リラクゼーションにおける施術の修正点
リラクゼーションの施術において、その修正に関するポイントをまとめた。比較的歴の浅いスタッフはもちろん、自分自身も立ち返るポイントを記している。
①圧(強弱)
お客様から一番クレームを言われてしまう原因だと感じられる。
「圧が入っていない」「強めでと言ったら痛かった」など。
圧の強弱は間違いなく身体知であり、指先が押した力とそのレスポンスが指先など施術行為に使う場所へ経験として溜まっていく。
スポーツや運動に似た経験であるから言語として伝えることはなかなか難しい。往々にして、「ググっと押す」や「ズーンと響かす」など感覚語に頼りがちだ。
初級では圧を強くする練習が行われることが多い。そうやって指の筋肉をつけていくのがセラピストとしての基礎体力を育んでいくのだ。
だから弱めで押すほうが実は難しい。中級編にあたる。
強弱を練習することが、基本的でいて多くの人を満足させる練習になる。
②ポイント、ライン(場所)
ラインのずれ、ポイントに当たっていない、というのが二番目に多いクレームだと思う。
解剖学を頭に入れて手を動かすことと自らが施術を受けることが近道になるんじゃないか。
逆に場所を間違えそうな手つきのセラピストには不安を覚える。人体に触れるにはセンシティブでないと危険だ。
③リズム
一定のリズムがリラクゼーション効果を与える。
一定のリズムで施術を行うことは心地よい眠りへと誘う。
しかし、その一方で60分なら60分の時間が単調になってしまう恐れもある。音楽だと思えばいい。メロディを奏でるよう、リズムの強弱をつけるのもセラピストの腕の見せ所だ。
④タッチ
触れ方によって、受け手の感じ方が違ってくる。
指の当て方使い方で
鋭くも、やわらかくも受け手の印象を変えることができる。
例をあげるなら背中が張りすぎている、受け慣れもなく、くすぐったく感じてしまう人には拇指を出来る限り寝かして面を大きく当てる。これだけでも変わる。からだに個性が宿る、個性は身体であると言っていたのは養老孟司先生だったと記憶しているが、まさにその通りで。
固有の身体、その使い方や技法を深めていくことがセラピストとして熟練していくことであり、各々に合ったアプローチを完成させる。
⑤フォーム
施術者のフォーム、姿勢が乱れていると、施術もほころびをみせる。
上記の①から④と比べて気付きにくい。
施術に対する慣れが姿勢の乱れをカバーしてしまうからだ。
小手先のスキルに頼りがちになり、小さくまとまってしまう。筆者も何度もそのパターンに陥った。連勤、施術が続くと体力がへり、夏場など疲れがみえる、消耗を抑えようと消費カロリーをおさえようと、下半身を使わずに上半身メインでの施術に偏ってしまう。足腰、重心が下がっていないため目線は下がり、対象までの距離は遠く腕を使う、背中が張り、前傾になることで腰痛を発症しやすくもなる。悪循環のループにはまる前に自らの施術をチェックしたい。メタ認知的アプローチで施術している自分を客観視するのだ。
⑥自分
自分のマインドを保ち続けることも難しい。
今ここに集中することが最大限のパフォーマンスを発揮することのはずだ。
そのために、何をしているか。ボディケア
人の身体に触れる、ということはメンタル面も真摯な姿勢がないとできない。心を整えて臨む、アスリートのように。
⑦相手
言うまでもなくリラクゼーションとは、自分─他者の関係によって構築されるインタラクティブな行為だ。相手がどんな人物であるか、習慣から姿勢、運動の有無、睡眠時間などを会話ややり取りの中から考え、また想像することが大切である。人間同士の心の通ったやりとりを毎回行うのは、確かに大変な作業かもしれない。
ただ、毎回違う、毎回違う人とちゃんと向き合っていくことを忘れてはいけない。
⑧ゴール
施術の、時間と空間の満足度を上げるにはどうしたらいいのだろうか。
ひとつはゴールのイメージだと思う。
あくまでも『イメージ』、設定ではない。
身体本来の、心本来の、そのひと自身のところへと向かっていくイメージこそが、漫然とした施術時間にならないための工夫であり必要なことじゃないか。
日々は揺らいでいる。
自分が納得いく身体のパフォーマンスに近づいたり、
遠ざかったり。その中で毎日いろんな人と関わり施術をとおして
時間と空間を共有している。
五感を通して
指先の感受性を通して、
世界を表す。そのために日々修正していく、気付きの数だけ豊かさを増して。
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