クレーム処理では、先ず、クレーム内容分析と人分析。・・・頭から敵対視する田舎ホテル
今まで、色んなクレーム処理を見てきたが、一番恥ずかしい話は、クレームが出ると、すぐさま、クレームを言ってきた相手を「敵対視」する地方ホテルが多いことである。
クレームが常態化している「難癖野郎」とばかしに、客との接点を打ち切り遮断し、「無視無反応」に徹する地方ホテルもある。また、逆に、クレームに対して「謝罪の形式」までをも指示する極上の「難癖野郎」もいるほどだ。どっちも、どっちであるが。
クレームと言っても、「善意のサジェッション」から「悪意の難癖」まで幅広い。よって、クレームが出た瞬間に採るべき行動は、「クレーム内容分析と人分析」である。且つ、クレームの事実関係を社内で正確に「情報共有」することである。
以下は、或る地方ホテルで実際に起こった話。
某ホテルで、家族の祝い事で個室の予約を入れた客。再度確認の電話をすると、個室が二つに分けられ、隣に数人の宴会が入っていたと言う。
激昂した客は電話で噛み付き、責任者を呼べのどうのこうのと騒ぎ立てる。個室二つを合わせて予約したつもりが、二つにセパレートされたので、居た堪れなくなったのだろうか。
予約の不備が発覚した日は、責任者は公休。サブの責任者がその客に対応し、何度も電話が掛かるので、その他、若手の男女社員が二人対応しており、知らぬ存ぜぬの言い訳ばかり。よって、客は大いにキレまくる。
結果、その客は予約していた個室をキャンセルしたのである。キャンセルするだけならば良かったが、その客は更にキレ続け、現場責任者のみならず、その上司、またその上司へ電話を繋げと騒ぎまくる。
クレームを入れた客の言い分は、「祝い事で静かに食事を楽しもうと思っていた矢先、襖越しの隣に宴会予約を入れるなど考えられない。誰が勝手に予約条件を変えたのか!?」と。(御尤もな話である)
先鋒は、上記の「虚言癖」のあるサブ責任者。自分の事は棚に上げ、その客のご機嫌伺いをしながら、終始、原因は部下や上司の不手際のような説明をして、ぼかしまくる。
公休だった責任者に、そのサブが電話をして、クレーム処理について説明をする。「私が説明をして謝罪したので、何とか収まりました。」と、得意げに「虚言」を放つ。
今度は、客が「責任者から何の音沙汰もない!」とキレまくり、再び電話を掛け、責任者を呼べと言う。公休中の責任者はクレーム処理がひと段落したと聞いていたので、詳細を掴んでいない状態で客に電話を掛ける。
「貴方はそれでもそこの責任者ですか!?」と怒鳴りまくる客。「貴方の上司に電話を掛けさせなさい!」と相当鼻息が荒くなる。そこで、何も知らぬ、上司(取締役)が客へ謝罪の電話を掛けるや否や、客は同様に「それでも、貴方は上司ですか!?取締役なの!?」と語気を荒げる。
最終的には、その客は社長を出せと言い出し、段々とエスカレートして「社長から直接謝罪文を送れ!」と言い放ち、電話を切る。
その社長は部下へ、「私までが引き出されて恥ずかしいですね。しかし、私がこの件を処理するが、お前たちは、ボンクラの集まりなのか!?私が謝罪文を書いて相手に送るので、見ていろ。」と威圧する。
数日後、投函した社長の謝罪文が戻ってくる。その客は謝罪文をわざわざ添削し、書き直せと言う。その社長は、赤ペンで添削された内容通り修正し、追加の詫びの文言を付け加える。それが、数回繰り返されたと言う。
赤ペンでびっしりと書き直された謝罪文を、その社長は、上手い具合に、幹部社員に「恫喝」の道具として使うことになり、一人一人を呼び、「お前たちの対応が悪いから、こうなる。社長である私がここまで前面に出てクレーム処理を行うのだから。」と。(実は、挙足取りの材料を貰って喜ぶ変態である)
菓子折を手に取り、「今から、その客が指定した場所に菓子を届けてくる。」と、再び、部下たちに、自ら如何に大変な思いをして遣っているかの「遣ってる感」をアピールして外出。
それから数日後、その客は菓子折りを受取拒否して、送り返す。その菓子折を手にした変態社長が一言。「この菓子折はずっとここに置いておく。見る度に、今回のクレーム処理の無様さを思い出してらいたい!」と言い、得意の「恫喝」で締め括る。
振り返ると、些細なことが大事件となった原因は、上述のサブ責任者の「虚言」である。この人物は、現場の責任者になりたいという野心から、自分の上司である現責任者を落とし込むために、「私が言ったので、納得してもらいました。」と嘘をついたに違いない。
以前も、その前の責任者からパワハラ受けたと虚言を発し、役員に泣きついたこともあるサブ責任者。稚拙なる「虚言」が罷り通るのは、その会社のレベルの低さが窺い知れるが、社内規律がしっかりとしておらず、社内コンセンサスも取れず、更には、互いの信頼関係が皆無であるということだ。
そこに、変態社長が雁首突っ込んでくるのだから、大事件となったのである。いや、敢えて大事件のように見せ掛け、部下たちの「失態」を全社員に披露し赤恥をかかせるのが目的で、お得意の「恫喝」に繋げたことが読み取れる。
結局、客から電話でなじられた若手社員は退職、「虚言」で上司を罠にかけようとしたサブは、別セクションに異動後、まもなく依願退職となっている。そして、変態社長はそれからと言うもの、信用失墜は最高潮に達し、現在は、皆から完全無視させている有様である。
これが、「ホテリエ」としての自覚なき、田舎ホテルの「クレーム処理」の実態である。
話は標題に戻るが、初動の段階にて、「クレーム内容分析と人分析」を行い、「情報共有」を徹底し、その客への対応をしているのであれば、個室予約のキャンセルも、客の逆鱗に触れ、謝罪文だの菓子折だの、訳の分からぬ爆弾騒ぎにはなってはいないはずだ。
筆者も何度か経験があるが、一つは、某ホテルに預けたキーホルダー(車、オフィス、自宅の鍵など)を、宴会帰りの酔っ払いのおじ様に間違って手渡したと言う「キーホルダー紛失事件」。しかしながら、挙げ句の果てに、筆者が嘘を言って、キーホルダー紛失の演技をしたとまで揶揄されたことがあった。あり得ない話でもあり、許せない話である。
これが、既述の「個室予約難癖キャンセル事件」と同じホテルなのだから、笑いが止まらない。よって、苦笑いのまま頷くしかない筆者がいる。(未だに弁償して貰ってはいないのだが)
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