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副業ダイアリー 2 ざっくり法律のお話

法律・公序良俗についてのざっくりしたお話

バイトやパートの現場で直面する、あるあるについてざっくり~、と触れてみます。あくまでざっくりなので、詳細は法律の専門家や専用窓口にご相談ください!

・現場あるある その1
休憩がない。

「ごめーん、○○くん、本当は休憩時間なんだけど、今日人がいないから休憩なしでやってね」
とわりとカジュアルにお願いされるこれ、実は
労働基準法第34条 6時間を超える場合、休憩なしは違法
となります。
また、休憩時間中に事務所にいるのだから、と電話番を任されたりするのも違法です。

・現場あるある その2
代わりを探してこないと休めない。

「代わりにシフトに入る人を自分で探さないと休めない、探すのは責務!」
と管理職から厳しいお達し。学生バイト中に体験した方も多いことでしょう。
実はこれも法的には、
業務命令権の濫用となり無効、となります。
つまり、バイトが自分の代わりを探さなくても休んでOKということです。

・現場あるある その3
時給切り捨て。

閉店時間を過ぎてもお客様が退店しない、体調を崩したお客様がいる、カスハラ案件発生、となかなか予定通りに閉店できないこともあるあるです。
そんな時、すべての作業を終えて勤怠を切ると、
○○時39分
だったとします。
店舗によって切り捨て時間は5分だったり15分だったりと違いはあるものの、この労働した9分間が切り捨てられて時給換算されないのが、いわゆる時給切り捨てです。
これも違法となります。
労働基準法第24条第1項 賃金全額払いの原則が定められていて、1分単位の時給管理が管理者には求められます。

・現場あるある その4
労働時間なのに無給状態。

鍵開け、シャッター開け、看板や幟出し、レジオープン、釣り銭準備、事務所パソコン起動などの開店準備、この手順を逆にたどる閉店作業、が時給に含まれない現場があります。
実はこれも法的に違法となります。
法的には、従業員が雇用者の指揮命令下に置かれている時間はすべて労働時間となります。
つまり、賃金不払いが発生しているわけです。
良心的な事業主は労働基準法をきちんと守り、拘束時間であるユニフォーム着替え時間も労働時間としてカウントしています。

・現場あるある その5
深夜シフトなのに時給が変わらない。

「バイトだから」「8時間労働していないから」「時短シフトだから」という理由で
深夜(原則として午後10時~午前5時)に働いたのに、通常の時給しか支払われない現場があります。
しかし、労働基準法第37条で深夜割増の適用が定められています。
つまり
時給×1.25
が正しい深夜の時給になります。
また、
「深夜割増を支払っているから」と残業割増、休日出勤割増が支払われない現場もありますが、これも違法となります。
残業、休日労働、深夜労働、と割増条件が重なった場合、事業主はすべての割増を合算した時給を支払わなければなりません。

割増賃金は重複して発生することがあります。時間外労働が深夜業となった場合、合計5割以上(2割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要がありますし、休日労働が深夜業となった場合は6割以上(3割5分+2割5分)の割増賃金を支払う必要があります。

労働基準局監督課
割増賃金
しっかりマスター 割増賃金

・現場あるある その6
履歴書の内容がだだ漏れ。

たぶんきっと、悪気はないのだろう、とは思います(思いたい)が、個人情報満載の履歴書の内容が社員からだだ漏れになっていた、という経験をした方もいらっしゃることでしょう。
「○○さん、○○中学だったんだって?○○も同級生だよね」
とお客様から言われる。
「○○さん、○○に勤めてたんだよね。どうしてやめたの?どんな仕事してたの?」
と別のバイトさんから聞かれる。
さらに、住所や電話番号が他のスタッフにだだ漏れになっていた(シフト管理や業務連絡とは一切関係のないスタッフ)――。
こんな現場は高い確率で「家庭的な職場です」「アットホームな現場です」が求人アピールポイントになっています。
良心的で常識ある現場では個人情報はきちんと管理されています。

・現場あるある その7
最低賃金割れの能力給。

清掃系バイトに多いのですが、○室終えたらいくら、○箇所終えたらいくら、と歩合計算される現場があります。
しかし、時給換算して最低時給割れしたら違法となります。
もちろん、ノルマをクリアしなかったら無給という体制も違法です。
完全歩合制はパートやバイトに適用することはできません。

・現場あるある その8
知らない間に雇用契約が変更されている。

Aさんの雇用契約は、午前10時から午後5時までの週4回シフトだとします。
しかしシフト表を見るといつのまにか、正午終了、週3回シフトに変わっていました。
店長に確認すると、
「経営が苦しいからシフトを減らしてね」
と言われました。

Bさんの雇用契約は午後1時から午後5時までの週3回シフト。
しかし、突然、「明日から毎日、閉店まで入ってね」と管理職から言われました。この店舗の閉店は午後11時。閉店作業を含めると11時30分までのシフトになりました。

AさんもBさんも、雇用契約の変更の説明を一切受けておらず、同意もしていません。
これは労働契約法違反となります。

使用者側は一方的に雇用契約の変更をすることはできません。
必ず労働者側の同意が必要になります。
また、労働者にとって不利益な労働条件の強制もできません。

・現場あるある その9
アルバイト、パートと正社員の仕事が全く同じなのに、時給が安い。

社員がひとりもいない現場、または社員がいてもアルバイトやパートのスタッフが、受注発注管理、カスハラ対応、新人指導、スタッフのシフト管理、金庫管理、などなど、非正規雇用スタッフが一手に仕事を担っている現場があります。
しかし、支払われているのは最低時給のみ。
この場合、この現場は同一労働同一賃金のガイドラインに反しています。

パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書

パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書

パートタイム・有期雇用労働法のあらまし

・現場あるある その10
アルバイト・パートにカスハラ対応をさせる。

職場におけるハラスメントの防止のために

無理難題を言って恫喝してきたり、長時間スタッフを拘束して謝罪を要求してきたりする困ったユーザーは、残念ながらしばしば登場します。

このとき、
「君の担当テーブルだから君がすべて対応しなさい」
「レジ担当したスタッフが土下座でも何でもしてその場をおさめてね」
と、バイトスタッフに丸投げされる現場があります。

実はこれ、労働施策総合推進法違反となります。

事業主はパワハラ防止措置の義務があります。

離職率の高い現場は、やはりスタッフが働きにくい環境ができあがっています。
ブラックな現場かどうか、は ↑上記のあるあるがあるかどうか、が判断材料になると思います。

良識ある事業主さんもたくさんいらっしゃいます。
法を守り、スタッフを大切にする現場での仕事は楽しいです。
現場でしか体験できないこと、味わえないこともたくさんあります。

ブラックバイト、ブラック現場で苦しむ人が少しでも減りますように……

困ったときは……相談窓口各種

次回は、現場を苦しめるカスハラについて触れたいと思います。


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