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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち

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妊娠16週で、お腹に宿ってくれた命をお空に返してしまいました 途方もなくかなしい でも、また小さな命を迎え入れたいから、元気になりたい… そんな約1年の気持ちを、書き留めた記録…
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経験者が考えた 身近な人が流産をしたときにできること

経験者が考えた 身近な人が流産をしたときにできること

 すこし前の話になりますが、一緒に働いている人が流産を経験し、しばらく休養期間を取ることになりました。
 まだ小さな命とはいえ、自分に宿ってくれた赤ちゃんとお別れするのは本当につらい。
 悲しみの深さが想像できるだけに、周囲の人もどう接したらいいのか、悩むところだと思います。
 流産・死産の当事者だった立場から、「周囲の人ができること」について、考えてみました。

☆喪失感を抱えて仕事をする気持ち

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年賀状を出さなかった話 死産・流産があった年に

年賀状を出さなかった話 死産・流産があった年に

 思い出しての記述になりますが、死産した年の年賀状について。

 結論から言うと、我が家は出しませんでした。
 年賀状も出さなかったし、喪中はがきも。寒中お見舞いぐらいは出そうかな、とも思ったのですが、結果としては出さずに時季が過ぎてしまいました。

 戸籍には残らない子でしたが、葬儀場・焼き場でお別れをして、お経を上げてもらったワタシ&夫くんの心境としては、喪中なわけです。
 年賀状どうしようか

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち13 ひこうき雲

 おおみそかの夜。

 布団でうとうとしながら紅白歌合戦を聴いていたら、ユーミンが「ひこうき雲」を歌っていた。

 なくなった女の子の命を歌った曲だ。

 「誰も気づかず ただひとり あの子は 昇っていく」

 かなしい歌詞で、やよいちゃんのことが一気に胸に迫ってきた。

 ああ、そうだった。あの子は、たったひとりで、空へ行ってしまったんだった。わたしはさようならも言えないで、小さくてつめたいあの

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち12 不育症の診断と降ってきた言葉

 新横浜のクリニックで、不育症の検査結果を聞きにいく。

 結果は、陽性だった。

 胎盤に血栓が出来やすく、赤ちゃんに十分な栄養が行っていなかった。 治療法はある。アスピリンの服用とヘパリンの自己注射。

 いろいろ考えてしまう。

 原因は私だった。生きられるはずの命を、育ててあげることができなかった。

 治療法はあるとはいえ、保証はない。これ以上、負担に耐えられるかの不安もある。

***

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち11 娘のために買ってあげたかったもの

 最近、よく思い出すことがある。

 やよいちゃんを失って、退院した日。

 その時に歩いたショッピングモールららぽーとの風景だ。

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 病院に迎えに来てくれた夫くんと、退院したその足で東急ハンズにハンカチを買いに行った。

