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ギフテッドの特集で思い出した先生たち【ヤマシタのおたより#44】

先日、某情報番組で「ギフテッド」の子ども達に関する特集が組まれていた。

ギフテッドとは、生まれながらに突出した能力を持っている人のことで、記憶力や思考力、芸術面などにおいて非常に才能に恵まれているらしい。
ただ、それがゆえに、学校の授業がつまらなくて苦痛に感じたり、単純作業やルーティンが苦手。
また、得意分野が突出している分、苦手分野はとことん苦手になるケースもあるとのことだった。(参考:ギフテッドとは?

この特集では、ギフテッドである子どもたちの特性を生かした教育について、紹介されていた。

私の理解がまだ浅い、あるいは足りないことを承知の上で、思うことはいくつかあった。
それは、また別の回のテーマに絡めて書くこととして…

一つだけ紹介すると、「才能を伸ばすのも、特性を理解するのも大切。でも、その特性をもってどう人と関わるのかを、もっと考えたほうがいいんじゃなかな」とは思った。
「ギフテッドだから○○はしません、□□になるのは仕方ないです、周りが合わせてください」という(ように見えた)のは、ちょっと違うんじゃなかな…と。(うん、やっぱり言葉足らず。改めて書きます!)

さて、この特集で紹介されていたギフテッドの特徴。
私は、いくつか自分が当てはまることに、気が付いた。

言葉の習得がスムーズでおしゃべりだったこと、小学校の授業が簡単だと感じていたこと(※)、好奇心が旺盛で行動に移すこと、同学年と考えが違うケースがよくあったこと…
(※)普通の公立だったからかもしれないけど、小学校6年間の大テストで100点以外を取ったことがなかった。小テストはよく間違えていたけど。きっとチャレンジ(通信教育)のおかげ。ただ、中学校から順調に(?)点数が下がり始めた。

残念ながら、一番の肝である「並外れて突出した才能を持つ」には当てはまらなかったので、きっと私はギフテッドではない。
(ただ、高校生のとき英語と数学の点数差がすごくて先生に驚かれたことはある。まさに、得意分野と苦手分野の差が激しい典型。というのも、実力テスト英語が98点、数学が7点だったのだ。
実力テストね。定期テストじゃないよ。実力テストね。←ここ大事)


そんななかで、ギフテッドの特徴として興味深かったのが、
「まわりより精神年齢が高い反面、情緒が追い付かないことが多い」
というものだった。

まわりより、精神年齢が高い。
これは私にとって、学生生活、ひいては人生においてのキーワードとも言える言葉だった。

ずっと、言われてきた言葉だったのだ。
小学生のころから。
(もしかしたら記憶にないだけで、幼稚園でも言われていたのかもしれない)

複数の先生に、「山下は、精神年齢が高い」と。

でも、小学生のうちはよくわからなかった。
それだけ言われても、そもそも褒められてるのか注意されてるのかも、あやふやだった。
いや、どちらかというと褒められてるのかな、なんて思っていた。

そして、あまり気にせずに、生活していた。
ただ今思えば、いじめられたときに冷静に分析してみたり、いじめてきた子の揚げ足を取ったりしていたのは、精神年齢が関係しているのかもしれない。

様子が変わったのは、中学1年生の懇談。
担任の先生が、割と真剣な眼差しで、私にこう言った。
「山下は、精神年齢が高いね。」


私は、「知ってる!」と心のなかで思い、「はい…」と返事をした。
でもなんだか、雰囲気が、ライトじゃない。
ん??これ、褒められてる??

先生は、こう続けた。
「そのことを、もっと自覚しなさい。」
「だんだんと、山下が、しんどくなるよ。」

と。

私は、よく意味が分からなかった。

なんで、精神年齢が高くて、しんどくなるん?
精神年齢は高い方が、うまく物事に対応できるし、人とも揉めへんのちゃうん?

きっと、こう顔に書いていたのだろう。
先生は、さらに続けた。



「精神年齢が高いっていうことは、山下の考えとクラスや学年のみんなの考えが、違ってくるってことやねん。
今はまだそんなに思ってないやろうけど…そのうち、
”どうしてこんなことも分からんのやろう”
 ”何でそうなるん?”

