作曲家)  英文学者・言語学者の外山滋比古が提示する「第四人称」という概念がある。これは第一人称(私)、第二人称(あなた)、第三人称(彼、彼女、それ)によって完結するコンテクストの外から内を「覗き見/立ち聞き」

      • 開き、晒す—小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」小島広之(音楽評論)(小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」展覧会レビュー)

        2024年3月15〜17日に開催された小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」(Retramp Gallery, ベルリン)の展覧会レビューを音楽評論の小島広之さんに執筆していただきました。 開き、晒す——小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」 小島広之(音楽評論)  独特の存在感をもつ石碑、セイキロスの墓碑銘と呼ばれている。ゴロッとした円柱に刻み込まれた文字譜は、およそ二千年前に作られた今日知られる最古の音楽である。小宮知久は、この石碑が収蔵され

        • バシェの音響彫刻と幻視される楽園

          植物の葉のようなフォーンを備えて、鉄のフレームや鉄板、弦、ガラス棒などで構成された、楽器であり彫刻でもあるバシェの音響彫刻。さまざまな形状のものがありながら、どれもが一目で音響彫刻と分かる。そして一つ一つが有無を言わせない魅力的な存在感を放ち、フォーンから放出される音は独特な倍音を含んでいる。 バシェの作った音響彫刻17基は1970年、大阪万博の鉄鋼館のホワイエに展示されていたという。 1008個ものスピーカーが設置された鉄鋼館のホールの外では、さまざまな音響彫刻が鉄ででき

        歌がうまれるとき 西村聡美(アートマネジメント)(小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」制作ノート)

        • 聴衆という第四人称―小宮知久個展に接して―青柿 将大(作曲家)(小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」展覧会レビュー)

        • 開き、晒す—小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」小島広之(音楽評論)(小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」展覧会レビュー)

        • バシェの音響彫刻と幻視される楽園

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        • 小宮知久個展「わたしに奇妙な歌を歌わせてください」レビュー
          3本
        • 「楽譜の新機軸」 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談
          4本

        記事

          Epiphyllum oxypetalum

          この夏、家で育てていた月下美人が咲いた。 この複雑な造形。 こんなものが遺伝子にプログラムされていて、他の株にも同じ造形の花をつけると思うと、驚くべきことのようにしか思えない。 この花は一晩で枯れてしまう。 一夜の命を延命する方法を私たちは知っている。

          Epiphyllum oxypetalum

          無関係で善良な… 《変わらない一日》をアーカイブでみること

          坂本光太さんのリサイタル「暴力/ノイズ/グロボカール」にて日本初演されたグロボカール作曲《変わらない一日》(1975)のアーカイブ映像を、遅ればせながら拝見した。 実際に起こったクルド人弾圧事件を基に構成されたシアターピース。 それぞれの楽器が明確に役割を与えられていて、物語として理解しやすい。 目を背けたくなる暴力的なバスクラリネットと打楽器、暴力に無頓着なチューバとエレキギター、見せしめとしてのチェロ、錯乱していくソプラノ。 権力によって踏みにじまれる人の生と法。 権力

          無関係で善良な… 《変わらない一日》をアーカイブでみること

          NY雑感〜作品とアイデンティティに関してとりとめもなく〜

          2月、Music from Japanからの委嘱を受けて、NYで弦楽四重奏曲の初演に立ち会い&観光で2週間ほどNYに滞在した。 コンサートのあとにはオープンフォーラムとして現地の批評家や日本の作曲家、学者で討論が設けられた。 Music from Japanは日本の現代の音楽をアメリカに紹介する活動を45年続けている。今回のフォーラムでも、自身の作品にどのように日本人であることが作用しているか、日本人としての「アイデンティティ」が議論になった。 過去の多くの作曲家が自ら

          NY雑感〜作品とアイデンティティに関してとりとめもなく〜

          「楽譜の新機軸」④ 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談(2018/11/27)質疑応答編

          ・質疑応答1質問者1:『VOX-AUTOPOIESIS』では、スタートの音にラの音を選ばれてらっしゃるじゃないですか。この音を選ばれていることには意図があるのでしょうか? 小宮:演奏家と話して、ラの音がちょうどボイスチェンジの場所なので、歌いやすいと言われました。スタートの音は演奏家の身体的な条件に合わせています。ですから、男性のスタートの音はレの音なんです。それぞれの声域に合わせて最初の音を決めています。 質問者1:ということは、その時コラボレーションしてる演奏家の方が

          「楽譜の新機軸」④ 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談(2018/11/27)質疑応答編

          「楽譜の新機軸」③ 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談(2018/11/27)

          ・演奏不可能性について 川島:歴史的なことを少し確認したいなと思います。この作品(VOX-AUTOPOIESIS)は、そういう意味では、演奏不可能性ということが前提になっているんですよ。ヴィルトゥオジティとかそういうこともやはりあるわけですよ。それこそ、さきほどの話で言うと、ショパンとかリストのピアノ曲とかパガニーニのヴァイオリン曲とかを思い出した時に、ヴィルトゥオーゾはどちらかというと先ほどの分類で言うところの、記述的な譜面といっていいと思うんですよね。もちろん彼は作曲を

          「楽譜の新機軸」③ 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談(2018/11/27)

          「楽譜の新機軸」② 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談(2018/11/27)

          ・今回の日本音楽コンクールの審査に関して川島:今回この結果に関して言うと、つまりこれは第2位に選ばれたということに関して言うと、譜面審査だけになったことだけが選ばれた理由じゃないと思います。なぜかと言うと、従来の日本音楽コンクールでも譜面審査を経て4曲選ばれるんですよね。今回はそのうち3曲が入賞した、というぐらいなので、前回と今回で演奏される作品の誤差は1曲なんですよ。ですから、これは4位になっていたらそれは落ちていたかもしれないですが、譜面審査になったことによって、これが入

          「楽譜の新機軸」② 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談(2018/11/27)

          「楽譜の新機軸」① 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談(2018/11/27)

          2018年に開催した川島素晴さんとのトークイベント「楽譜の新機軸」の文字起こしを公開します。 なんだかんだかなり時間が経ってしまい、情報の鮮度が落ちているところや、今の自分が考えていることと異なるところもあるのですが、2018年当時をアーカイブする意味でも、noteに残そうと思います。 この文字起こし、かなり長いので4つの記事に分けました。興味のあるところから読んでもいいと思います。(③あたりがオススメなのですが、①を読んでいないと文脈が分からないところが多々あるかも)

          「楽譜の新機軸」① 楽譜をめぐって川島素晴さんとの対談(2018/11/27)