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Text~コラムの部屋~

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コラム、エッセイ、つぶやきを詰め込んだマガジンです。
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天才に、やっと時代が追いついた      ――榛野なな恵作品

ひどく雄弁な沈黙。 寡黙なのにあふれる情感。 ワンセンテンス、ひとコマで、激しく琴線を響かせる表現力。 もの静かなヒロインがひっそりと登場するだけで、空気が変わる、かぐわしいなにかに一気に満たされる。 これを言語化できたらもう明日、死んでもいいよね、というくらい、繊細なガラスのナイフで削り出されたような登場人物たちが、もういとおしすぎて、大ハマリしています。 新作、新刊を喉から手が出るほど、心待ちにしているのですが、そんな愛読者の願いは叶うのでしょうか。 一気読みして

淡々と、静かに進む、おそろしい物語

ペコさんファンなら誰しも、この「恋じゃねえから」のページをめくった瞬間「おや」と小さなひっかかりを感じたかもしれません。 フラットで穏やかなのに、ひんやり静かなページの奥にはなにか、灼熱のものがあるような――。 そんな不思議な冒頭です。 誰ひとり声を荒げるわけでもない。 泣き叫ぶわけでもない。 責め立てるわけでもない。 けれども、なぜ、徐々にこの激痛は高まっていくのだろう――。 ひとつひとつのセリフが、時間差で効いてくる、不思議なこの感じは、ペコさんの真骨頂。 けれどもこ

静かに、しなやかに、鬨の声があがる

行間の深み、というものがありますが、まさに「ジーンブライド」にはコマ間の深み、というようなものがあります。 中心のテーマの奥底に流れる作者さんの強い想い、というような。 しかもそれは、これから大きく爆発する予感をひしひしと感じさせます。 一読したら最後、新刊を待ち焦がれる日々がはじまります。 登場人物達が話し、動くにつれて、読み手の中にあったもやもやとした名前のない、けれども重く降り積もっていたものに輪郭が与えられ、やがてはっきりと色が付き、押し込めていた本心を激しくゆさ

ごく当たり前に多様性が花咲く世界

「ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話」 というタイトルからは想像のつかない、メチャクチャなカオスワールド(褒めています)がページをめくった瞬間にはじまります。 さらに、中盤以降にさしかかると、加速するこの中毒性! 決して電車内で読んではいけない一冊です。(噴き出し必至) ヒロインの心の絶叫の通り、「へんなやつ」しか出てきません(笑) けれどもその「変」具合が実に絶妙で、不快、かつ後味の悪い人物はひとりも登場せず、周囲はその個性をごくごく当たり前のものとして受け

副業ダイアリー 4 身体を損傷する職場環境

日本には古くから職業病、という言葉が浸透しています。 職業病とは一体何でしょう 繰り返し人体に負荷が加えられ続けると、身体には様々な故障が生じていきます。 パート、アルバイトでメジャーな損傷 変形性膝関節症 TFCC損傷 腱鞘炎 筋膜炎 頸肩腕障害 腰痛 半月板損傷 亜脱臼 ヘルニア などが挙られています。 痛みを伴う、そしていったん発症してしまうと長期に渡って再発・悪化を繰り返す悩ましい疾患です。 A子さん スーパーレジ打ちのパートタイマーで勤務中、10キロ以上

副業ダイアリー 3 カスタマーハラスメント

カスハラ問題は日々深刻化しています。 離職率を上げる一因にもなっています。 実際に目撃したり体験したカスハラ行為 ・入店してすぐにスタッフに「おいそこの女」と呼びつけ、あれを取れこれを取れと指示。レジ袋が有料と説明されると「なぜ有料なんだ」と怒鳴る。「女のくせに男の言うことが聞けないのか」と一時間程罵倒が続いた。 ・商品袋詰め・ラッピングサービスが無いことを入口に明記してある店舗で、「なぜ袋詰めしないのか」「老人を労る心が無いのか」「社長を連れてこい」と三時間以上ねばっ

副業ダイアリー 2 ざっくり法律のお話

法律・公序良俗についてのざっくりしたお話 バイトやパートの現場で直面する、あるあるについてざっくり~、と触れてみます。あくまでざっくりなので、詳細は法律の専門家や専用窓口にご相談ください! ・現場あるある その1 休憩がない。「ごめーん、○○くん、本当は休憩時間なんだけど、今日人がいないから休憩なしでやってね」 とわりとカジュアルにお願いされるこれ、実は 労働基準法第34条 6時間を超える場合、休憩なしは違法 となります。 また、休憩時間中に事務所にいるのだから、と電話番

