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配属初日に退職を考えた私が「夢を与えるチャレンジ」に挑んだ理由(「ちいきの逸品」稲村香那さん)

地域新聞社が2022年7月にスタートした新しいECサイト「ちいきの逸品」。この事業を提案し、運営を担当しているのが事業開発部の稲村香那さんです。
2013年に新卒入社した彼女は営業配属1日目に挫折。初日で退職を決めましたが、その後異動し事務職のスキルを高め、今では新規事業「ちいきの逸品」の担当として楽しく働いています。

「会社のメンバーに夢を与えるチャレンジをしたい!」と決意した稲村さんの転機とは何だったのでしょうか?

稲村香那(事業開発部)
2013年、地域新聞社に新卒入社。越谷支社 営業(仮配属3カ月・本配属1日)→本社第一営業部(現:八千代支社)営業サポート(3年)→ショッパー社・業務支援室(4年)→地域新聞社・営業事務局(2年)で着実にスキルを高め、2022年9月に事業開発部に異動。新規事業のECサイト「ちいきの逸品」担当。趣味はビーチボールバレー、少し前はベランダ飯、ときどき競馬と島旅行。
MISSION目標:「ちいきの逸品」を、人と人をつなぎ、五方良しのサービスへ育てる

※「MISSION目標」とは、地域新聞社のMISSION「地域の人と人をつなぎ、あたたかい地域社会を創る」を実現するための個人目標です。

「営業ができないからって辞めなくてもいい」に救われた

――稲村さんは2013年に入社し、最初は越谷支社に配属されたんですね。

地域新聞社は新卒を営業職で採用するので、私も営業として入社しました。3カ月の研修ではいろいろな支社にまわりローラーなどをやるんですけど、飛び込み営業が苦手なのが出てしまって……。越谷支社に本配属となった1日目に「もうできないな」と思い、退職しようと決めました。

――そのときの気持ちを詳しく教えてください。

営業として入社したので、営業ができないなら辞めるしかないと思ったんです。逃げ場がないと思いました。今思えば、弱かったですね。辞めると決めて、まず親に電話しました。「ごめんね、辞めるね」と話をして、そのあと人事総務部に「退職します」と話しました。

――そこで辞めずに続けられた理由はなんでしょうか?

人事総務部からその話を聞いた、当時の越谷支社の支社長・上西さん(現在はマッチング事業本部・カルチャー事業部部長)が私に連絡くれて、いい意味で笑い飛ばしてくれたんです。「営業ができないからって辞めなくてもいい。道は一つじゃないよ」と言ってくれたんです。それを聞いてびっくりしました。営業ができないからと切り離さないでくれたおかげで、今こうして続けられています。

――本当に良かったです。その後、本社第一営業部(現在の八千代支社)の営業サポートに異動となるんですね。

はい。異動してきた私を、第一営業部のみなさんはあたたかく迎え入れてくれました。ここでの3年間は、社会人としての基礎を鍛えられたものの、自信としてはゼロのままでした。仕事には慣れたけど、自分が苦手なことに向き合ったら逃げちゃうかもしれない。でも自信がないので転職するのも怖かった。

なので、とにかくたくさん働きました。営業サポートとして言われたことは全部やるし、早くやる。たくさん働くことが自分の価値だ、と。でも自分の本当の価値とは思えていませんでした。

撮影時のみマスクを外しています

ショッパー社に出向、視野が広がり仕事が楽しくなった

――その後、転機となる経験はありましたか?

自分の中での転機はショッパー社※ へ出向になったことですね。営業サポートのリーダーとして向かったんですが、任せてもらう範囲が広がったことで視野が広がりました。
(※ショッパー社:地域新聞社の連結子会社で2021年1月に解散)

視野が広がった主な業務は、業務支援室の立ち上げを経験させてもらったこと、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の研修に参加させてもらったこと、もう一つが「ショッパー」電子版を担当したこと。すべて「やってみたら?」と言われてやったことで後ろ盾もあったので、自分が学べば学ぶほど役に立つというか。それまでは営業事務として依頼された仕事をこなすだけだったのが、担当者として任せてもらえたんです。それがすごく楽しくて視野が広がりました。

――生き生きと話していますね。当時はどんな気持ちでしたか?

もともと「私はできない」と思っていたんです。組織の中で「私の役割はこれだ」と小さな殻に閉じこもっていたけど、担当を持って働くのはこんなに楽しいんだ!という気持ちでした。

――さきほど自信がゼロだったと話していました。業務支援室での経験で自信は何%になったんでしょう?

当時は80%くらいまで上がったと思います。「転職」が頭に浮かぶことがなくなり、「逃げ出したい」という感情がなくなりました。自信がゼロのときは視野が狭かったし、技術や成功体験が少なかった。それを一つずつクリアしていくと仕事が楽しくなるんだ!と思いました。

ショッパー社時代の稲村さん(中央)

会社のメンバーに夢を与えるチャレンジをしたい!

