見出し画像

【第40回】地区防災計画学会第8回大会終了

質問 地区防災計画学会第8回大会の様子を教えてください。

概要

 ①オンラインで約700名参加
 ②【シンポジウム】多様化・激甚化する災害とコミュニティ防災①
 ③【シンポジウム】多様化・激甚化する災害とコミュニティ防災②
 ④表彰式等
 ⑤シンポジウムの詳細は地区防災計画第24号(22年夏発刊)掲載

解説

①オンラインで約700名参加

 2022年3月5日(土)に、地区防災計画学会第8回大会「多様化・激甚化する災害とコミュニティ防災」がオンラインで開催されました。参加者はのべ約700名でした。
 同大会では、地区防災計画学会誌23号に掲載された予稿等を踏まえて、24本の個人報告と2本のシンポジウムが行われました。災害が激甚化、頻発化している中で、コミュニティの防災活動はどうあるべきか、地区防災計画モデル事業の11のモデル地区のほか、全国で取り組まれている事例を踏まえて、地区防災計画づくりの在り方について、議論が行われました。

 同大会の主催は、地区防災計画学会ですが、情報通信学会災害情報法研究会及び(一財)関西情報センターが共催、Yahoo!基金が後援となっていました。
 総合司会は、坊農豊彦事務局次長(大阪市立大学・KIIS)及び金思穎青年部長(専修大学)が担当し、室﨑益輝会長(兵庫県立大学)、金井萬造最高顧問(立命館大学)、稲田修一最高顧問(早稲田大学)の挨拶で開会しました。
 特に、室﨑会長からは、地区防災計画学会が、まもなく創設から9年目を迎えること、3年周期の3回目の節目であり、第一期の終わりを迎えることから、今後の活動に広く希望を持ってもらえる形にしていきたい旨の説明がありました。
 その後、午前から午後にかけて、6つのセッションに分かれて24本の個人報告が行われました。各セッションの司会は、磯打千雅子理事(香川大学)、加藤孝明理事(東京大学)、矢守克也副会長(京都大学)、生田英輔幹事(大阪市立大学)、澤田雅浩幹事(兵庫県県立大学)、田中隆文幹事(名古屋大学)が担当しました。

タイムスケジュール

②【シンポジウム】多様化・激甚化する災害とコミュニティ防災①

 個人報告を受けて、「多様化・激甚化する災害とコミュニティ防災」をテーマに、2本のシンポジウムが行われました。2本のシンポジウムでは、主に、①コロナ禍での活動状況、②コロナ禍での苦労やそれを乗り越えるために工夫したこと、③コロナ禍や最近の災害の状況を踏まえて、地区防災計画をはじめコミュニティ防災に盛り込むべきこと等が論点として想定されていました。
 1本目は、西澤雅道会長代理(元福岡大学)がモデレーターを務め、2021年度地区防災計画モデル事業の対象地区である岡山県倉敷市真備町川辺地区静岡県沼津市戸田地区・伊豆市土肥地区兵庫県神戸市中央区港島地区山梨県都留郡西桂町下暮地自治会大阪府堺市美木多校区に関する個人報告を踏まえて議論を行いました。
 冒頭、西澤会長代理から、地区防災計画モデル事業の趣旨や各モデル地区の地域特性や地区防災計画づくりの特徴について説明がありました。また、地区防災計画の「文書化」のメリットとデメリット、コロナ禍での課題や逆にコロナ禍での経験が地区防災計画づくりにいかされた点、今後の地区防災計画学会の方向性等について議論が交わされました。

【シンポジスト】
磯打千雅子  香川大学
加藤孝明   東京大学
澤田雅浩   兵庫県立大学
鈴木猛康   山梨大学
西田佳弘   大阪市立大学
【モデレーター】
西澤雅道   元 福岡大学

③【シンポジウム】多様化・激甚化する災害とコミュニティ防災②

 2本目は、矢守克也副会長(京都大学)がモデレーターを務め、1本目のシンポジウムの議論を踏まえつつ、同じくモデル事業の対象地区である高知県高知市潮江地区大阪府藤井寺市小山地区福井県永平寺町法寺岡地区岡山県倉敷市真備町岡田地区・辻田地区三重県南牟婁郡紀宝町鮒田地区宮城県気仙沼市大浦地区に関する個人報告を踏まえて、議論を行いました。
 最初に、6人のシンポジストから各モデル地区の特徴について紹介があり、それを受けて、各地区の担当教員が他の地区の担当教員に質問するというようなスタイルで進められました。特に、地区防災計画づくりに取り組んでいる近隣地区の連携が論点として取り上げられていました。

【シンポジスト】
浅野幸子   早稲田大学
石塚裕子   大阪大学
酒井明子   福井大学
阪本真由美  兵庫県立大学
田中耕司   大阪工業大学教授
室﨑益輝   兵庫県立大学
【モデレーター】
矢守克也   京都大学

シンポジスト等略歴

④表彰式等

 その後、室﨑会長、矢守副会長及び西澤会長代理らによって、学会賞の表彰が行われました。
 論文賞は、大津暢人氏(消防庁・神戸大学)及び北後明彦氏(神戸大学)が受賞されました。受賞論文は「津波避難経路設定の選択肢としての地区防災計画における災害時要援護者支援手法の類型」(地区防災計画学会誌21号掲載)です。
 また、奨励賞は、生田英輔氏 (大阪市立大学)及び増田裕子氏(新東三国地域活動協議会)が受賞されました。受賞論文は、「都市域における地域活動協議会による地区防災計画の策定―大阪市淀川区新東三国地域の取り組み―」(地区防災計画学会誌22号掲載)です。
 さらに、功労賞は、地区防災計画モデル事業の企画立案に貢献された藤井直美氏(元Yahoo!基金)が受賞されました。
 その後、正会員限定で総会が行われ、西澤会長代理らが、2021年度の学会の活動の報告等を行い、閉会挨拶は、田中行男理事(前KIIS)が担当しました。
 西澤会長代理からは、地区防災計画学会が開催した21年度の4本のオンラインシンポジウムへの参加者がのべ2,800人になったこと、「地区防災計画学の基礎と実践」(弘文堂)がAmazon災害部門ベストセラー1位(2022年3月5日時点)であること、昨年11月末から開始したnote「地区防災計画チャンネル」のPV(プレビュー)数が月間1万6千を超えていること等の紹介がありました。
 また、田中理事からは、地区防災計画制度の立ち上げ期から活動を支援されてきた立場から、想定外のリスクに立ち向かうためのイマジネーションの強化の重要性等について指摘がありました。

⑤シンポジウムの詳細は地区防災計画第24号(22年夏発刊)掲載

 第8回大会での2本のシンポジウムでの議論の詳細は、印象記として、地区防災計画学会誌24号(2022年度前半に発刊)に掲載される予定です。
 会員及び連携会員には、発刊次第郵送されます。


この記事が参加している募集

みんなの防災ガイド

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?