 もう、明日の朝には、焼き場で最後のお別れをすることに決まっていた。

 さようならをする前に、やよいちゃんにプレゼントをあげたい。

 小さな女の子が喜びそう

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち10 3ヶ月が経って

 やよいちゃんを失ってから、3ヶ月が経ったのだった。

 まずは、自分をほめてもいい、と思う。

 深い鬱にも陥らず、毎日の仕事に復帰している。家事もなんとか回して、本を読んだりする気力も取り戻した。

 ちゃんと食べて、ピラティスでカラダをほぐして、完全ではないかもしれないけど、健康を保っている。

 元気でいよう、とちゃんと思って、実行している。

 それだけでも、じゅうぶんにがんばっていると

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち9 出産予定日に私たち家族がしたこと

 昨日は、やよいちゃんの出産予定日だった。

 ふつうに会社に行って、ちょっと迷ったけど葦でケーキとシュークリームを買って帰った。

 生まれなかったバースデーを祝いたかったわけじゃなくて、家族3人で心を合わせる時間を、ケーキで作りたかったからだ。

 ケーキの箱に、歩が大喜びだった。これだけでも、良かった。

 やよいちゃんにお祈りを捧げて、3人でケーキを食べた。

 会いたかったよ、と言いかけ

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち8 からだを動かす

 やよいちゃんを送ってから2ヶ月。

 まだ、ふと泣きたくなることはあるけど、だいぶ落ち着いてきた。

 体を鍛えよう、と思っている。

 深く絶望したくなるときは、体調が落ちているときだ、と気がついたから。

 もちろん、「やよいちゃんが、いてくれたら」と思わない日はない。

 小学校関連のママ達とのおつきあいが広がる中で、兄弟の話題は、ごく自然に出てくる。今、やよいちゃんがお腹にいてくれたなら

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち7 ありがとう、と思えたとき

 ハハが、白檀のお香をくれた。

 京都の大原で手に入れたものだという。

 お寺の住職さんがすてきで、やよいちゃんのために、お経をあげてくれるように頼んでくれたらしい。

 お経をあげれくれる日に合わせて、朝、お線香を焚いてみた。

 目を閉じて手を合わせていると、心が自然とやよいちゃんと話しはじめた。

 ありがとう。

 わたしのところに来てくれて、ありがとう。

 やよいちゃんはわたしの子

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち6 京都東本願寺にて そばにいてくれた気がした

 お別れから1ヶ月と少し経った。

 祖母の七回忌法要のために京都へ行く。

 なくす前から決まっていた予定というのは、つらいものだなと思う。

 やよいちゃんと一緒に、大きなお腹で行くはずだったのに、とどうしても思ってしまう。こんなはずじゃなかったな、という気持ちをそこかしこで味わうことになることを思うと気が重い。

 不参加にしないのは、父のためだ。ひとりでも参加者が欠けると、法要の準備に時間

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち5 オムライスおにぎりのハピネス

 駅前で、知人に偶然会う。つい先日と違ってマタニティ服でないことに驚かれて、スッと息を吸って話をする覚悟を決める。今後のためにも、ここでスルーするわけにいかないのだ。

 赤ちゃん、だめだったのよと短く報告して、優しい言葉を掛けてもらって、じゃあまたね、と別れた。知人の胸には、去年生まれたかわいい男の子が抱かれている。

 報告できてよかった。でも、やっぱりつらいな。

 涙が出てくるのは、仕方が

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち4 未来がまちがっている

別れてから2週間 「戻りたい。今の未来は、間違っている」

 手術から2週間。現実の生活に戻るに連れ、「こんなはずじゃなかったのに」という苦しい気持ちが襲ってくる。

 長男の入学式で着る予定だったマタニティのワンピース、おなかの子のためにと思って毎朝食べていたキウイフルーツの買い置き。カレンダーに書き込んだ妊娠週数、何気ない予定の数々。

 何気なく日常に散りばめられた小さなものたちに、少しずつ

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち3 どうして私が消えてないんだろう

 

お別れから10日 「どうしてわたしが生きてるんだろう」

 やよいの命が消えてしまった。思い返せば、その前にも小さな命を3つ失っている。

 未来ある子どもたちの命が消えてしまったのに、わたしが生きているのは、おかしいんじゃないかな。消えるべきだったのは、きっと、わたしの方だったのに。

 そうだ、こんな状況はおかしい。わたしがいなくて、やよいが生きているのが本来だったはず。やよいの命が突然

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やよいちゃんのこと 流産、死産のきもち2 なくした直後

 なくした、その後の1週間のきもちについて。

 ずっとかなしかった。さいしょに小さな命を空に返してから、もう2回。まだかな、と待ちこがれて、ようやくひょっこり宿ってくれたのが、やよいちゃんだった。

 やよいちゃんは、4ヶ月、わたし達と一緒にいてくれた。

 その子を、また奪われてしまうなんて。

 あんまりひどい。

 かなしい。かなしい、かなしい。

 耐えられない。耐えられない試練は与えら

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