と、同級生に疑問を持つようになるわ。」

「そのときに、ぐっといったん自分のなかで、咀嚼できるようになってほしいねん。自分は精神年齢が高いんだ、と自覚して、考えたり行動したりできるように。

「あ、間違えたらあかんのは、まわりを見下したり馬鹿にしたり、そうせえって言ってるわけじゃないで。それは別の問題や。単に事実として、精神年齢が高いことを自覚して、対応する術を身につけなさいってことな」

精神年齢が高いっていうのは、単なる事実。だから山下がえらいとか、そういうことじゃない。むしろ、気をつけることは多いわ。」

「でも先生は、山下は山下のままで、うまく同級生と過ごしてほしいと思ってる」


ここまで聞いて、なんとなく、これまでに言われていたことが、分かったような気がした。
そして、表には出さなかったものの、友達に対して「あれれ~?」と思っていたことの数々が、一気に解決した気がした。

そこまで悩んでいたり、トラブルを抱えていたりしたわけじゃないけど、これからはもっともっと、学校生活が楽しくなる予感がした。

ただ、そう言われたからすぐに行動や考え方を変えられるほど、私は出来る人ではない。第一、まだ12歳だったし。

それでも、私はとても楽しく学校生活を過ごすことができた。
素のままクラスメイトと大爆笑し(めちゃくちゃ面白い男子2人組がいたのだ)、理科の実験にワクワクし、遠足にも出かけた。

別に私は崇高なわけじゃないし、しょーもないことに大笑いし、なんなら自分も笑いを取れたら嬉しいくらいのひょうきんさは大いに持っていたのだ。

でも、今になって思うのだ。
これも、担任の先生のおかげだ、と。

たまーに、先生と雑談をする機会があると、リマインドのように言われていたのだ。ただ、「精神年齢が高い」という直接的なワードを使わず。

それとなく、思い出させてくれて、どうしたらいいかのヒントをくれる。

きっと、私がしんどくなる前に、あるいはクラスメイトから反感を買う前に、教えてくれていたのだ。


印象的だったのは「山下、○○ってバラエティ見てる?これ見た方がええで、これ見てクラスの子たちは笑ってるんや。しょーもないけどな、先生もみんなのこと知りたくて、観てるねん。」という一言。
私も、ガッツリ観て楽しんでいる番組だった。


ああ、この先生の紹介をしたい…また別の機会に。
(※追記、書いたよ!→https://note.com/chihir0/n/n5fde076e0eb2)


話を戻そう。

そう、この先生に教わった、「精神年齢が高いということを、意識する」こと。
実はこのあと中2の担任にも、中3の担任にも言われた。
分からないけれど、もしかしたらこの先生が引き継いでくれたのかもしれない。

そして驚くべきことに、高1の担任にも言われた。
この担任の先生も、まあ超個性的かつ素晴らしい先生だった。

この先生は、入学して少し経った頃、私に声をかけて、話をしてくれた。
まるで中1のときのように。
もう少し、話の難易度は上がっていたし、私の理解も早かったけど。

そして確かに、入学してしばらくは、同級生よりも3年生と話す方が楽しかった

まあ人数が多いので同級生といってもほんの一握りとしか会ってなかった(のちに他クラスに大好きな友達ができる)けど。

高校でもさっそく生徒会に立候補した私、その演説や佇まいが良かったらしく、入部した水泳部の3年生女子の先輩に「ちぴろん(私)、○○ちゃんが話したいって言ってる!紹介するわ!」と繋いでもらっていた。
…どんな状況やねん(笑)


さあ。ここで出てくるのが、冒頭に書いた、
「才能を伸ばすのも、特性を理解するのも大切。でも、その特性をもってどう人と関わるのかを、もっと考えたほうがいいんじゃなかな」
という感想。


きっと私は、身をもって体験していたのだろう。
ギフテッドではないけれど、精神年齢も、一つの特性だ。
現に、ギフテッドの子ども達は精神年齢と情緒のバランスが取りにくいらしい。

もしかしたら、私も。
小学生のときに何も言われていなかったら。
中学生のときにあんなに具体的に話してもらえていなかったら。
高校生のときにさらにステップアップした話をしてもらえていなかったら。(先輩が同級生と繋いでくれていなかったら。)

ものすごく、しんどい道を歩いていたかもしれない。
周りと合わず、自分が異質に思えて、自己肯定感がダダ下がりだったかもしれない。

あるいは、自分が偉いと勘違いして、周りから顰蹙と反感を買い、何かを注意してくれる人も現れず、孤立していたかもしれない。

書いていて、ぞっとした。

こう考えると、やはり、自分の特性を理解して自覚し、その先を考えることがいかに大切かが見えてくる。

あのとき、私を持ち上げるでも蔑ろにするでもなく、事実として私に話してくれた先生。
自分がどうするか、主語を自分にして行動させてくれた、先生。

大人になったいま、ふと見た情報番組でひっかかったものを切っ掛けに、すごく感謝することになった。

ああ、私はきっと、先生に恵まれている。
もちろん「なんやねん」と思う先生もいたけれど、その何倍も、尊敬できる先生に出逢えたことは、私の大きな財産だ。


そうだ。
私は、先生に恵まれていたんだ。

別のエピソードも、また公開しますので、ぜひに。

先週に引き続き、なかなかのボリュームになってしまいました。
お読みいただき、感謝。
リアクションやコメントも、どしどしどうぞ◎

では、また来週!

※先生の言葉は、一言一句その通りではありません。
なぜならそんな的確には覚えていないので…
(やっぱりギフテッドではないらしい)
5パーセントくらいフィクションだと思ってくださいね。



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