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天才に、やっと時代が追いついた      ――榛野なな恵作品

ひどく雄弁な沈黙。
寡黙なのにあふれる情感。
ワンセンテンス、ひとコマで、激しく琴線を響かせる表現力。

もの静かなヒロインがひっそりと登場するだけで、空気が変わる、かぐわしいなにかに一気に満たされる。

これを言語化できたらもう明日、死んでもいいよね、というくらい、繊細なガラスのナイフで削り出されたような登場人物たちが、もういとおしすぎて、大ハマリしています。

新作、新刊を喉から手が出るほど、心待ちにしているのですが、そんな愛読者の願いは叶うのでしょうか。

一気読みしてから作品の詳細を見て、その発表時期がかなり古いことに驚いてしまいます。

今まさに収穫されたばかりの、もぎたての果実のようにみずみずしい作品たち。
むしろ、今の時代だからこそ、こういう作品を読みたい、と熱望する人が多いのでは、と感じてしまいます。

何度も何度も読み返しては、そのたびに慈雨のような味わいに浸れる、宝物のようなコミックスです。

榛野先生、新作、ゆっくりゆっくり、と、でも熱くお待ちしています。


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