――その後、ショッパー社が解散し、地域新聞社に戻ったんですね。

地域新聞社に戻り、営業事務局を立ち上げる経験をしました。束ねるメンバーが増えて規模が大きくなったので、ショッパー社での経験を活かしつつさらにステップアップしていく仕事でした。

ただ、事務局で仕事をしていくなかで、会社の課題を感じることもありました。地域新聞社は今も新卒は営業で入社となるんですけど、営業力を伸ばす以外での成長イメージって湧きづらいなぁと個人的に感じていたんです。

でも、この課題を解決するのは自分ではないと思っていました。私は事務の課題を解決することで会社に貢献できると思っていたので。私が介入する課題ではないというか。

――その課題に取り組んでいくきっかけはありましたか?

はい。きっかけの一つはブランディングプロジェクトに参加したこと。ミッションが決まっていく過程に参加しました。

私は事務だったから「事務」で地域新聞社に対して何ができるかという姿勢だった。でも「地域の人と人をつなぎ、あたたかい地域社会を創る」というミッション実現のために何ができるかを、事務以外でも考えられるようになったんです。

引用:https://chiikinews.co.jp/brand/

そして「自分もやらなくちゃ」と思った大きなきっかけは、安部汐美さんが八千代支社の支社長になって私を頼ってくれたこと。それまでほとんど話したことはなかったんですけど、支社長業務で必要なエクセルなどを教えてほしいと声かけてくれて、そこから距離感が近くなったんです。

汐美さんが自分を頼ってくれたことが嬉しかったし、距離が近くなったことで悩んでいることも話してくれて。汐美さんという身近な存在ができて、今まで他人事に思っていた会社の課題が全部自分事になったんです。

――そのときはどんな気持ちでしたか?

汐美さんは年齢が4つ下で役職は上。支社の責任を背負って戦っている汐美さんの力になりたいと思ったときに、私は楽なところで悩みを聞いているだけなのが気になったんです。同じように責任を背負ってないなと思って。

だから、私も同じように戦うことが一番力になると思ったんです。最初は「汐美さんのために事務でできることはなんだろう?」と考えていたんですけど、そうじゃなくて、私もチャレンジすることが同志として支えになるかもしれないと思ったんです。

安部さん(右)と、第一営業部(八千代支社)で一緒に働いていた坂下さん(中央)

――安部汐美さんの存在は大きかったんですね。会社の課題を解決するという面ではどう考えていましたか?

下の子たちや周りの人がこれから生き生きと働いていくために「会社のメンバーに夢を与えるチャレンジをしたい」と思いました。自分の得意なこと=事務で何か新しいチャレンジをしても「それは稲村だからできた」になると思ったんです。なので、事務の範囲を超えたチャレンジをしたい、と。

自分がモデルケースになろう。成功すれば、憧れられる対象になる。そういうものが今の会社にとって必要だと思ったんです。私は2020年に結婚して、環境の変化の狭間にいたのもあり、「挑戦できるのは今しかない!」と思いました。

――自分の成長のためだけでなく、周りに夢を与えるチャレンジをしたいという思いが素敵だなと思いました。営業で挫折を経験し、同世代で辞める方々も見てきたでしょうし、そんな経験も「夢を与えるチャレンジ」につながったのかなと感じました。

そうかもしれないです。

新規事業「ちいきの逸品」へのチャレンジ

――稲村さんが提案したECサイト「ちいきの逸品」の始動はいつから?

最初に「やりたいです」と声を上げたのは2021年12月。翌年1月に経営会議で提案してもらい、方向性としてはOKをもらいました。

ちいきの逸品:https://mart.chiicomi.com/

――「ちいきの逸品」は地域に根差した商品を販売しています。どんな思いでECサイトを提案したんですか?

地域新聞社がもともと持っている強みを生かして実現できると思ったんです。地域情報を発信している「ちいき新聞」で、読者が掲載商品を買いたいとき基本的にはお店に行ってもらうしかない。もしくはお店の通販があれば紙面で誘導する。なので、欲しいと思ったときにすぐに購入できる通販サイトを立ち上げるのは自然な流れだと思ったんです。地域新聞社は情報を伝えるプロなので、仕入れ型(お店からお客様へ直送)の通販でお店の役に立てると考えました。

読者にとってはどうしてその商品ができたのか、どういう思いで作ったのかというストーリーを知り、納得して選ぶことができる。買って、食べて「美味しい!」という体験ができればお店のファンになってもらえると思ったんです。「ちいきの逸品」はお店のファンづくりができるのも強みです。

ちいきの逸品「STORY」ページ:https://mart.chiicomi.com/p/00001

――ちなみに、新規事業が走り出したときの稲村さんの自信は何%でしたか?

自信80%くらいで臨んだつもりだったけど、自分が言い出しっぺで先頭に立つことへの不安もあって。オープンまでの準備期間は、精神的に不安定になったことが思い出としては大きいです(笑)。

――不安な気持ちをもう少し聞いてもいいですか?

