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新しいセラピーの教科書 第1回 時間の豊かさに預ける

セラピストとして自分より上手い人は多くいて、セラピーについて何かを論じるなんて甚だ恐れ多いことだとは重々承知しております。
ただ、セラピーという非言語的でフィジカルな、相互的な営みを、あえて言語で現わしていくことが少子高齢化社会でセラピストの担い手が少なくなるであろう未来に対しての、私なりの仕事であると鼓舞して文章を書いていきます。押忍。

一般的な『もみほぐし』と『リラクゼーション』の違いはなんだろうか。
リラクゼーションの一つにもみほぐしがある、
そうかもしれない。
だとしたら、リラクゼーションに含まれる他の要素は何だろう。


リラクゼーションは、心身の緊張やストレスを解消し、リフレッシュするための方法や状態を指します。リラクゼーションの方法には、深呼吸、瞑想、ヨガ、マッサージ、自然に触れることなどがあります。これらの方法を通じて、心と体をリラックスさせ、ストレスや疲れを和らげることができます。リラクゼーションは健康やメンタルウェルビーイングを促進するために重要な要素とされています。─chatGPT


生きている中で、日々多くのストレスや緊張に無意識下でさらされている。例えば満員電車。見知らぬ他人と肌が触れそうになる距離感。例えば、職場。上司からのプレッシャー、同僚からの同調圧力。緊張状態が続くと筋肉は張り詰めてしまい、弛緩することを忘れ、炎症を起こしてしまったり、不調を訴える。心もきっと同じだ。
リラクゼーションは、緊張をゆるめていく方法であり、
私はその際の『時間』と『空間』も包括した出来事だと考えている。

しかし、リラックスする時間とは、具体的にどんな時間を指すんだろう。

リラックスする時間は、個人によって異なりますが、一般的には以下のような時間がリラックスに適しています
1. 朝の時間:朝起きたばかりの静かな時間や、朝食後のひとときはリラックスするのに適しています。
2. 昼休み:仕事や学業の合間に取る昼休みは、リフレッシュするための短い休憩時間として利用できます。
3. 夕方から夜:仕事や学校が終わった後、家に帰ってリラックスする時間や、就寝前のリラックスタイムも重要です。
これらの時間を活用して、リラックスすることでストレスを軽減し、心身のバランスを整えることができます。─chatGPT

休むこと、休息。
一息つくことをセラピストは提供しないといけない。
忘れかけていた豊かな時間の流れを生み出すことが、セラピストの呼吸や手技が奏でるリズムに必要となってくる。
一秒、一分、一時間。時計の前では時間は同じビートを打つ。
しかし、人間固有の時間は体感時間という別の時間も刻んでいる。
日々の激務から解放されてベッドに横たわり、至福のボディケアを受ける。
それはかけがえのない時間である。
働き方改革であったり、コンプライアンス。令和の労働環境は昭和、平成に比べ格段に良くなったと言える。しかし、その一方で、休むことに少しなり罪悪感を覚えてしまう会社員がいることも事実なのではないだろうか。それは真面目な人ほど。
陰と陽。交感神経と副交感神経。
心身はバランスを上手くとっている。
人生という大きなものに立ち向かっていくとき、どちらか一方だと足りない。完全である、ということは、あなたがあなたのままでいい、ということだ。だから頑張りすぎるのも違うし、怠けすぎることもまた違う。
思い出してほしい。
風が吹くのを気持ちいいと感じたあの日のことを。
家族と公園に出かけてたわいもない話を交わしたこと。
丘の上から見渡したまちの風景の美しさを。

時間は流れている。

リラックスすることは、許すことに似ていた。

休むことを許そう。


さて、
セラピストは時間について意識的でないといけない。
もみほぐしなら技術があるだけでいい。
しかし、リラクゼーションサロンに訪れる人は『リラックス』を求めている。リラックスとは何か、本質に迫ることが、一手ずつの指先の動きを変えていくし、時間を変えていく。
一般的に現在のリラクゼーションでは60分が全身のボディケアの目安時間となっている。
60分。長いととるか、短いととるか。
人によっては贅沢だし、また逆もしかり。
一日は24時間。仕事と通勤を合わせて10時間。食事を1時間、睡眠を6時間とすると可処分時間は7時間。そのうちの1時間を差し出してもらっている。
違う角度からも見てみよう。
60分のもみほぐしA店 2,980円
60分のリラクゼーションサロンB店 6,600円

