
【第6回】地区防災計画学会誌とは
質問 地区防災計画学会誌の特徴を教えてください。
概要
地区防災計画学会が発行している地区防災計画学会誌の特徴は、以下の3点です。
①東京大学、京都大学等の大学教員をはじめとする研究者等が多様な専門分野から執筆しています。
②執筆者は、内閣府防災担当のOBや関係委員を含み、実務的な観点からの執筆物も多数あります。
③コミュニティの現場での地区防災計画づくりの経験に基づいて、再現性を意識しつつ、社会実装の観点から執筆されています。
解説
地区防災計画学会が、2014年の創設以来発刊している「地区防災計画学会誌」は、これまで23号発刊されています。これまでに、400本以上の査読論文、寄稿、予稿等が掲載されてきました。最近は、年間3号を継続的に発刊しており、1年間に50~60本程度の査読論文、寄稿、予稿等が掲載されています。
この地区防災計画学会誌の特徴は、以下の3点になります。
①東京大学、京都大学等の大学教員をはじめとする研究者等が多様な専門分野から執筆しています。
現在、地区防災計画づくりが、全国5,000以上の地区で進んでいると言われています。
そして、この地区防災計画づくりの現場では、大学教員をはじめとする多くの研究者等が計画づくりを支援しています。
特に、地区防災計画学会に所属する研究者等は、このコミュニティの現場での防災計画づくりを通じて、地域防災力を底上げするための活動を行いつつ、そこでの経験を横展開する観点から、多様な専門分野から研究を行っています。
それらの研究者等は、東京大学、京都大学をはじめ全国の大学に広がっており、これらの研究者等が、研究の成果を踏まえて、地区防災計画学会誌に執筆をしています。
②執筆者は、内閣府防災担当のOBや関係委員を含み、実務的な観点からの執筆物も多数あります。
地区防災計画制度は、2013年に内閣府による災害対策基本法の改正によって創設された制度であり、2014年から施行されました。そして、2014年には、内閣府から「地区防災計画ガイドライン」が発刊されたほか、2014~2016年度には、内閣府のモデル事業が全国44地区で実施されました。これらが契機となって、全国で地区防災計画づくりが燎原の火のように広がりました。
地区防災計画学会誌の執筆者の中には、このような活動を進めてきた内閣府防災担当の関係者や地区防災計画に関する関係委員会の委員等が含まれており、最新の地区防災計画づくりの情報を踏まえて、コミュニティの現場の方々にも理解していただきやすいように、極めて実務的な観点から執筆されています。
③コミュニティの現場での地区防災計画づくりの経験に基づいて、再現性を意識しつつ、社会実装の観点から執筆されています。
地区防災計画学会誌の大きな特徴は、大半の論文が、研究者等によるコミュニティの現場での地区防災計画づくりを通した実際の調査を踏まえて執筆されていることです。
コミュニティ防災を論じるに当たっては、コミュニティの現場に長期的に寄り添って、住民や地元の行政担当者等と良好な人間関係をつくりながら研究を進めることが不可欠ですが、それは研究者等にとっては容易ではないと言われてきました。
しかし、地区防災計画学会誌の中で、そのような試みが多数紹介されています。また、執筆に当たっては、再現性を意識しつつ、社会実装の観点から詳細な分析がなされています。
まとめ
地区防災計画学会誌は、アカデミックな観点を大事にしつつ、行政実務やコミュニティの現場との架橋となるような研究活動を専門に取り上げている学術誌です。
大学教員をはじめとする研究者等の方々だけでなく、行政官、シンクタンク、防災士をはじめとするコミュニティの防災リーダーの方々等にも、ぜひお読みいただけますと幸いです。
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