これまで会社から必要とされていることを優先的にやって自信をつけてきたはずだったんですけど、いざ自分が先頭に立ってやろうとしたら不安に陥ってしまって……。それは、成果を出して会社から評価されていなかったことが原因だと思ったんです。これまでは求められたことに対して、一生懸命やったことに評価されていたというか。

なので38期下期(2022年3~8月)で、自分が掲げた事務局での目標をしっかり達成できれば、この不安はぬぐえるかもしれないと思ったんです。

個人として特に重視したのは、「紙面管理によって売り上げを上げる、または効率化で原価削減をする」という目標。この目標で必ず結果を出したい!と思い、取り組んでいました。その結果、5月くらいには目標達成の見込みが立ったので、そのくらいの時期にはだいぶ自信が戻り「ちいきの逸品」の準備に向かえました。

――38期下期には、その取り組みが評価され、社内で新設された開発関連部門の半期個人表彰でMIP(Most Improved Player)を受賞されましたね。おめでとうございます!

MIPはたまたまこのタイミングで創設された賞でしたが、ちゃんと乗り越えることができればMIPは取れるだろう、と思っていました。

MIP受賞の盾は実家に飾っている

地域のみなさんと作っていくサイトへ

――「ちいきの逸品」は2022年7月にオープンしました。2023年1月現在の商品ラインナップは?

現在は、4つのお店の12商品を販売しています。

【八街生姜ジンジャーエール企業組合】
「八街生姜ジンジャーエール」4本入り/10本入り/12本入り
【成田ヤマニ】
「市場直送!ひもの4尾セット」「市場直送!おうち手巻き寿司」など4商品
【八街ピーナツ】
「ピーナツバタークリーミー」「おうちごはんを彩る3点セット」
【オリーブハウス】
「お米でかためたちばミルクセット」「ホワイトアイスセット」など3商品

https://mart.chiicomi.com/

地域新聞社の地場でのネットワークを生かして、営業さんや編集さんのつながりや、読者さんからのおすすめも参考にして商品が揃ってきました。

八街ピーナツさん店舗での取材時

――今後増やしていきたい商品や展望は?

地域の方の声が反映され、参加できるサイトにしていきたいです。なので千葉に住んでいる社員も含め、みなさんの地域のおすすめを教えてほしいです! 教えてもらえたらできるだけ行って、体験したいと思っています。そんなふうに地域のみなさんと一緒に作っていくサイトになればいいなと。

千葉への想いがある人が作っているもの、千葉のものを使っている商品など地域に根付いた商品を紹介するうえで、私はそれを知る術がなかったんです。千葉に住んでいないし、基本は内勤で町に出ていなかったので。将来的には自分の足で見つけて、自分で食べて体験したものも増やしていけたらと思います。

相変わらず「飛び込み」への苦手意識は残っていますが……一歩ずつ進んでいきたいです!

風土食房さん直売所にて

また、今後、インスタグラムTwitterで活動を報告していきたいと思っています。「ちいきの逸品」の掲載商品に限らず、逸品を探すなかで良いと思ったものは発信していきます。ぜひフォローしてみてください! おすすめがあったらぜひDMやメンションで教えてほしいです。

▼YouTubeでも発信中!

――最後に、営業配属1日目で退職しようとした自分のことを思い返して、あらためて思うことは?

「運が良かったな」と思います。それこそ退職を止めてもらったこと、八千代支社(第一営業部)の営業サポートになったこと、ショッパー社に出向になったこと、地域新聞社に戻って汐美さんに出会えたこと。それは全部自分だけではできなかったことなので。縁がつながったから今があるんだな、と感謝しています。もちろんここまでの自分の頑張りもあるし、あのときの劣等感や自信のなさが今につながっているなとも思います。

左:営業サポート時代、上司だった廣田さんと
右:現在は EC担当として編集長の廣田さんと取材などで関わっている

――稲村さんの夢を与えるチャレンジに勇気をもらえる人はいると思います。この記事を読んでいる会社のメンバーに伝えたいことは?

一緒に頑張ろう!という熱い想いはありますが、ここで具体的に何かを伝えるよりも、この記事を読んで何か影響を与えられたらいいかな。そしてこれからの行動に注目してもらえたら嬉しいです。

編集後記

「ちいきの逸品」を始めた思いを、社内外に伝えていきたい!

そんな熱意ある立候補により、今回の取材が決定しました。気づいたら2時間半を超える(!)ロングインタビューとなり、ここに載せきれない思いをたっぷりうかがいました。

個人的に、穏やかでやわらかい印象の稲村さんでしたが、話を聞いたら「かっこいい」「熱い」という印象も加わりました。稲村さんのインタビューを読んで、みなさんはどんなことを感じましたか? ぜひ感想をお寄せくださいね。

このnoteを書いた人:編集部 岡本( Twitter / Web記事

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