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【器の修繕、金継ぎ】図師千穂
2023年12月15日 12:08
実は、金継ぎは、室町時代、茶の湯の文化が醸成されるのに伴って、発達しました。私は茶道の心得はまったくないのですが、金継ぎの勉強のため、いくつかの本を読んだりしました。 どうやら、「茶会」というのは、トータルコーディネートの世界のようです。たとえば、その日の茶会の趣旨が「北の地へ旅立つ友を送る茶会」だとしたら、掛け軸は、友情を描いた漢詩の一説、花は、別れを惜しむ意味を持つ花、花入れはかつて友
2023年12月22日 08:13
修繕をしていて、形も年代も傷も、まったく同じ、というものは、これまでありません。 また、その直し手が、器や傷にどんな印象を持ち、どんな風に直すか、どんな線を描き、どんなボリュームで塗り、仕上げの微細な調整はどうするのか。直し手の違いによっても、まったく同じ修繕の器というのは、世界中にひとつも存在しません。 たとえばすぐに買い直せる規格品のマグカップが、傷を得て、それに修繕が加えられたこ
2023年12月8日 21:24
漆を使って器を修繕すると、とても手間(=労力)+ひま(=時間)がかかります。「最先端の技術で、魔法みたいに、一瞬で器をなおすことができたらいいのに」と、早ければ早いほど、より価値がある、とされるのが、現代社会の常識です。 でも、そんな世界に生きていながらも、人間は、ずっと昔から、人間です。手間やひまをかける、ということは、合理性とは別の、何かに対して、「大切にする」という行為そのものだと感