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彼はムスリム、だけれども。



神戸の神社で、ガンビア国籍の男性が賽銭箱を破壊し、器物損壊容疑で逮捕された事件。

調べによると男性はムスリムと見られ、
『神様はアッラーしかいない』などと叫んでいたという。

アッラーとは、イスラム教における神。
多神教である日本の宗教やヒンドゥー教とは真逆であり、イスラム教ではこのアッラー "だけ" が神。
唯一神であり絶対神なのだ。

だからこの男性は、
日本の、しかもよくわからない謎な神様がたくさんいる日本の宗教感をぶっ壊したくなったのだろう。
文字通り敬いの象徴である賽銭箱をぶっ壊したわけである。
(しかも賽銭箱は金を入れる場所だ。色んな意味で頭に来ていたことが窺える。)



私の配偶者は、ムスリムである。

イスラム教の教えには、
アッラーが唯一神ということ以外に、こんなことがあるそうだ。




 如何なる理由があっても、他の宗教を否定してはならない。

 イスラム教を強制することがあってはならない。


つまり、逮捕されたムスリムの男性は、
その時点でイスラム教のこの教えに反いていることになる、と。


私は無宗教、あえて言うならば多神教だ。
日本の神社に行くことも好きだし、釈迦の教えも良いと思うところがたくさんあるから仏教も好きだ、
でもヒンドゥー教やキリスト教の宗教やヒストリーも素敵だと思うし、ローマ神話もイケる口だ。
ギリシャ神話なんて大好物である。

何より、トイレの神様を信じてトイレ掃除には力を入れている。

言ってしまえばあらゆる宗教、神様のオタクなのだ。

そこには日本だとかどこの国だとか、神様の国籍や出身地は全く関係がない。

多分、神様と言われるすべてが好きなのだ(本来オタクとはそうゆうものだと思っている)。


そんな神様オタクの私に対し、私の配偶者がイスラム教を信仰すること、そしてムスリムになることをお願いしてきたことは、未だに一度たりともない。

なぜなら、彼らの宗教では、
他の宗教を否定することと、
宗教の強制があってはいけないから。


だけど信じる神様は、アッラーだけ。

なんとも器がデカいんだろう。



ムスリムである彼が、冒頭に書いたニュースを知ったとき。
彼は信じられないという顔をして、こう言った。


「ソノヒト、バカ😡 
ニホンノカミサマ、スミマセン…
ゴメンナサイ…😞」



彼らにとって、アッラーは絶対で、
唯一のはずなのだ。そこは何があっても揺るがない。

だけど、日本の神様や神社についても理解しており、決してそれを否定することなく、日本の宗教や日本人について受け入れている。
もう一度いうが、彼らにとって、
神様はアッラーだけのはずなのに、だ。



日本の他の宗教を否定したムスリムの行動に対し、
「ゴメンナサイ…」と日本人である私に、
更に言えば
「神社を信仰しているすべての人--------
日本人以外にも、に対して」
そう口にした彼は、一体どんな気持ちだったのだろう。

考えるだけで胸がいっぱいになって、少し泣きそうになってしまった。





どうか、今回のニュースを見た人が、

「イスラム教は過激」
だとか、
「ムスリムは盲信的」
だとか、

彼らの愛するアッラーやイスラムの教えに対し、
ネガティブなものだけが日本でのパブリックイメージとなりませんように、と。


異国の地で色んな想いを抱えながら眠る彼の寝顔を見つめながら、

そんなことを 願った。






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