副業ダイアリー 1 常に人手不足の飲食店

プロローグ 氷河期世代、不景気、物価高、コロナ禍、円安、増税、(そしてこれからインボイス制度スタート)と、なかなか生き抜くことが厳しい日本になってまいりました。 同級生や同期の友人が海外に移住した、という話も比較的当たり前になってきています。 本当に「まさかこんなことになるなんて」が当たり前に起こる時代に入りました。 来年、自分がどうなっているのかもわからない毎日(鬼、大爆笑!?)ですが、当面は副業をしつつ、日本で頑張りたいと思っています😀 様々な副業体験を友人に話した

そういう本を読んだという夢を見たんじゃないの?

と、言われた出来事がありました。 ふと、そういえばこんな本を読んだ事があったけれど、あれはどんな結末だったったっけ?と気になりはじめたある日。 ハードカバーの表紙の雰囲気や、触れた感触、物語もはっきりと記憶に残っています。 それなのに。 読書リストを見ても、あらすじ検索をいくらかけても、本好きの人々にいくら聞いてまわっても、 誰一人、その本を知らないのです。 「そういう本を読んだ、という夢でも見たんじゃないの。意外とそういう事ってあるよ」 そう語った人によれば、夢を見て

療養中のお助けグッズ

今回は、自分自身の自宅療養中に活躍したグッズを紹介します。 1.グルラボ 蒸す、焼く、煮る、がレンジで簡単にできて大活躍でした。 流動食もこれで作りました。 2.野菜フレーク 北海道産の野菜がフレーク状になっていて、あっという間にマッシュ野菜ができます。 お湯や豆乳(高熱の時は牛乳が吐き気の原因に)を加えて混ぜれば流動食のできあがり!です。 もちろんスープも簡単にできます。 3.シェイカー 野菜ジュース、ヨーグルトジュース、青汁、もちろんプロティンドリンクを作る時

恋する乙女は花を吐き

「重版出来!」はすっかりクリエイターのバイブル本となっていますが、松田作品といえば、「レタスバーガープリーズ. OK, OK!」の衝撃が忘れられません。 残念ながらリアタイではなく、口コミで知ってから一気読みしたのですが、 「こんな超弩級の天才がいたんだ!」 「これからどんどんスゴイ漫画が読めるんだ」と大喜びしたものです。 「ゲロ花」「花吐き病」とSNSで定期的に話題になっているこの作品もまた、圧巻です。 純愛を語るのに、ゲロですよ、嘔吐ですよ。 なんということでしょう😲

インクと楽しくおつきあいするために

インク沼にハマると、色彩の豊かさ、それぞれの書き味の違い、にじみの美しさ、乾いていくインクの味わい――。楽しみどころが多すぎて、どんどん沼にハマっていきます(笑) さらさらしたインク。重めのもったりしたインク。つるつると滑るインク。ラメの入ったインク。香りのついたインク。色を調合できるインク。 どのインクも魅力的で、お気に入りの万年筆に入れてどんどん使いたくなります。 ――が!! 少しだけ、気をつけたいポイントがあります。 ・ガラスペン用インク ガラスペン・つけペン用

どうにもこうにも、ならない時

モチベーションがどん底。 テンションがダダ下がり――。 きっと誰にでもそんな日はありますよね。 そんな時、いつも手にとるのがこのコミックス。 派手な演出も大きな事件もありません。 どのキャラもデコボコしていて、イロイロ抱えて、でも、そのデコボコ、イロイロがいとおしい。 どこか懐かしい感じのキャラ達が、悩んだり、右往左往する様子に、いつの間にか引き込まれ、読み終えた後は、ふんわりとあたたかい読後感に包まれます。 まさに、ココロのビタミン、というおひさまのような作品です。

流れるようなセリフの快感

女性向けコミックスがお好きな方にはもちろん、あまり馴染みのない方にもオススメしたいのが、蘭子さんのコミックス。 少女マンガのようにきらきらした表紙に騙されてはいけません。 それはもう、キレの良いギャグと、中毒性の高い、魅力いっぱいのキャラがオンパレードの、読みだしたら止まらない、徹夜系コミックスなのです。 登場人物が多めなのですが、必ずその存在の必然があり、その登場によって主人公の魅力もさらに増す、マシマシの法則が活きています。 良い意味で漫画らしい激展開でも、読み手が