時間に対するお金に対しても、
セラピストは都度、顧みることで、より目の前のお客様に懸命になれると思う。

2時間ほどの映画が2,000円くらい
など、他の娯楽と比べる事も大切だ。

セラピー、ボディケアが特殊であるのは、
必然的に施術者と受け手は時間を共有することになるということだ。
初対面の相手は緊張している、ストレスを抱えている、身体の不調を訴えている。さあ、どうしよう。
あなた(セラピスト)がアイドル並みの顔やルックスがあれば大丈夫?
そういう問題じゃない。
緊張を解く。心もからだも。
先にこちらから開いていくこと。あくまでもセラピストとして、でいいと思う。極端な例だけど、セラピストが腕組みをしている、というのはあり得ない。相手を警戒しています、というサインを出してしまっている。
難しい話のようだけど、結局は先に笑顔になればいいだけの話だ、きっと。
笑顔は隙を与えている。その隙間は結局、休息の間である。
間がない、呼吸が速くなる。浅くなる。情報処理のスピードに心が身体が追いつかなくなる。
呼吸を合わせることが施術において大事なように、
笑顔、表情やリラックス、温度雰囲気も同期していく。
時間と空間は確かなものになって、色彩を帯びていく。
理想だろうか。いや、きっとできる。


時間の満足度について考察を巡らしてみよう。

この価格に対して、このサービス。
というのは口コミにおける評価基準だ。

私はこのお金を払って、対価としてこれだけのサービスを受けた。
満足、感動すれば点数は高いし。何か不満に思えば点数がおのずと低くなる。もちろん消費者としては大事な視点だし、口コミによってサービスが改善するなど良い循環を生んでいることも間違いない。

飲食店とリラクゼーションに対する口コミは等しいかと言われると
そうではないように感じる。それは【機会数】が絶対的に違うからだ。
飲食は一日2,3食×365日(年)。
リラクゼーションはどうだろう月に1回、年で12回くらいか。通われる平均値でも。

つまりサービス受け手の機会が全然違う。
セラピストは受け手がどれくらいの頻度でリラクゼーションサロンやもみほぐし、マッサージなどに行かれているか、会話のやりとりで把握することが求められる。

余談だが、はじめてのひとに必要以上に固いですよとか凝ってますよと言うのは、サービスなのだろうがどうなんだろう。
「美容師さんにシャンプーの後頭触ってもらって硬いですよってよく言われるんですよー」というお客様を何十人も見てきた。
硬いですよ、という一言でも言われた瞬間に認知してしまう。
それは人によっては長期記憶になるし、事実となってしまう。
プロフェッショナルなセラピストならば、かける一言にも注意を払いたい。

例えば、人と比べてではなくお客様の前回と今回を比べるのはどうだろう。
「前回より肩回りは柔らかいですね。でも今日は腰回りが張っています。何か変わったことはありましたか?」

話が逸れました。
時間に対する満足度。
フィジカルな関係性、ふれあい、が希薄になっている現代だからこそ
人の心身を慈しみ、感受性を取り戻すようなアプローチ
結果としてそれが、受け手に忘れていた身体性を思い出すトリガーになり、
感受性と取り戻すことは日々の微細な喜びに気付けることにつながるのではないでしょうか。肩書きとか役職、立場はサロンでは関係ありません。
ただの一人の人間として、筋肉の緊張やストレスを診ていく、施術をしていきます。
男であること、女であること。夫であること、妻であること。お母さんであること、お父さんであること。会社員であること、無職であること。何でもいい。何でもないただの自分であることの難しさ。その時間。
願わくばそこに戻っていきたい。
そこに戻るためのお手伝いをしていきたい。


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