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サードカルチャーキッズ──帰国子女であること

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アイデンティティが増えてゆく

アイデンティティが増えてゆく

妊娠38週に入ったので、いつ生まれるのかなあとそわそわしている。怖い、と大丈夫、と楽しみ、という感情の三角形をぐるぐる回っている日々。あんまり生まれる気配がないから、もうちょっとかかるのかな。

生まれたら私、母になるのかあ、と思いつつ、ふと、あ、もうお腹の中にいるんだからすでにお母さんなんだった、とも思う。区役所の保育課や、保育園の見学に行くと、お母さん、と呼ばれるのだけれど、いまだに自分の母を

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痛みは残らず、残るのは痛みがあったということだけ。

7歳のとき、台湾に引っ越した。初めての海外暮らし。それを両親から告げられたのは6歳のときだった。大きい石が頭の上に落ちてきた。「お父さんだけ、行けばいいのに」私は全身が映る鏡の前で泣いている自分を見つめた。おじいちゃんもおばあちゃんも叔母も友達もいて、走り回れる田んぼのあぜ道があって、沈んでいく夕日が見えるその場所を突然去るなんていやだった。ましてや、海を越えて知らないところに行くなんて、当時の私

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書きたいけれど書けないこと。「帰国子女であること」について

継続的に何かしらを書いていると、なんとなく、書きたいんだけれど、書けてないなあ、というトピックが、ぼんやりと浮かび上がってくる。書くことで、自分のなかの「もやもや」を言語化したいなとか、昇華したいなあってことが、輪郭を帯び始めるのだ。

私にとってそれは、「帰国子女であること」だった。そのうちまとめて書いてみたいけれど、なんとなく筆が進まないし、こんなこと書いてもな...とか思ったり、書くこと自体

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